2020/12/14
日本登山医学会専門医制度についてのお知らせ
日本登山医学会専門制度委員会
専門医制度運営委員会
専門医制度運営委員会
2020年12月8日付で事務局長から発信されたとおり、2020年7月4日に開催された一般社団法人日本登山医学会社員総会において、日本登山医学会専門医制度が承認されました。これを受けて、専門制度委員会のもとに専門医制度運営委員会が設置され、具体的な検討を進めてきました。その結果を専門制度委員会に報告し、このたび実施が決定されましたのでお知らせします。
2021年4月より専門医制度を開始します。このため、2021年3月1日より第1回専門医申請の受付を開始します。申請受付フォームは2021年2月末までしばらくお待ちください。
なお、看護師における専門家の制度については看護師小委員会で検討中です。詳細は看護師小委員会にお問い合わせください。
制度創設の経緯と詳細については、ワーキンググループ報告「日本登山医学会専門医/認定医(仮称)制度創設について」を参照してください。
なお、『国内認定山岳医制度』は2023年3月末までに終了することとされています。 DiMM制度は国際ルールに則って2026年4月から更新制度が実施されることとされています。詳細はDiMMページをご覧ください。
2021年4月より専門医制度を開始します。このため、2021年3月1日より第1回専門医申請の受付を開始します。申請受付フォームは2021年2月末までしばらくお待ちください。
なお、看護師における専門家の制度については看護師小委員会で検討中です。詳細は看護師小委員会にお問い合わせください。
制度創設の経緯と詳細については、ワーキンググループ報告「日本登山医学会専門医/認定医(仮称)制度創設について」を参照してください。
なお、『国内認定山岳医制度』は2023年3月末までに終了することとされています。 DiMM制度は国際ルールに則って2026年4月から更新制度が実施されることとされています。詳細はDiMMページをご覧ください。
1. 申請要件
[1] 学会員であり、学会費を滞納していないこと。
[2] 原則として、以下のいずれかであること。
① 山岳診療実践経験を有する医師であること。具体的要件は第3項のとおり。
② 日本専門医機構のいずれかの基本領域の専門医を取得している医師であること。
③ DiMM holderまたは日本登山医学会国内認定山岳医であること。具体的要件は第4項のとおり。
2. 取得要件
[1] 学会員であり、学会費を滞納していないこと。
[2] 申請を受理され、規定の申請料を納入していること。
[3] 受講すべき項目と単位は表1のとおり21単位。
1単位は概ね60分。原則としてオンデマンドのe-Learningによる。
各単元は分割視聴も可能。各単元で課題の提出を求める。
申請を受理されたのち、所定の受講項目を申請受理から5年以内に修了すること。
ただし、修了するまでの間にプログラム内容が改訂された場合、受講内容の新旧は問わない。また、単位数が増減した場合、申請が受理された時点の単位数を求める。
なお、山岳診療実践経験者の申請(第3項)、または、DiMM holderおよび日本登山医学会国内認定山岳医からの移行(第4項)においては緩和要件を適用する。
1単位は概ね60分。原則としてオンデマンドのe-Learningによる。
各単元は分割視聴も可能。各単元で課題の提出を求める。
申請を受理されたのち、所定の受講項目を申請受理から5年以内に修了すること。
ただし、修了するまでの間にプログラム内容が改訂された場合、受講内容の新旧は問わない。また、単位数が増減した場合、申請が受理された時点の単位数を求める。
なお、山岳診療実践経験者の申請(第3項)、または、DiMM holderおよび日本登山医学会国内認定山岳医からの移行(第4項)においては緩和要件を適用する。
[4] 専門医取得後は、5年ごとに更新のための実践と研修を求める。
分野 | 項目 |
---|---|
① 運動生理学 | 運動生理学 |
② 高山病 | 高山病:病態と治療 |
③ 低体温症・凍傷 | 低体温症:病態と治療 |
凍傷:病態と治療 | |
④ 熱中症・脱水症 | 熱中症・脱水症:病態と治療 |
⑤ 山中の医学:外傷・内部障害 | 危険な病態 |
特徴的な筋骨格系外傷 | |
筋骨格系・外傷実技 | |
中枢神経外傷 | |
中枢神経系疾患 | |
有害動植物・有毒ガス・雷・紫外線 | |
⑥ 山中の医学:基礎疾患・属性 | 循環器・呼吸器 |
糖尿病・内分泌/女性登山者 | |
小児 | |
⑦ 登山用語、登山技術、 山岳遭難、救助に対する理解 |
登山用語、登山技術 |
国内山岳遭難の実態 | |
山岳地域の気象 | |
救急搬送・ヘリコプター救助 | |
海外登山 | |
登山前相談 | |
関連法制 | 医事法制 |
3. 山岳診療実践経験者における申請および取得要件
