2021.1.22

台風被災の川崎市市民ミュージアム、『少年マガジン』『鉄腕アトム』など4万点の収蔵品を廃棄処分に

令和元年東日本台風によって収蔵庫の浸水と収蔵品の被災を受けた川崎市市民ミュージアム。川崎市は同館所蔵の資料約4万点について廃棄処分すると発表した。

被害を受けたマンガ雑誌等を収蔵する第6収蔵庫の様子 提供=川崎市

 2019年10月の台風19号によって収蔵庫が浸水し、収蔵品が被災した川崎市市民ミュージアム。現在も修復作業が継続されるなか、約4万点の収蔵品を廃棄処分することが明らかになったた。

 1988年に開館した川崎市市民ミュージアムは、写真やマンガ、グラフィック、映画、映像などの「複製技術芸術」の歴史に関わる総合的なコレクションを有する美術館。令和元年東日本台風では9つの収蔵庫が浸水被害を受け、収蔵品が被災した。昨年6月には約22万9000点の収蔵品が運び出されたが、いまだ修復作業は続いている。

 こうしたなか、川崎市は同館が購入または寄贈を受けた作品等4万2237点の廃棄処分を決定。その多くを占めるのは雑誌・単行本だ。

 写真分野では『アサヒグラフ』が3023点(うち購入2321点、寄贈702点)、『LIFE』が1779点(すべて購入)処分に。またマンガ雑誌では、『週刊少年マガジン』『週刊漫画アクション』『週刊少年サンデー』『週刊少年チャンピオン1180冊』『週刊ヤングジャンプ』など1万5237点(寄贈)と、受入区分不明の『週刊漫画サンデー』など7826点。マンガ単行本では、『あしたのジョー』などの1713点(購入)と、『ゴルゴ13』『進撃の巨人』『鉄腕アトム』など受入区分不明の1万1525点が廃棄される。

 被災収蔵品については、「被災収蔵品の処分に関する運用基準」が定められており、「被災状況が酷く、複製印刷物などで市民ミュージアム以外でも存在が確認できた又は同一のものが入手できる場合」などは、所定の手続きにより管理台帳の登録を抹消したうえで、処分することができるとしている。


2021.2.3

30年の歴史に幕。「写真新世紀」の公募が終了へ

キヤノンは、新人写真家の発掘・育成・支援を目的とした文化支援プロジェクト「写真新世紀」の公募を、2021年度で終了することを発表した。

審査の様子(昨年度の優秀賞選出審査会にて)
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 1991年にスタートし、今年で30周年を迎えるキヤノンの文化支援プロジェクト「写真新世紀」。その公募が21年度をもって終了することが発表された。

 「写真新世紀」は、「写真表現の可能性に挑戦する新人写真家の発掘・育成・支援」を目的としたプロジェクトとして広く知られ、数多くの作家を顕彰してきた。昨年度は過去最多の応募者数を記録したいっぽう、近年はインターネットやSNSで個人が自由に情報を発信するようになり、制作・表現の場は拡大している。こうした社会的背景を受け、キヤノンは30周年の節目で公募を終了。22年以降の「写真新世紀」の活動については詳細が決定次第、明らかにするとしている。

 なお最後の公募となる第44回は、美術評論家・椹木野衣、写真評論家・清水穣など国内外から7名の審査員を迎えて開催。募集は3月17日から5月31日まで行われ、6月に開催する「優秀賞選出審査会」において、優秀賞7名(組)と佳作14名(組)を選出。その後、11月に行う「グランプリ選出公開審査会」で優秀賞受賞者のなかからグランプリ1名(組)を選出する。グランプリ受賞者には、奨励金100万円と副賞のキヤノン製品のほか、特典として2022年における個展開催の権利などが授与される。応募要項の詳細などは、「写真新世紀」公式サイトをチェックしてほしい。

2020年度グランプリ受賞作品の樋口誠也《some things do not flow in the water》より