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学園騎士のレベルアップ! 〜 レベル1000超えの転生者、落ちこぼれクラスに入学。そして、 作者:三上康明
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エピローグ 卒業式は華やかに

大ッッッッッ変お待たせしました!

「学園K恣意のレベルアップ!」これにて一応のエピローグでございます。

前話で1学期最後の舞踏会に出たところから——およそ8か月後、最上級生たちの卒業生のシーンとなります。

1万4千字超えていたのでちょっと長くて恐縮ですが、お付き合いくださいませ。


最後に「学園騎士のレベルアップ!」の告知もあるよ!

『ここはクラッテンベルク王国最高の学び舎にして、世界一の学び舎でもある。最高の教官、最高の教師がいる。そして長く苦しい任務実習、極めて難度が高いながらも努力すれば必ず解けるように設定された卒業試験、これらを突破してきた私たちもまた、最高の卒業生だ。——才に敬意を、胸に誇りを、剣に忠誠を』


 魔法を利用した道具によって、声は朗々と大きく響いている。

 ここは円形の学生講堂であり、2階席、3階席、4階席まですべて生徒たちで埋まっている——色とりどりの制服に身を包んだ生徒たち。

 ただ、卒業生たちだけは服装が違う。

 各クラスによってバラバラだった制服のレギュレーションも、卒業のときには統一されているらしい。とは言っても一か所だけだけどな。

 みんなそろいの、真紅のマントを羽織っているのだ。


「才に敬意を」


 ドンドンと足踏みする生徒——講堂に集まった全生徒。


「胸に誇りを」


 トントンと胸を叩く。


「剣に忠誠を」


 腰に吊った剣——武器を叩く、ジャッジャッという音が響く。

 一年近く前、俺たちは呆然とそれを眺めているだけだった。だけれど今は慣れたもんだ。みんなそろって、腰に吊った模擬剣や弓、杖を叩くと視線を交わして照れ笑いする。


「ボクたちもこの『騎士学園三拍子』が様になってきたと思わない?」


 イタズラっぽく笑ったのは俺の左隣にいるリットだ。

 こいつ、学生寮のルームメイトである俺に隠れてこそこそと誰かに会っているっぽいんだけど、なかなかその相手が誰なのかとか話してくれないんだよな。こそこそ会うってなったら基本は女だよな。

 そう、確か1学期の後半から……。オリザちゃんは知ってるっぽいんだけど教えてくれない。オリザちゃんに会ってるのかと思いきや、「リットとは会ってねーよ」という気になる返答があった。

 くっそー、教える気ないんだよなあ、リットは。

 シャイなの?

 シャイなだけだよね?

 俺が嫌いなんじゃないよね?


「……な、なんだよその捨てられた子犬みたいな目」


 ドン引きしているリットに、同情を誘う作戦は通じない。知ってる。コイツが守銭奴だってこと。俺知ってる。

 いやー、ほんと、こいつとはいろいろあったな。

「金稼ぎ」と言ったら「リットさん(・・)チィーッス!」なんて符牒ができるくらいにはリットの守銭奴っぷりはクラスに浸透した。

 黒鋼寮の運営費足りない問題は、入学当時からずっと俺の頭を悩ませてくれたんだけど、レッドアームベアを倒して得た素材が結構な金額で売れて、それがなかったら正直ヤバかった。

 それだけじゃない、リットが食材や建材の仕入れ先を開拓してくれたり、値切ったり、業者を泣かせたりしてくれたおかげでなんとかかんとか黒鋼寮は回っているんだ。


「ねえ、業者さん。ボクら卒業したら騎士になるんだ。黒鋼士騎士団(ブラックソルジャー)ってところに所属することになるんだけど……そこのウワサ、知ってるよね?」


 と、にっこり微笑みかければ業者は泣いて安くしてくれる。それくらい黒鋼士騎士団の悪評は広まっているらしい。

 先輩たち……マジでなにやらかしまくってるんだぜ……。

 ああ、リットさん(・・)は鼻血が出るほど値切ったりはしないんだよな。こっちの足元を見てきたり、明らかに材料がだぶついていそうなところを狙ってやる。そういう弱みも商人側にはあるので交渉はうまくいった。

 そんなこんなで、お金に関することはクラス内では「リットさん(・・)に相談しろ」という不文律ができあがった。

 いろんな業者に会ったり、ちょっとヤバイ裏通りに入って囲まれたり(もちろん全員ボコボコにした。累計レベル1,000超えをナメるなよ?)、こいつとはほんっっっっといろいろあった。

 もっと感謝していい。

 だから密かに会ってる女が誰なのかくらい教えて? ダメ? なんでや!


