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更新日:令和2年12月2日

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難波副知事コラム

第105回『なぜ新型コロナウイルスは季節性インフルエンザと比べて特別な対策が必要か』

1.はじめに

 

11月20日、静岡県は現在の感染状況は、上から2つ目の「感染まん延期・中期」とし、県民の皆様に一層の警戒を呼びかけました。

これに対し、「気をつけよう」という方が多い一方、「インフルエンザで毎年多数の死者が出ている。コロナ、コロナと騒ぎ過ぎ」という方もいます。

防災、防疫では、「正しく恐れる」ことが重要と言われています。その点で、「騒ぎ過ぎ」というのは、「恐れ過ぎ」という面では一理あります。しかし、本当に「騒ぎ過ぎ」なのでしょうか。「正しく恐れる」ための「正しく」のところを知るために、新型コロナウイルス感染症と毎年の季節性インフルエンザを比較してみます。

私個人の整理では信用されませんので、以下、ノーベル医学・生理学賞の山中伸弥教授のホームページの記載を引用しつつ、比較してみます。(以下の文章の『』部分が山中教授のホームページ「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信-新型コロナウイルスとは」https://www.covid19-yamanaka.com/cont1/main.htmlからの引用です。実に平易な文章で分かりやすいので参考になります。)

ただし、できる限り分かりやすくお伝えしようとすると、私の場合、どうしても文章が長くなってしまいます。そこで、今回は、結論を最初に書いておくこととしました。

 

なぜ、新型コロナウイルスは、季節性インフルエンザと比べて特別な対策が必要か。

ア.新型コロナは、無症状の感染者から感染することがあり、感染力も高いことから、感染爆発の可能性がある。

イ.日本では、感染者の内、4%程度が重症化しており、医療提供体制への負荷が大きい。

ウ.感染爆発が起きると医療提供体制が崩壊し、他の病気・事故による患者を含め、救える命が救えなくなる。(季節性インフルエンザではこのようなことは起こりにくい。)

エ.新型コロナでは、ワクチンが普及するまでの間は、感染爆発を防ぎ、感染者数を一定数に抑えこむことによって医療崩壊を防ぎ、命を救うことが必要である。

オ.新型コロナの感染者数を一定数に抑えこむために、(季節性インフルエンザとは異なった)特別の対策が必要である。

 

2.新型コロナと季節性インフルエンザの違い

 

(1)感染の特徴

 

ア.新型コロナ:「感染しても無症状・軽症の感染者が多い。症状が出る2日前から感染力がある」「見えない感染者からもうつるので感染防止のための自衛行動をとりにくい」。

インフルエンザ:症状が出てから感染力が高まるので、感染防止の自衛行動をとりやすい。

新型コロナウイルスの最も厄介な問題は、感染しても無症状者及び症状が出る2日前の者からも感染することです。季節性インフルエンザの場合は、ほとんどは症状が出てから感染力が高まるので(発症1日前も感染力あり)、症状が出た者は他者にうつさないようにする、症状が出ている人に注意する、という自衛行動がとりやすいと言えます。新型コロナはそのような自衛行動がとれません。

また、感染力(1人の感染者が何人に感染を拡げるか)も新型コロナは季節性インフルエンザに比べて高いと言えます(感染力は感染防止対策の実施度に影響されるので、時と場所によって変動します)。

 

イ.新型コロナは、季節性インフルエンザに比べて、致死率が高い。

季節性インフルエンザは、致死率は0.1%以下ですが、新型コロナは1~5%です。(日本は1.0%、メキシコは例外的に10%)

 

ウ.『新型コロナウイルスでは、元気な方でも急激に悪化し亡くなることがある。』『日本のデーターでも感染者の4%くらいは集中治療室での治療や人工呼吸器が必要』

季節性インフルエンザに比べ、新型コロナは感染者1人当たりの医療提供体制への負荷が格段に大きいと言えます。

 

エ.アの関連で、「市中に普通に活動している感染者がいる可能性」「新規診療者・入院者に感染者とはわからない感染者がいる可能性」から、他者との接触機会に制限が生じ、社会経済活動、医療提供に不自由が生じます。

 

新型コロナとインフルエンザの比較

 

新型コロナ

インフルエンザ

致死率

~5%(日本は1.0%)

(メキシコは10%)

0.1%以下

拡散数(感染者1人から他者へのうつしやすさ)(注)