【この項は、山岳診療実践経験を有する医師が専門医を取得するための要件です。】
対象:以下に示す山岳診療実践経験を有し、現に学会員であり、学会費を滞納していない医師。
申請要件:山岳診療実践として、原則として以下のいずれかを満たしていること。
① 申請までに山岳診療経験が20日間以上あること。
なお、診療経験については、山岳診療委員会による確認または本人以外の関係者による活動証明の提示を求めることがある。
なお、診療経験については、山岳診療委員会による確認または本人以外の関係者による活動証明の提示を求めることがある。
② 申請までに登山者検診ネットワーク判定の実績が30症例以上あること。
なお、実績については、登山者検診ネットワーク委員会による確認を求めることがある。
なお、実績については、登山者検診ネットワーク委員会による確認を求めることがある。
③ 上記のいずれにも該当しないが準じる活動実績がある場合、個別に専門医委員会において審査することがある。
初回取得要件: 申請受理後5年以内に、表1のうち、④および⑤(これらの9単位については、初回は受講免除とする)を除く12単位の受講を求める。
申請料および受講分の受講料は納入すること。
なお、修了するまでの間で、プログラムの内容が改訂された場合、受講内容の新旧は問わない。単位数が増減した場合、申請受理時点の単位数を求める。
申請料および受講分の受講料は納入すること。
なお、修了するまでの間で、プログラムの内容が改訂された場合、受講内容の新旧は問わない。単位数が増減した場合、申請受理時点の単位数を求める。
更新:取得後は、5年ごとの更新のための実践と研修を求めること等、他の取得者に同じ。
4. 認定国内山岳医における移行措置およびDiMM保持者における取得要件
【この項は、これまでの日本登山医学会国内認定山岳医が専門医に移行を希望する場合、および、DiMM保持者が重ねて専門医を取得するための要件です。】
対象:専門医への移行を希望する、これまでの日本登山医学会国内認定山岳医、
および、専門医取得を希望するDiMM保持者である医師。
申請要件:日本登山医学会国内認定山岳医またはDiMMを取得後、専門医申請までの間、学会員を継続しており、この間の会費および国内認定山岳医またはDiMM申請取得に際しての申請料または受講料等の滞納がないこと。
専門医申請についての申請料は後述のとおり免除する。
専門医申請についての申請料は後述のとおり免除する。
初回取得要件:以下のいずれかを満たすこと。
① 日本専門医機構基本領域のいずれかの専門医を取得している。
② 申請までに夏山山岳診療所・救護所での山岳診療を20日間以上実践する。
③ 申請までに登山者検診ネットワーク判定を30症例以上実践する。
④ 上記のいずれも満たさないが、海外登山への帯同や山岳イベントでのスタッフ医師など山岳診療に準じる医療を実践する。これについては専門医制度運営委員会により個別に審査する。
なお、表1の受講は初回については免除する。
更新:取得後は、5年ごとの更新のための実践と研修を求めること等、他の取得者に同じ。
5. 更新要件
[1] 更新期間は5年とする。この間、学会員であり、学会費を滞納していないこと。
[2] 更新期限までに表2のA項から2点以上、A項とB項から合計15点以上取得すること。ただし、更新時点で満70歳に達している会員についてはいずれも免除する。
[3] 更新対象期間5年間の内に2回以上学会に参加(WEB参加を含む)していること。
[4] 更新対象期間5年間の内に表1のプログラム21単位をすべて再受講していること。
なお、5年間のなかで、プログラムの内容が改訂された場合、内容の新旧は問わない。また、単位数が増減した場合、少ないほうの単位数とする。
DiMMにおける更新制度とは可能な限り要件を共有するが、審査はそれぞれ独立して行う。
なお、5年間のなかで、プログラムの内容が改訂された場合、内容の新旧は問わない。また、単位数が増減した場合、少ないほうの単位数とする。
A | ① 山岳地域で高地肺水腫,高地脳浮腫,高エネ外傷のいずれかを治療(症例報告要) | 10点 |
② 山岳診療所・救護所で2日間診療に従事 ③ 3日間以上は1日2点ずつ加算 ただし,上高地,徳沢,西穂,立山室堂,雷鳥沢,乗鞍畳平での診療活動,においては,加えて2500m以上の高山への山行実績が少なくとも更新期間中に1回必要。 |
2点 2点/日 |
|
④ 国立登山研修所等の研修への随行 ⑤ 学校登山等団体登山への帯同医師としての参加 ⑥ 山岳スポーツ競技会等における救護医師 低山での活動の場合は、加えて2500m以上の高山への山行実績が必要。 |
1点/日 1点/日 1点/日 |
|
⑦ 海外登山への帯同医師としての参加 ⑧ 海外高地旅行団への帯同医師としての参加 低山での活動の場合は、加えて2500m以上の高山への山行実績が必要。 |
1点/日 1点/日 |
|
⑨ JSMM登山者検診ネットワーク活動実績 | 1点/例 | |