『私たちは多くの経験をした。もちろん、これから始まる正式なる騎士としての任務の前では小さな経験に違いない。それでも、私たちの経験はムダじゃない。なぜならつらく厳しい環境に遭遇したら、きっと思い出すのはこの学園で過ごした思い出だからだ』


 ジュエルザード第3王子のスピーチを聞いて、うむうむとうなずいているのは俺の右隣にいるスヴェンだ。


「……師匠と過ごした日々をきっと思い出す」


 しみじみと誰にも聞こえない——むしろ俺にも聞こえて欲しくないのに俺だけに聞こえるくらいの声で言うんだよこいつ——声でつぶやく。

 スヴェンは見事、【剣術】スキルのレベルを200まで上げて、エクストラボーナスである「瞬発力+1」を手に入れた。

 手に入れたのはついこないだなんだけど……こいつのレベルの上がり方、ちょっと遅いんだよな。

 他のスキルがまったく生えてこない(・・・・・・)のは天稟「剣の隘路を歩みし者ロング・アンド・ワインディング・ロード」という、レアな天稟のせいだと思われる。

【剣術】しか使えないのに成長が遅いとかなんなん? 生まれつき不幸な存在なの? ひとりヘルモードなの? まさかの転生者?

 とか思いつつも……こいつのスキルには少々の異常を感じていた。

 レベル100で覚えるエクストラスキルの「斬撃(スラッシュ)」は明らかに他の人のそれより強いんだよな。

「瞬発力+1」なんて半端ないのよ。たぶんこれ「+1」じゃなくて「+2」か「+3」はある。表示は「瞬発力+1」なのにね。

 だから最近、スヴェンと手合わせするとこいつがびゅんびゅん動くもんだからなかなか歯ごたえがある。スヴェン、報われてきたな〜〜! って茶化すと、「いやあ、ぐふ、ぐふふ、師匠のおかげで、ぐふっ」とキモイ笑い方をする。

 ちなみに「瞬発力」で走り回ると地獄の筋肉痛に襲われる。今も俺の右隣でぷるぷる震えているのは、ジュエルザード第3王子のスピーチに感動しているからじゃなくて単に筋肉痛のせい。


「チッ、おい、スヴェン。これが終わったら模擬戦だからな。勝ち逃げするんじゃねえぞ」


 スヴェンの向こうでイラついているのはトッチョだ。すでに「太っちょ」の面影はなく、引き締まった身体に元々教育されている貴族としての振る舞いから、他クラスの女子から人気があるらしい。

 ……え? 全然うらやましくなんかないですけど? 13歳14歳の女子にモテてもうらやましくなんかないですけど?

 ただ。

 ただなァッ!

 俺を捕まえて「あ、あのっ、トッチョ様の付き人さん! トッチョ様にこの恋文を渡してくださいませ!」とか言ってラブレターを俺に渡すなよォ!

 付き人じゃねーし!

 むしろトッチョには取り巻き4人がいるでしょーが!

 ……どうやら、取り巻き4人は貴族の息子たちで俺がいちばん貧相な格好をしているから俺が付き人に見えるようだ……。


「ふん……。ここでお前が勝っても勝率5割になるだけだが?」

「お前に負け越したまま1年次を終えるなんて死んでもイヤだぜ」


 トッチョとスヴェンの模擬戦はいまだに続いているようで、今のところスヴェンが280勝279敗で勝ち越しているんだとか。死ぬほどどうでもいい。毎日勝ち負けを俺に報告しなくていいから。

 とはいえ、スヴェンの異様なエクストラボーナスを得た後の動作にも食らいついていくトッチョはトッチョですげーんだよな。

 秋の武技個人戦では準決勝でキールくんに当たって負けてたけど、かなりいいところまで追い詰めてたしな。


(……おっ、キールくん)


 そのキールくんは、白騎クラスの先頭に座っていた。俺の視線に気がついたのか小さく手を振ってくれる。その姿、まさに天使。ああ、キールくんがこれから声変わりするなんて信じたくないんだぜ……。

 ちなみに秋の武技個人戦はキールくんが優勝で、2位がスヴェンだった。スヴェンは準決勝で蒼竜クラスのヴァントールというチンピラ風貴族(この学園にはそんなんばっかりいる気がするけど)と当たり、激戦で相当消耗していたんだわな。

 お互い消耗した同士で戦って、最後はキールくんが勝つんだから、やっぱキールくんすげーわ。あれで勉強も学年2位なんだからバケモノだよな。

 ちなみに俺は、座学試験のほうで学年1位を獲ったので武技の個人戦は棄権した。上位に入っても、めんどくさい上級生から、


「これ、そこな平民。マロのボディーガードに雇ってつかわす」


 とか言われるだけだってことに気がついたんだもんよ。案の定スヴェンは、個人戦後に大量のスカウト(という名の奴隷契約)が殺到して辟易していたもんな。あとヴァントールからも目をつけられ、毎日のように模擬戦を申し込まれている。

 いやー、スヴェンさん大人気! トッチョにヴァントールにクソ貴族……おっと口が滑りましたことよ、しちめんどくさい上級生たち(全部男)に囲まれて大変そう!

