政府の緊急事態宣言の延長で、沖縄県が対象地域に追加されなかったことに伴い、国の財政支援を期待していた経済団体からは落胆と同時に、一律の補償を求める声が相次いだ。県も独自の宣言を延長する方向で調整しているが、2日の経済団体からの意見聴取では「補償がセットだ」との意見が多数出た。宿泊施設や飲食品の卸業者、タクシーなどは支給対象となっておらず、関係団体は不満を募らせており「県独自での予算措置や経済対策を早急に打ち出してほしい」と訴える。
■5割が休業
飲食業や食肉メーカーなど1万2千社が加盟する県中小企業団体中央会の島袋武会長は「宣言が解除された時にはすでに多くの企業が廃業していて、『時すでに遅し』とならないよう国には対応を考えてほしい」と訴えた。
飲食約千店舗が加盟する県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長は、他業種から「なぜ飲食店にしか支給しないのか」との苦言が寄せられるとして、「国は何とか支援できないのか」と要望する。宣言で客足が見込めないため、加盟店の5割が休業しているという。支援金が出ない生鮮品や酒類の卸業者が苦境にある中、「非常に心苦しい状況だ」と話す。
■県に不満も
一方、県に対する不満を強める団体もある。県商工会連合会の米須義明会長は「県経済は瀕死(ひんし)の状態。県には昨年末から食品納入業者やタクシーなどにも支援を求めているが、『検討します』の返答だけでらちが明かない」と吐露する。2日、県が開いた「経済対策関係団体会議」でも支援を求め、「国の対応ができないのであれば県独自で措置してほしい」と強調した。
沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「宣言は延長するが、飲食店だけしか支援しないとの対応を県が続けるのであれば沖縄観光は確実に疲弊する」と訴える。観光客が見込めない中、県民を対象に宿泊費を補助する「おきなわ彩発見キャンペーン」を宣言期間中に前倒しで実施するよう求め、「宿泊施設には感染対策を徹底してもらう。観光業を救済する攻めの対策を打ってほしい」と述べた。
スナックやバーなど約2500店舗が加盟する県社交飲食業生活衛生同業組合の下地秀光理事長は「協力金の申請をしても支給が遅く、事業者は固定費や人件費の支払いに窮している」と明かす。県による午後8時の閉店要請を午後10時にすることも求め、「少しの時間でも営業して現金収入が得られるようにしてほしい」と求めた。