■自動運転の難しさ

自動運転の実現の難しさは、大きくわけて以下の３点に整理できる。

①責任の所在

• 自動運転車が事故を起こした場合、誰が責任を追うのか？誰が過料あるいは損害賠償を支払うのか？
  • システムが暴走し、運転者の介入できる余地なく事故を起こした場合は？
  • システムが暴走したものの、運転者がもしその場で手動運転に切り替えれば事故を防げていたところ、切り替えなかったので事故を起こした場合は？
    • この時システム側はアラートを発していたとしたらどうだろう？
  • システムに不具合が生じ、即座に運転者に操作権が移ったが、運転者のほうが瞬時に対応しきれずに事故を起こした場合は？

②運転者のモラル・運転技術の低下

• システムがどうしても運転不能になった場合（システムの不調や障害のほか、道路状況、車体状況によるもの）、運転者が正しく操作を受け継ぐことはできるのか？
  • このため、運転免許や運転技術を持っていない者は結局自動運転車の運転席には座れない
    • 免許返納後の高齢者も運転できるなどといった理想が語られているが上記事情から無理
    • 「そのような場合には路肩に安全に停車する」としても、そこから帰宅できないのは致命的
  • 免許を持っているとしても、長期間自動運転に任せている人間が、忘れずに正しい運転技術を備えているか？
• システム不調により突発的に運転を受け継いだ人間は、即座に運転できる姿勢となっているか？
  • テレビやお喋りに熱中していたり、お菓子を食べていたり、寝ぼけていたり、ぼんやりしていないか？
    • 運転者のそのような姿勢を防ぐことは現実的か？つまり、長時間の自動運転下、何の操作もしていない人間が常に自ら運転しているかのような緊張感と注意力を保つことは実際として可能なのか？
  • このような状況で事故が起きた場合の責任の所在は？（①の再掲）

③法令との関係性

• 現在日本の交通環境で制限速度を厳格に守っている運転者はほとんどいない。しかし、自動運転車がシステムとして、法令違反の運転ができるという仕様を組み込んでしまうことは許されない
  • 自動運転システムは絶対に制限速度を守るので、現代日本の車の流れに乗ることはできないのでは？
    • 渋滞の発生原因等にならないか？
• 制限速度以外にも、右折する時や譲り合う時、追い越し車線の走行時など、運転者は柔軟に道路交通法に違反しながら通行している。これがシステムに可能か？
  • たとえば信号のない交差点、絶え間なくやってくる直進車に対し、安全寄りにマージンをふってしまっているせいで無限に右折待ちをするようなことが起きないか？
  • 道路交通法には「道路や交通の状況によりやむをえない時」は従わなくてもよいというような但し書きがついている規定もある（追い越し車線の走行禁止などがその例）。しかし、自動運転システムに「道路や交通の状況によりやむをえない」かどうか判断する能力を持たせることは可能か？無理なら、システムは一番厳しく原則に従う以外の手段は取りえないのでは？
    • 本気で考えるとロボット三原則とフレーム問題みたいな話になりそうだ

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