 ……の割りに、嬉々としてトッチョとヴァントール、それに蒼竜クラスの武闘派やら黄槍クラス、碧盾クラスの武闘派と模擬戦しまくってるんだよな。

 実は、俺よりも他クラスにネットワークがあるんじゃないか疑惑がある。


(でもまあ、おかげさまで、腐った女子の皆様に大好評の「裏☆|ロイヤルスクール・タイムズ《学園新聞》」の新しいネタには事欠かないんだけどなあ)


 最近の鉄板ネタは「無口(見せかけて口下手なだけで内側には熱く燃えるパッションがある)孤高の剣士」を奪い合う「細長くて硬い槍(隠喩)の戦士」と「燃える竜のテクニシャン(直喩)」という組み合わせらしい。ルチカ大先生の筆は今宵も絶好調だ。

 そんなルチカはトッチョとの仲も良好で、今日の卒業式が終われば俺たちも春期休暇に突入することから、ふたりで実家に帰るらしい。

 俺もトッチョの実家に来ないかと誘われたんだけど、断ったんだ。

 いやさ、先約があっただけってだけなんだけども。


『改めて言おう。白騎クラスの仲間たち、競い合った他のクラスのみんな……ほんとうにありがとう。そしてこの先、騎士の道に進んでもみんなよろしく!』


 ニカッ、と笑って見せたジュエルザード第3王子に、キャァァァアアアアォォォオゥッととんでもない黄色い歓声が上がり(男も混じってないか?)、バタンバタンと女子の倒れる音があちこちで聞こえた(男は倒れていなかった。むしろ立っ……)。それを学園の事務員たちが手早い動きで回収して医務室へと運んでいく。

 いつも思うけど、手慣れすぎてね?


『我ら進む道は違えども、志はひとつ! 王国に栄光あれ!』


 真実はいつもひとつ、みたいな感じだった。

 栄光あれ、という声とともに卒業生たちは一斉にマントを脱いだ。

 その瞬間、マントは炎の鳥となると中空へと舞い上がる。

 同時にゴウンゴウンと軋みながらも講堂の屋根がばっくりと左右に開いていく——すげー、全天候対応のドームみたいだな。

 青空と、太陽の陽射しが降り注ぎ、炎の鳥たちは混じり合い、あるいはくるりくるりと回転しながら空へと上っていく。

 最後は、パンッ、パンパンッ、と花火のように弾け飛んだ。


 ワァッ————。


 生徒たちの歓声が響き渡る。

 こうして、ジュエルザード第3王子たちの卒業式が……俺たちにとっては初めて目にする先輩たちの卒業式が終わった。

 いやしかし、派手だよね。




 中庭には相変わらず人が来ないので重宝している。

 敷地が広いこの学園には中庭がいくつもあるんだけれど、白猫(リュリュちゃん・♀)が現れるこの中庭だけは通りがかる生徒もいないほどに、なぜだか誰も近寄らない。

 ははーん、これはアレだな? 隠蔽の魔法が掛かっているな?


「……んなワケないっつの。なあ? リュリュちゃん」


 ベンチに座る俺が手を伸ばすと、横で寝そべっていた白猫はうーんと伸びをしつつピンク色の腹を晒した。

 そこをさすさすしてやると、くてりとリュリュちゃんの力が抜ける。気持ちがいいらしい。

 は〜〜〜癒される。

 派手な卒業式を見て、これから実家に帰るからとバタバタしている貴族や平民の子たちが忙しないので、俺は一時的に避難してきたのだった。

 この白猫ともずいぶん仲良くなった。

 とはいえ、


「りゅ、リュリュちゃんが無防備なお姿でいらっしゃいますもの……!?」


 緋色のスカートを穿いたリエリィが鼻息荒く現れると、白猫はすさまじい勢いで立ち上がり、ベンチを乗り越えて奥の茂みへと逃げ込んだ。


「あ、ああっ……」


 うん、俺にしか懐かないんだよな、リュリュちゃんは。なんか知らんけど。


「あああ……」


 しょんぼりしながら、白猫のいたベンチをさすって、そこにちょこんと座ったこの少女のことを「吹雪の剣姫」とか呼ぶヤツらがいっぱいいる。

 どこが吹雪なんだろうね。


「よう、リエリィ。卒業式すごかったなー」

「はい……お姉様たちともお別れですもの……」


 緋剣クラスは女子しかいないこともあって、学生寮は完全なる女子寮だ。そこには先輩と後輩が入り乱れるので上下の仲は非常に良好。

 上級生は「お姉様」、下級生は「妹」という、マ●ア様が見てるではないのだが、とにかく仲がいい。

 リエリィはクラスメイトからは「吹雪の剣姫」と恐れられているが、先輩の中には可愛がってくれている人たちもいて、その人たちとの別れが寂しいと前から話してくれていたんだ。


