「所信表明演説よりも、具体的な脱炭素が重要」
菅首相は衆議院での所信表明演説で「2050年までにカーボンニュートラル(実質ゼロ)、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言し、「温暖化への対応は経済成長の制約ではない。積極的な温暖化対策が産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要である」と強調した。
エネルギーについては「再生可能エネルギーを最大限導入し、長年続いてきた石炭火力に対する政策を抜本的に転換する」と明言したものの、「安全最優先で原子力政策を進めることで安定的なエネルギー供給を確立する」とした。
国際環境NGOのグリーンピース・ジャパンは政府の方針を歓迎する一方で、サム・アネスリー事務局長は、「2050年までの実質ゼロを実現するためには、日本は自然エネルギーの割合を大幅に増やし、2030年までに発電量の50%を自然エネルギーで供給することを目標とすべき」と指摘。政府が具体的な政策を打ち出す必要性を強調した。
国際環境NGO 350.org Japanの横山隆美代表は「所信表明演説よりも、政府が今後、具体的にどう脱炭素を進めるか大事だ」と語った。「パリ協定は各国に2040年までに石炭火力の全廃を求めている。日本政府も石炭を使わないで、自然エネルギーを増やすための思い切った規制緩和をしてほしい」と求めた。