|
3.なぜ新型コロナはインフルエンザとは違う取組が必要か
(1)必要な理由
ア.新型コロナウイルスは、感染爆発の可能性がある。
感染力が高いこと、そして感染していても無症状や軽症の人が多いことから、知らず知らず(うつした人も知らず気づかず、うつされた人も知らず気づかず)に感染が拡大していく可能性があります。
それでも、インフルエンザより感染者の数が少ないのではないかという声があります。それは、皆がマスクをし、三密を避ける等の行動をすることによって、これまでは感染爆発が避けられているからです。もし、このような行動をとっていない場合は、現在のような水準では到底収まっていないと思われます。
イ.新型コロナウイルスはワクチンがまだ開発されていない。季節性インフルエンザは『ワクチンがあり、ある程度の予防が可能です。多くの治療薬が開発されています。』
ウ.新型コロナウイルスでは、医療崩壊が起きる恐れがある。季節性インフルエンザでは、起こったことはない。
新型コロナでは、『日本のデーターでも感染者の4%くらいは集中治療室での治療や人工呼吸器が必要となり、その半分は亡くなっています。』これは、医療提供体制に大きな負荷を与えます。
『急激に感染者が増加すると、病院機能が麻痺し、医療崩壊につながる恐れがあります。(中略)助かる命が助からなくなります。また現在は、無症状や軽症であっても、感染病棟に入院することが多く、重症者を受けいれる余裕がなくなっている地域もあります。院内感染等で病院が休止されると、救命治療にも影響が及び、心筋梗塞や交通事故など、ウイルスと関係のない患者さんの対応にも影響が及びます。』
『感染拡大のスピードを遅くし、医療提供体制を維持する必要があります。』
『インフルエンザがきっかけで、1000人に1人くらいが亡くなると考えられています。しかし新型コロナウイルス肺炎のように急激に悪化し亡くなる方は少ないです。高齢者や免疫力の弱っている方がインフルエンザに感染すると、それがきっかけで細菌性の肺炎になったり、持病が悪化して亡くなることがあります。毎冬、日本だけで1千万人くらいの患者が発生し、インフルエンザがきっかけで1万人程度が亡くなっていると考えらていますが、人工呼吸器が不足したり、医療崩壊が起こったことはありません。』
(2)季節性インフルエンザとは異なる対応が必要な理由の総括
現在の新型コロナの死者数は季節性インフルエンザと比べて大差が無いので、「コロナ、コロナと騒がず、インフルエンザと同じ対応で良いのではないか」というのは誤りと言えます。
誤りの理由を単純に言うと、「季節性インフルエンザでは医療崩壊は起きない。新型コロナでは医療崩壊が起き、他の病気・事故による患者を含め、救える命も救えなくなる可能性がある。」からです。
よって、時々の病床占有率を注視しつつ、感染者数を抑制し、医療提供体制を維持することが何よりも必要です。
4.静岡県の医療提要体制の特異性と対応
静岡県は、平時において、県民の皆様の健康度が高いことから、人口当たりの医師数、病床数が少ないのが特徴です。このため、感染拡大により入院者数が増えると、人口当たりの感染者数が全国に比べて小さい状態でも、コロナ用の病床占有率が急激に上昇し、医療提供体制が危機に陥ります。
このため、感染者数の抑制が全国平均よりも、より厳しく求められます。現在は、無症状者や軽症者も一度入院することがほとんどですが、宿泊療養施設に直行することも行うべき時期に来ています。(すでに着手を始めました。)
5.おわりに
本コラムが、「正しく恐れる」という点で、「新型コロナは季節性インフルエンザとは異なる対応が必要である」ことの御理解の一助になれば幸いです。
「正しく恐れる」という点でもう一つ。どういう行動をすれば感染しやすいかが分かってきました。このため、現在のような感染まん延期・中期であっても、基本的に感染対策をすれば、買い物や通学などのための外出などを必要以上に制限する必要はありません。
感染防止に細心の注意をしつつ、日常生活を行うこと、社会経済活動を行うことが重要と言えます。
|