「でも、あと一月の辛抱だよ、リエリィ」

「……え?」

「そうしたら新入生が入ってくる。君の『妹』たちだ。そのときには立派な『お姉様』としての姿を見せるんだぞ、去年の春に先輩たちがそうしてくれたみたいに」

「あ——」


 リエリィの瞳には俺が映っている。だけれど、彼女が見ているのは、彼女が入学したときの記憶だろう。


「そうですもの!」


 がばっ、と立ち上がり、拳を握りしめるリエリィ。


「くよくよはしていられませんもの……いい『お姉様』にわたくしもならないと!」

「そうそう、その意気だよ」

「怖がられない『お姉様』に! ……大丈夫でしょうか?」

「きっと大丈夫だ。リエリィが優しい子だってことは俺はちゃんとわかってる」


 この中庭で知り合ったリエリィ。

 彼女は一途で、思い詰めるところがあったけれど、一年掛けてずいぶん変わってきた気がする。

 とっつきにくいのは、それだけ彼女が自分の身の上——名門伯爵家の娘——にプレッシャーを感じているだけだった。

 少なくとも、学園にいるときはほんとうの自分らしく生きていたらいい。

 そう、すぐには変われないけれど、それでも彼女とはリュリュちゃんを探したり、リュリュちゃんをあやしたり、リュリュちゃんを餌付けしたり……いやほんとリュリュちゃん絡みしかないな!? ともかくいろいろあって、少しずつ変わってきた。


「…………そ、それだけですか?」

「へ?」

「優しいだけですか……?」


 リエリィが唇をとがらしている。

 え、追加の褒め言葉が必要なところなのか、ここ? マジか、思春期に突入してる女の子の喜ぶ言葉とかよくわからんぞ、俺は……。

 うーむ、この子は確かに信じらんないくらい造形整った顔してるからな、顔のことは避けた方がいいな。


「そうだな、リエリィは……素早い」

「素早い!?」


 驚いている。この選択はミスったようだ。


「そ、それに——えっと」

「…………」


 うお、じーっと見つめてくる。こんな美少女に見つめられたことなんて前世ではまったくなかったよな……。だけど、年齢が! あと5年……いや、せめて4年経たないと俺のストライクゾーンに入ってこない!

 あ、そうだ。


「こ、ここのところ、大人っぽく見えるようになってきたよ」

「……大人っぽく、ですか?」

「そうそう。落ち着いているし、先輩の影響かもしれないけど大人の女性っぽく振る舞おうとしてるだろ?」

「それは貴族のたしなみのひとつとして……ですもの。ですが、それは魅力的、なのでしょうか?」

「もちろん!」


 俺のストライクゾーンは18歳以上だからな(見た目年齢)。

 だからもっと大人っぽくていいんですよ。

 それを考えると今年卒業する先輩方の中にはそりゃもう色っぽい方がいて……。


「クローディア様よりも、ですか!?」

「え?」


 クローディアは、碧盾クラスの女の子だ。俺が販売している「裏☆ロイヤルスクール・タイムズ」の主要購読者でもある。

 最近は俺が主催している黒鋼クラス向け(と言いながら全クラスに公開しているのだがクラス外の参加者はぽつりぽつりだ)の勉強会にもよく来てくれている。最近はリエリィが、どうもクローディアをライバル視しているようなんだよな……中庭でしかそんなこと言わないから、俺以外に知ってる人はいないけど。勉強も、武技も、リエリィのほうが上なのに。

 クローディアは背も伸びているみたいで正直に言えばリエリィよりも大人っぽい。

 まあ、俺から見たらまだまだみんな子どもだけどな。


「も、もちろん、そうだよ」


 だけどここで、正直に答えるほど俺もアホではない。


「やりましたもの!」


 ガッツポーズをして喜んでいるリエリィ。

 この子が、こういうふうに感情をあらわにしてくれるようになったのはうれしい。


「あ……そろそろ行かないといけませんもの」

「ああ、実家に帰るんだっけ? 気をつけて」

「はい。ソーマさんも……また新学期にお会いしましょう」


 リエリィは貴族ふうの、美しい礼を取るとふわりと笑って見せた。


「あ——」


 どきり、とした。

 子どもだ子どもだと思っていたリエリィがたまに見せる「令嬢」としての側面は、俺の心臓に悪い。これは、あれだ。ときめきとかじゃなくて、慣れない「貴族」に対するびっくりどっきり的ななにかだ。きっとそうだ。

 だけれど去っていく彼女の後ろ姿から、俺は目が離せなかった。




「おー、だいぶ大荷物だな」


 黒鋼寮の自室に戻ると、リットがドデカいリュックを前に思案顔だった。

 俺が後ろから声を掛けると、ハッとしてリットが振り返る。


「ソーマ! お願いだよ。王都まで運ぶの手伝ってよ!」

「ん、それは構わんぞ」

「やったっ。銀貨1枚でいい?」

「いや、別に同室なのに金なんて取らんよ」

「いやいや、こういうのはしっかりしておかないと」

「いやいやいや、ほんとに同じ部屋のよしみだろ」

「いやいやいやいや、貸し借りはよくないから」

「それなら銀貨2枚か3枚が相場だろーがなに値切ってんだよ」

「チッ!」


 リットが守銭奴顔になりながらも、銀貨を2枚出した。


「毎度あり。——スヴェン、そんなわけだから王都経由で帰ってもいいか?」

「はい、もちろんです」


 帰る実家がない、というスヴェンは俺といっしょに俺の生まれた村へと行くことになっている。これがトッチョの実家行きを断った俺の「先約」だ。

 俺も別に帰るつもりは全然なかったんだけど、親から、「いい加減顔を出せ」「レプラとミーアがヤバイ」という手紙が来ると、さすがに帰らないわけにはいかない。

 レプラは2歳年下の、実家の隣に住んでる男の子だ。ミーアはそのさらに隣に住んでいる女の子。

 レプラに関しては俺が天稟「試行錯誤トライアル・アンド・エラー」に目覚めてからというもの、アイツを実験台……もといアイツに協力してもらっていろいろとスキルレベルの検証を行ったという過去がある。

