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産業界を席巻した数々の「循環取引」 (4)
 

■ メディア・リンクス事件

 粉飾決算、インサイダー取引、架空取引、業務上横領、手形乱発、手形詐取、有価証券報告書虚偽記載、偽装増資、預金通帳改ざん、乗っ取り、そして登場人物は事件師や暴力団……。
 何でもありの伏魔殿が、03年に倒産した元大証ヘラクレス上場のITベンチャー企業、メディア・リンクス(以下、メディア社)だった。

 ありとあらゆる悪を呼び込んだ、そもそもの発端は、株式上場に必要な売上高を確保するために循環取引に手を出したことにあった。伊藤忠商事のIT関連子会社・伊藤忠テクノサイエンスの営業部長の指南で、伝票操作で売上を水増しする循環取引が始まった。循環取引で売上を膨らませて上場審査に臨んだ。そして首尾よく、ナスダック・ジャパン(現・ヘラクレス)への上場を果した。

 当初、メディア社の伝票操作の相手は伊藤忠テクノだけだった。だが、02年10月の上場を機に、循環取引はエスカレートしていった。今さら売上を落とすわけにはいかなかったからだ。IT企業約80社に「伝票通し」(あらかじめ売り手と買い手が決まっている取引に介入すること)への協力を依頼した。ソフトバンクBBやライブドアなどが、取引の環に加わった。IT業界では、開発に長期を要する商品を、納品する前に伝票だけを動かして処理する取引が日常的に行われていたことに目をつけた。

 架空売上は「循環取引」という手法でつくられた。IT協力企業は名目上、メディア社から商品を買い取り、2~3%の手数料を上乗せして別の会社に転売する。転売を繰り返し最終的にはメディア社が、協力企業への手数料を含んだ価格で買い戻す仕組み。一連の操作は伝票だけで行われた。メディア社は手数料額の損失が生じるが、売上高を水増しできるので会社が成長していることを装うことができるうえに、一時的に運転資金が得られるメリットがある。一方、協力企業も売上げが立ち、手数料の数%程度が利益になるメリットがあった。

 循環取引は巨額に達した。メディア社の上場後初の決算にあたる03年3月期の売上高は168億円。この数字は真っ赤な嘘。同期の真の売上高は約21億円。約147億円もの粉飾決算だった。売上を水増しするために仕組んだ循環取引は総額約220億円にのぼっていた。

 循環取引で生じた損失を穴埋めするために、メディア社はありとあらゆる悪に手を染めていったのである。




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