~4人

~1.5人

感染力を持つ時期

発症の2日前から、発症しなくても感染力がある

発症日頃から、3日程度

(注)感染防止対策の実施度によって異なる


(山中教授のホームページ「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信-新型コロナウイルスとは」https://www.covid19-yamanaka.com/cont1/main.htmlから引用)

 

3.なぜ新型コロナはインフルエンザとは違う取組が必要か

 

(1)必要な理由

 

ア.新型コロナウイルスは、感染爆発の可能性がある。

感染力が高いこと、そして感染していても無症状や軽症の人が多いことから、知らず知らず(うつした人も知らず気づかず、うつされた人も知らず気づかず)に感染が拡大していく可能性があります。

それでも、インフルエンザより感染者の数が少ないのではないかという声があります。それは、皆がマスクをし、三密を避ける等の行動をすることによって、これまでは感染爆発が避けられているからです。もし、このような行動をとっていない場合は、現在のような水準では到底収まっていないと思われます。

 

イ.新型コロナウイルスはワクチンがまだ開発されていない。季節性インフルエンザは『ワクチンがあり、ある程度の予防が可能です。多くの治療薬が開発されています。』

 

ウ.新型コロナウイルスでは、医療崩壊が起きる恐れがある。季節性インフルエンザでは、起こったことはない。

新型コロナでは、『日本のデーターでも感染者の4%くらいは集中治療室での治療や人工呼吸器が必要となり、その半分は亡くなっています。』これは、医療提供体制に大きな負荷を与えます。

『急激に感染者が増加すると、病院機能が麻痺し、医療崩壊につながる恐れがあります。(中略)助かる命が助からなくなります。また現在は、無症状や軽症であっても、感染病棟に入院することが多く、重症者を受けいれる余裕がなくなっている地域もあります。院内感染等で病院が休止されると、救命治療にも影響が及び、心筋梗塞や交通事故など、ウイルスと関係のない患者さんの対応にも影響が及びます。』

『感染拡大のスピードを遅くし、医療提供体制を維持する必要があります。』

『インフルエンザがきっかけで、1000人に1人くらいが亡くなると考えられています。しかし新型コロナウイルス肺炎のように急激に悪化し亡くなる方は少ないです。高齢者や免疫力の弱っている方がインフルエンザに感染すると、それがきっかけで細菌性の肺炎になったり、持病が悪化して亡くなることがあります。毎冬、日本だけで1千万人くらいの患者が発生し、インフルエンザがきっかけで1万人程度が亡くなっていると考えらていますが、人工呼吸器が不足したり、医療崩壊が起こったことはありません。』

 

(2)季節性インフルエンザとは異なる対応が必要な理由の総括

 

現在の新型コロナの死者数は季節性インフルエンザと比べて大差が無いので、「コロナ、コロナと騒がず、インフルエンザと同じ対応で良いのではないか」というのは誤りと言えます。

誤りの理由を単純に言うと、「季節性インフルエンザでは医療崩壊は起きない。新型コロナでは医療崩壊が起き、他の病気・事故による患者を含め、救える命も救えなくなる可能性がある。」からです。

よって、時々の病床占有率を注視しつつ、感染者数を抑制し、医療提供体制を維持することが何よりも必要です。

 

4.静岡県の医療提要体制の特異性と対応

 

静岡県は、平時において、県民の皆様の健康度が高いことから、人口当たりの医師数、病床数が少ないのが特徴です。このため、感染拡大により入院者数が増えると、人口当たりの感染者数が全国に比べて小さい状態でも、コロナ用の病床占有率が急激に上昇し、医療提供体制が危機に陥ります。

このため、感染者数の抑制が全国平均よりも、より厳しく求められます。現在は、無症状者や軽症者も一度入院することがほとんどですが、宿泊療養施設に直行することも行うべき時期に来ています。(すでに着手を始めました。)

 

5.おわりに

 

本コラムが、「正しく恐れる」という点で、「新型コロナは季節性インフルエンザとは異なる対応が必要である」ことの御理解の一助になれば幸いです。

「正しく恐れる」という点でもう一つ。どういう行動をすれば感染しやすいかが分かってきました。このため、現在のような感染まん延期・中期であっても、基本的に感染対策をすれば、買い物や通学などのための外出などを必要以上に制限する必要はありません。

感染防止に細心の注意をしつつ、日常生活を行うこと、社会経済活動を行うことが重要と言えます。

 

 

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