 そのせいで、まあ、うん、アイツはだいぶ武闘派になったもんでな……。

 俺が街を離れるとき、


 ——ソーマ、お前がおらんくなったら誰がレプラを止めるんじゃ!


 と町長に言われたけど「ごめん、俺、騎士になるんだ……(遠い目)」で押し切って置き去りにしてきた。

 アイツ、腕利きと見るやとりあえず襲いかかるクセがあるからな。レプラにはスヴェンをぶつけておけば問題ないだろう(名案)。

 ミーアは6歳にしてすでに腐っていた女子という逸材で、俺は今回、帰省に当たってルチカ先生の原稿を持っていく予定である。あと1年してからミーアも入学して「裏☆ロイヤルスクール・タイムズ」の執筆陣に加わってくれれば収入源は盤石というものよ……!


「おい、ソーンマルクス……腹黒さが顔ににじみ出ているぞ」


 俺が自分の荷物を手早くまとめ、リットのドデカいリュックを背負って降りていくと、黒鋼寮のロビーには担任のジノブランド先生がいた。


「あれ? 先生、どしたの? 妹さんに会いた過ぎてとっくに帰省してるかと思ってた」

「……お前、俺をなんだと……まあ、いい」


 脚気に苦しんでいた妹さんはすっかり元気になったけれど、ジノブランド先生も「生徒を導くのは教員の使命!」という謎の責任感であまり会いに行っていない。

 休暇中くらいは気兼ねなく行けばいいのにねえ。


「初めて帰省する者も多いから、乗合馬車の乗り場についてや、休暇中の注意についてレクチャーしに来たんだ」

「へー……」

「……お前には必要なさそうだな。くれぐれも気をつけて帰れ」


 ぽんぽんと俺の頭を叩くと、俺のクラスメイトたちがいるほうへと歩いていった。「……ったく、いつになったら恩を返させてくれるんだ……」とかなんとかぶつくさ言いながら。

 いやいや、まともな先生になってちゃんと授業をしてくれるだけで十分ですってば。


「んだぁ? お前も帰省すんのか、ガリ勉」

「なんだ、フルチン先輩か」

「いい加減その呼び名止めようぜ、な!?」


 王都に家族がいるというどうでもいい個人情報を俺に告げたフルチン先輩は、今日はしっかりズボンを穿いていた。


「あれ? 先輩は卒業でしょ? なにしてるんですか? もしかして留年? やっぱりなあ〜」

「やっぱりじゃねえよやっぱりじゃ。これでも寮長だからよ、次の寮長にバトンタッチしとかねえと卒業もできねーんだよ」

「あ、そういうものですか……で、次の寮長はどちらに?」


 まーた寮費をちょろまかすようなヤツだとしたらシメてやらなければいけませんよねえ……フヒヒ、と俺が舌なめずりをしていると、


「ん?」


 とんとん、とフルチン先輩が俺の肩を叩いた。


「なんすか?」

「お前だよ」

「なにが?」

「次の寮長」

「え? 俺……」


 きょろきょろと周囲を見ると、みんながうんうんとうなずいている。


「ファ——————!? 俺まだ入学して1年ですけど!?」

「今の2年以上も全員賛成だったよ。くっくっ、その顔を見られただけでも残ってた甲斐があったぜ。そんじゃな! 寮長の部屋は俺が使ってた(・・・・・・)部屋だ。せいぜい寮をよくしてくれよな、あばよ!」


 片手を振ってフルチン先輩は寮を出て行った。


「マジかよ、俺が寮長……」


 いや、考えようによっちゃいいんじゃないか? お金の部分は全部透明にできるし、無駄遣いはビシバシ取り締まれる。

 それに寮長の部屋は1階だから、もうつらい階段を上がる必要も……。


「って、待って待って待って! 寮長の部屋ってあのクソ汚いとっちらかった部屋かよ!? ちゃんと片づけたんだろうな!?」


 寮の出口に立って、首だけこちらを振り向いたフルチン先輩は「ニカッ」と笑って見せるとウインクとともに親指を立てて見せた。

 直後、脱兎のごとく逃げ出した。


「あんのクソフルチン……ぜってぇ片づけてねぇな……」


 ぴきぴきと俺の額に青筋が立つ。ああ、これは絶対に許されませんわ。この恨み、俺が卒業して騎士団に入った後に絶対に晴らして見せますわ。


「君……こんな日までバタバタとなにやってんだよ」


 やれやれとばかりにリットがため息を吐き、


「師匠、早く行きましょう。馬車に遅れます」


 とスヴェンが言ってくる。


「お、おう……それじゃみんなも元気でなー。また新学期に会おうぜ」


 ロビーにいたクラスメイトたちに手を振って、俺は黒鋼寮を出る。

 と、そこへ、3人の男子が近づいてきた。


「おい、お前らちょっと来いよ。オリザ様がお呼びだ」


 3人の男子は、丸顔、眉が吊り上がって垂れ目のバッテン顔、それに角張った顔。わかりやすくて結構である。

 寮の前の小さなスペース。

 そのベンチに座っていたのは——。


(あれ? なんかこれ……覚えがあるような)


