こうした懸念について、韓国政府の関係者は「文大統領の発言は、演習を行うかどうかや細部の計画を北朝鮮と協議したいという意味ではないだろう」と語った。「北朝鮮が防御的な目的の合同演習に対して一方的に反発ばかりするので、北朝鮮の立場が何なのか対話の場を用意し、一度聞いてみようという趣旨」だという。それでも、韓国政府の高官はこのところ、合同演習の縮小・延期などを示唆する発言を続けている。鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相候補は5日、国会の人事聴聞会で、与党「共に民主党」の李洛淵(イ・ナクヨン)議員からの「コロナ危機が原因で演習の縮小は不可避とみられる」という質疑に対し、「そうだ」と答えた。鄭候補は「適切な水準の合同演習は継続して実施すべき」としつつも、「ただし大規模な合同演習は、韓半島の状況にさまざまな含意があるので、米国側ともひんぱんかつ緊密に協議している」と語った。統一部の李仁栄(イ・インヨン)長官も今月4日、「南北対立に火を付ける方式よりは、より柔軟に、賢く対処する方式を探すべき」と発言した。
このため、演習の主務部処である国防部が「合同演習は計画通り施行する準備をしている」(徐旭〈ソ・ウク〉長官)という公式見解を維持しているにもかかわらず、いかなる形にせよ演習の規模・時期などが調整されるだろうという見方が多い。元政府高官は「在韓米軍はもちろん米国本土でも『果たして韓国には演習を行う意思がありはするのか』という懸念が高まっている」と語った。チョン・インボム元特戦司令官は、本紙の電話インタビューで「韓国軍は既に韓半島平和プロセスを支援するため、合同演習の実機動訓練(FTX)を中止した」とし、「シミュレーション中心の基本的な指揮所訓練(CPX)だけが残っている状況なのに、これすらも縮小するとなったら心配」と語った。