“春節”迫る中国「ゼロコロナ政策」実態を現地取材[2021/01/31 22:30]
「ゼロコロナ」を掲げ徹底的な感染対策を行っている中国。春節を間近に控える現地を取材したところ、「ゼロコロナ政策」の実情が見えてきました。
▽加速するワクチン接種
1月31日、北京市内にできていた長蛇の列。
千々岩森生・中国総局長
「こちらの施設が北京市のワクチン接種会場です。そしてごらんください、早朝からずっと数百メートルにわたって長い長い行列が出きています」
来月12日の春節を前に、中国政府が急ピッチで進める“ワクチン接種”。
ワクチンを接種した女性
「少しだけ心配でしたが、接種した後に副反応がなくて良かったです」
北京市内には200カ所以上の会場が設けられ、医療従事者や配送業者など9つの優先グループへの接種が行われています。中国の国産ワクチンはブラジルでの治験で有効性が50%ほどとされるなど効果を疑問視する声もありますが…
医療スタッフ:「私たちは何十年もの間、この種のワクチンを使用してきたので、安全性に問題はありません」
中国では春節までに5000万人にワクチンを接種する方針といわれ、すでに2280万回の接種を終えたといいます。
千々岩森生・中国総局長
「週末を迎えた北京空港です。例年ですと、このあたりのカウンターは人でごった返すのですが、今年はご覧のようにまばらですね」
▽あの“春節の大移動”から1年
去年は春節の帰省ラッシュが始まった時点で本格的な対策に乗り出しておらず、各地に感染が拡大する大きな要因になりました。その反省からか、今年は“帰省の自粛”を呼びかけています。
千々岩:「すごい人ですね。こちらを見てください、PCR検査の会場なのですが三重にも四重にも長い行列ができています。」
帰省にあたってPCR検査を義務付ける地域もあるため、各地の検査場には大行列ができています。
去年の“第1波”以降、徹底的な封じ込めで「ゼロコロナ」を目指してきた中国ですが、今月に入って新規感染者が1日100人を超える日が続き警戒を強めています。感染者が出た場所で中国政府がまず行うのは“封鎖”です。
千々岩:「ここですね、見てください。感染者が出た村なのですが、通じるこの道が封鎖されています。そして警備関係者が2人、警戒にあたっています」
こちらの村では19日、31歳の男性の感染が確認され直後に封鎖が始まりました。村には数百人が住んでいますが、PCR検査が陰性でも一歩も外に出られないといいます。
Q:封鎖はいつ解除されますか
警備担当者:「分からない」
Q:封鎖はいつからですか
警備担当者:「10日ちょっと前から」
Q:食事はどうしているのですか
「担当者が村の中に運び入れている」
さらに高層マンションが立ち並ぶ北京の一角で列をなす、数十台のバス。陽性者が確認されたマンションの住民をまとめて隔離施設に運ぶのだといいます。北京市内では先月17日、変異ウイルスの感染者が2人確認され、当局がそのエリアを封鎖、およそ2万4000人が自宅隔離されました。
自宅隔離中の男性(40代)
「きょうは自宅隔離の14日目。外は係員以外誰もいません」
封鎖された地区で2週間、自宅隔離されているという男性です。冷蔵庫の中を見せてもらうと、買い込んだ食材でいっぱいです。
「ここは鶏肉、牛肉、私が好きな納豆」
そして、自宅隔離が長期に及ぶことを見越して始めたのが…
「これは自分が植えたニンニク、芽も新鮮野菜として食べられます」
ネギも1週間でこの通り、部屋で野菜を育て始めました。
Q:隔離中に外出した場合罰せられますか?
「ハハハハッ、我々は出られません。出られる可能性はないです。マンションの入り口は24時間体制で見張られています」
▽徹底した隔離と管理
封鎖後、玄関のドアに取り付けられたのは、住民の行動を監視するため出入りすると日時が記録される装置。当局は封鎖したエリアに出入りした人すべてをスマホの位置情報などで把握。全員にPCR検査も行います。男性は2週間で4回も検査を受けたといいます。
中国ではスマホアプリで行動の履歴が監視され、感染リスクありと判定された人は店などに入れなくなります。さらに、厳重なのは“入国管理”。入国者が空港から外に出ると、荷物にいきなり消毒液がかけられます。そして当局が用意したホテルの部屋から2週間、一歩も外に出られません。
中国に到着した空港で1回、隔離中さらに2回の検査を受ける必要があります。春節での感染再拡大を懸念する中国、今年は抑え込むことができるのでしょうか。