 そうだ、確かに俺たちはここで出会った。

 あのときから1年経った。小さいころの1年は気が遠くなるほどに長くて、中学校のころはそこそこ長かった記憶がある。

 そこからだんだん短くなって、大学の1年なんてあっという間に過ぎていった。

 この世界で、この学園にいるみんなにとっては——まだまだ1年は「長い1年」に違いない。


「……もう、行くのかよ」


 ベンチから立ち上がったオリザちゃんは、1年近く前とは比べものにならないくらい成長していた。いやほんと、女子の1年はやっべーな。すでに大人の色香みたいなものを漂わせ始めてるもんな。

 オリザちゃんは俺よりも身長が高くなって、肉付きだけで見たら十分俺のストライクゾーンだ。ただまあ、やっぱり立ち居振る舞いとか、顔に残るあどけなさとかが「年齢相応だなあ〜」と思ってしまうんだけども。


「うん、ソーマには荷物持ちで王都にまでついてきてもらうんだ」

「そっか。気をつけてな、リット。王都で商売するんだろ? 気が向いたら顔を出してやるよ」

「ええ〜、そこは必ず来てよ、オリザ嬢」

「アタシもヒマじゃないんだよ」


 この1年でやたらと気安くなっているリットとオリザちゃんがそんな話をしている。リットはこの休暇中に王都で商売をするらしい。さすが守銭奴。さす奴。


「んで、ソーマ……アンタやっぱりうちには来ないのかい?」

「あー、ごめん。俺は実家に帰るよ」


 実はオリザちゃんからも、栄えあるフェンブルク家にご招待をいただいてしまっていたのだ。

 オリザちゃんの兄弟もいっぱいいるらしいし楽しそうではあるんだけど、実家に「帰るわ」って言っちゃった後だったのでお断りした。


「楽しそうなオリザちゃんち訪問はまた次の機会に」

「そうかよ……」

「どうしたの、オリザちゃん。そんな寂しそうな顔して。会えないのなんてちょっとだけじゃん。すぐにまた会えるよ」

「バッ、べ、別に寂しくなんかねーよ!」

「いやいや、寂しそうな顔してるって〜。そんなに寂しいならお手紙書こうか?」

「てめぇ!」


 くるん、とオリザちゃんが身体を翻し、


「『旋回蹴り(スピンキック)』!」


 放たれるかかとのハイキック——ああ、懐かしいな。これもここで受け止めたんだっけ。

 バシィィィンッ、と音が鳴ったのは俺の手が彼女の蹴りを受け止めたからだ。

 ただ、1年近く前に彼女のハイキックを受け止めたときに発動したスキルは一切使っていない。素の、身体能力だけで受け止めた。

 俺も結構強くなったんだよ?


「って——あ、ああ、あああ、オリザちゃん、それは……!?」


 あのときはオリザちゃんのパンツがはっきり見えたというのに、今、彼女の腰から膝上までは真っ黒な伸縮性に富んだ布地によって覆われていた。


「ふん。いつまでもアタシがスカートの中を無防備でいると思ってるんじゃないよ。これは最近、上級生の間で流行ってる『スパッツ』よ!」

「誰だよお! そんなロマンもへったくれもないもんを流行らせたヤツぅ!」


 転生者!? 転生者が俺以外にもいるの!?


「……いや、スパッツのアイディアってソーマがボクに教えてくれたんだけどね……」


 横でリットがぼそりと言う。げっ、マジ!? ……そう言えば、こいつとはいろいろと話した間柄だから、その中で言ったかもしれん……「肌着のアイディア」みたいなので……。

 まさか実用化に成功しているとは! リット、恐ろしい子! さす奴!


「あーあ、オリザ様のキックをムダにして○」

「ソーマは以前からこのキックの魅力を理解していない×」

「スッ、と意識が途切れるのがいいんだよ、スッ、とさ◇」


 ○×◇トリオは相変わらずなようでなにより。

 とそこへ、


「皆さん、それが騎士になろうという者の振る舞いですか」


 凜、とした声が響いた。


「キールくん!」

「ソーマくん、皆さん、なんだか懐かしい感じがしてしまいましたよ」


 苦笑しながら歩いてきたのはキールくんだ。取り巻きは相変わらず5人くらいいるんだけど、俺がキールくんに座学のテストで勝ち続けているので最近は大人しくなっている。

 キールくんが来たので、オリザちゃんと○×◇たちはすすすと俺たちの背後に回る。相変わらず公爵家は怖いらしい。


「そう言えばソーマくんと初めて会ったのもここでしたね」

「……うん、そうだね」


 本当は、俺はキールくんとジュエルザード第3王子が話しているのを陰でこっそりと聞いていた。だから、接近したのはここが最初ではなかったりする。


「あのときは、ソーマくんが……貴族ではない方が平然と話しかけてくれたことが、うれしくもあり、驚きでもあり、不安でもありました。周囲の圧力に負けて、結局ソーマくんも貴族とは距離を置いてしまうことになるんじゃないかと思ったりして……」


 あのとき、キールくんとジュエルザード王子が話していた内容もまさに、それだったよな。


 ——騎士は力を合わせなければいけないんだ。せめて学園の中にいるとき、貴族も平民も垣根を越えて対等に過ごすべきだ。それに気づくのに、私は遅すぎた……。

 ——それを言っているのはお兄様だけではありませんか。たったひとりで、どうしてそこまで……周囲からはよく見られないこともご存じでしょう。

 ——わかっているよ。でも誰かがやらなければいけないんだ。それが私である必要はないかもしれないし、確かに私のやっていることは貧乏くじを引くことにほかならない。それでも、「やることが正しい」とわかっていることを放り捨てることなんてできない。


 ジュエルザード王子はひとりでも戦おうと思っていた。貴族も平民もない、この国の根本にある「人が国を作る」という考えを実現するために。

 学園は本来、そのためにあった。

 卒業すれば騎士という貴族社会の端くれに所属することになるのだから、生まれがなんであれ、同じスタートラインに立たせるのだと。

 だけれど、そんな学園ですら貴族と平民の格差ははっきりとあった。

 俺は——前世で、たったひとりで親父の遺した会社の借金を整理するために駆けずり回った。

 だから、ジュエルザード王子に少しばかり共感したんだよな。


「俺は、折れなかっただろ?」

「はい。大樹のようにしっかりと根を張って、どんな強風にも負けず、どっしりと立っていらっしゃいます」

「いや、さすがにそれは褒めすぎな……」


 キールくんはそういう恥ずかしいことを平気で言ってくるのでこちらも赤面してしまう。


「ですが、私も大樹を見上げるのにそろそろ飽きてきました。いい加減その上に行きたいと思っています」

「……! いいね、その意気」


 挑戦的な目で見てくるキールくんは、天使としての幼くあどけない顔をたまに捨てる。

 その相手が俺だというのがたまらなくうれしい。

 実際、座学のテストでは俺とキールくんの得点差が縮まってきているからな。いや、まあ、俺がほぼ満点だからキールくんがどんどん満点に近づいてるってことなんだけど。

 コワッ!

 この子コワッ!

 前世での20年分の知識貯金が1年で追いつかれそうなんだけど!

 ま、まあ、座学が危うくなったら武技のほうで俺はがんばるけどな……。実は秋の個人戦に出なかったのは、他の貴族に目をつけられたくないというのもあるけど、座学か武技、どちらかでトップを獲ればどちらかを休んでおこうという俺の方針にもよるんだ。

 人間、がんばりすぎはいかん。

 ただでさえ俺は、どっちかで1位を取り続けないと退学になるんだからな……ヒゲの学園長との約束があるから。


「……私とソーマくんとの首位争いは、みんなが見ています。その姿を見れば、学園で結果を出すことに平民も貴族もないということをみんなわかってくれることでしょう」

「だといいけどなー」

「少なくとも、ソーマくんのお友だちはみんな、そう思っているようですよ」


 俺はちらりと横にいるリットを、スヴェンを見る。

 このふたりはもう、キールくんがどこの何者だろうと臆することはないようだ。

 するとキールくんの言うことは正しいのかもしれない。


「キールくんは、ジュエルザード王子の『やりたかったこと』を引き継ぐつもりなんだ?」

「……ええ、お兄様もそう願っていると——いえ、違いますね。これは私の『やりたいこと』なんです」

「俺も手伝うよ」

「ありがとうございます。誰に言われるよりもソーマくんにそう言ってもらうことがいちばんうれしいです」

「だから次のテストは手を抜いてくれよ?」

「!」


 キールくんは目を見開くと、あははははと喉を反らせて笑った。


「また、新学期にお会いしましょう」


 そうして優雅に手をひらひらとすると去っていった。


「……ソーマ、君、完全にキルトフリューグ様にライバル視されてるね」

「まーな」

「なに平然としてるんだよ。正直、そんなんなっていいことなんてひとつもないよ?」


 リットに言われた俺は、首をかしげた。


「いや、今さらじゃね? 貴族に好かれても嫌われても、いいことなんてないじゃん」


 今度はリットが目を瞬かせる番だった。


「それもそーだね!」

「だろ。じゃ、行くか」

「行きましょう。馬車の時間に遅れます」


 スヴェンがさっさと歩き出す。


「あ、おい、スヴェン。お前馬車の時間わかってんの?」

「……? いえ、知りませんが?」

「…………そっか、オッケー」


 スヴェンは相変わらずスヴェンだった。


「それじゃオリザちゃん、○×◇、またな!」

「ああ」

「まとめんな○」

「そうだ、こんなヤツらと×」

「こんなヤツらとはなんだ◇」


 ○×◇が言い争いを始めた。アイツらマジで仲がいいな。あれで生まれも育ちも違うっていうんだからどういうことなのって思っちゃうわ。


「ソーマ! 故郷のほうで変な女に引っかかるなよ! アンタはそれがいちばん心配なんだよ!」


 離れたところでオリザちゃんにそんなことを言われた。


「大丈夫! 誘惑されてヤバかったらオリザちゃんのこと思い出すから!」

「んなっ!?」


 オリザちゃんの顔が真っ赤になった。んもー、可愛いなあ。からかい甲斐があるなあ。


「お、お、覚えてなさいよ! アタシだって強くなるんだから! アンタのドタマに蹴り入れてやる!」


 からかわれたんだと気づいたらしいオリザちゃんがそんなことを言った。

 オリザちゃんも強くなってるんだよな。だけど、それ以上のペースで俺が強くなってるってだけで。


「……ねえ、ソーマ。君ってオリザ嬢みたいな女の子が好きなの? 活発な子っていうか……」


 隣を歩くリットが聞いてきた。


「好きだぞ」

「そ、そうなんだ……ふーん」

「リエリィみたいな子も好きだし、クローディアちゃんみたいな子も好きだ」

「はぁっ!? なんだよそれ!?」

「みんないい子だよな……ほんと、あと5歳、いやせめて4歳くらい上だったらよかったのに」

「? ? ?」

「リットにはわかんないか〜」

「年上が好きってこと?」

「リットにはわかんないよ〜」

「なにそれ! ムカつく!」


 リットは俺に肘打ちをしてから唇を尖らせる。こいつたまに、女の子みたいなふてくされかたするよな。


「まあ、そう怒るなよリット。今度またじっくり話そうぜ」

「……今度?」

「ああ」


 俺たちの向かう先には王都へと続く通用門がある。

 掲げられた学園旗に、高く上がった太陽の光が当たってきらりと反射している。

 俺はリットを追い抜いて、その学園旗の下で振り返った。


「来年度からも、よろしくな。リット、スヴェン」


 しょうがないな、という感じでリットは肩をすくめ、


「……うん」


 犬だったら間違いなく尻尾をちぎれんばかりに振っているだろうという顔(なのに無表情)でスヴェンが、


「もちろんです」


 と言った。


「いやほんとソーマは、ボクがついていないととんでもないことやらかすからなぁ」

「師匠。師匠がイヤとおっしゃっても地獄の果てまでついていきます」

「え、俺って地獄に落ちる前提?」

「むしろ天国になんて行けるわけないだろ」

「師匠のことですから、強者の多い地獄を選ぶのかと思っています。信じています」

「ちょっと待ってお前らの俺への認識って? ちゃんと話そっか?」

「今さら言うことでも……」

「師匠のことなら何時間でも話せます……」

「お前ら……」




 俺たちは歩んでいく、同じ道の上を。

 だけれどその道はどこかでずれたり、分岐したりするのかもしれない。

 入学式直後の、クラス分けがあったように。

 卒業後の騎士団の進路に振り分けがあるように。

 就任した騎士団で、配属先が違うように。


 あるいは、志が変わり、歩む道が変わるかもしれない。


 だけれどそれでも、俺はこの学園で得た仲間たちをずっと大切にしていきたい。

 騎士が国民を守るものならば、仲間たちもまた守る対象だ。

 今はまだ学園(・・)騎士だけど、どんどんレベルアップして、ちゃんとした騎士になればそれもできるはずだ。


 でもって、目指せ安定収入!

 これを忘れちゃいけないよな。

 俺は「堅実」を絵で描いたような男だからな——ってみんなに言ったら「は?」って顔されたんだけども。なんでだ?


というわけで、皆様、なんと、なななんと……


「学園騎士のレベルアップ!」のコミカライズが決まりましたぁぁぁぁ!


コミカライズは双葉社がうがうモンスターにて白石識先生が手がけます。

今週3/27日金曜日に公開されるのでお楽しみに!


マンガだよ! マンガになってソーマたちに会えるよ! すごくないですか? 原作は打ち切りなのに……!(自虐ネタ)

リンクは下部に記載するのでよろしくお願いします。

まだページとかはないので(当然ですけど)、出てきたら「活動報告」や私の「twitter」にて告知します!


Web版はこれにてエピローグですが、告知のタイミングでまた追加エピソードを書くこともあるかと思いますので、その際は是非またお読みくださいませ。


それともうひとつ! 本日から新作『限界超えの天賦スキルは、転生者にしか扱えない ー オーバーリミット・スキルホルダー』の連載を始めましたので、こちらも是非ご覧くださいませませ!

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