B | ⑩ 山岳救助隊への助言 | 1点/日 |
⑪ 山岳医療パトロールで2日間活動 ⑫ 3日間以上は1日1点ずつ加算 ただし,尾白川渓谷パトロールは2日間以上日数に拘わらず1点 |
2点 1点/日 |
|
⑬ 登山医学または同等以上の専門誌に筆頭著者またはコレスポンディングオーサーとして発表 ⑭ 登山医学または同等以上の専門誌に共著者として発表 〔5/著者数〕点 小数点は切り上げ |
10点 5点/著者数 |
|
⑮ 登山医学会学術集会で演者として発表 ⑯ 登山医学会学術集会に共同演者として発表 〔3/演者数〕点 小数点は切り上げ |
5点 3点/演者数 |
|
⑰ 国際学会(ISMM、APSMM、WMS、HYPOXIAなど)で演者として発表 ⑱ 国際学会(ISMM、APSMM、WMS、HYPOXIAなど)で共同演者として発表 〔5/演者数〕点 小数点は切り上げ ⑲ 医学誌以外への登山医学に関する著述 ⑳ 学会経由、または医師会から依頼された登山医学に関する講演 |
5点 5点/演者数 5点 3点 |
|
㉑ その他、上記のいずれかに準じる活動として詳細を報告し、更新審査委員会(仮称)による個別審査を受けた場合 |
上限5点 | |
㉒ 学術集会時の登攀技術講習会への参加 | 推奨 |
6. 申請料・受講料
[1] 新規・更新いずれも申請料は10,000円。e-Learningシステムの構築、および名簿管理、申請内容審査事務等の経費に充当する。なお、これまでの日本登山医学会国内認定山岳医が専門医に移行を希望する場合、および、日本登山医学会から授与されたDiMMの保持者が重ねて専門医を取得する場合については、新規申請料は免除する。
[2] 受講料は1単位3000円。受益者負担の原則のもと、e-Learningの企画、制作、講師謝金、改訂作業、および受講・採点管理その他審査事務等の経費に充当する。
なお、DiMM受講者が本制度にも応募している場合、DiMM受講料のみを徴収し、重複徴収はしない。経理上はDiMM会計と専門医制度会計で調整する。
なお、DiMM受講者が本制度にも応募している場合、DiMM受講料のみを徴収し、重複徴収はしない。経理上はDiMM会計と専門医制度会計で調整する。
7. 申請受付
2021年3月より、WEBによる申請受付を開始する。
これに先立ち、2021年2月をめどに、個別問い合わせ窓口を開設する。
8. 参考
①日本登山医学会専門医/認定医(仮称)制度創設について(学会HP)
本資料は、学会内でパブリックコメントを求めて必要な修正を行ったのち、理事会に報告されたものです。
本資料は、学会内でパブリックコメントを求めて必要な修正を行ったのち、理事会に報告されたものです。
②DiMMカリキュラムおよびDiMM更新要件(学会HP)
③日本夏山診療所ネットワーク構想(学会HP)
④登山者検診ネットワークの取り組み(学会HP)
⑤関連法規:医師法、医療法、災害救助法ほか(e-gov)
付.医師、看護師以外の学会員について
本学会としての専門医制度は、診療行為に関する専門性の担保に関する制度です。医師、看護師以外の学会員については、e-Learningをはじめ、講習会等の受講は可能です。付与する資格は設定していませんが、受講する場合には受講料を納入してください。
受講料は1単位3,000円の予定で、減免はしません。
受講料は1単位3,000円の予定で、減免はしません。
専門医制度に関するQA
2020年2月28日、専門制度検討ワーキンググループが理事会に提出した報告書(参考①)のうち、Q and A 部分を抜粋してそのまま掲載します。
[1] なぜ専門医/認定医(仮称)制度を創設するか
本学会が求められる山岳医を養成し、資質を維持向上するための具体的な方策としては、本学会が認証する専門医/認定医(仮称)を輩出し、更新を求め続けることが有効である。
本学会が求められる山岳医を養成し、資質を維持向上するための具体的な方策としては、本学会が認証する専門医/認定医(仮称)を輩出し、更新を求め続けることが有効である。
[2] 何を目指しての制度創設なのか
本学会は、1981年に創立された日本を代表する唯一の登山医学に関する専門家の団体であり、"Society of Mountain Medicine"という言葉を世界に先駆けて初めて使用した学会である。本学会は高所医学研究を推進するとともに、山岳地域での診療や救助にも関与し、本学会員が運営に関わる「山岳診療所・救護所」では診療活動の傍ら共同で収集・解析したデータをスポーツ庁等へも報告し、「登山者検診ネットワーク」では海外の高所地域に出かけるトレッカー等の医療相談を行うなど、国内外の登山活動・トレッキング・高地を訪れる海外旅行の安全に貢献している。こういった活動は、医療法上認められる標榜診療科ではなく、健康保険法上の診療報酬に収載される診療行為でもないが、安全登山の推進に寄与しているものである。最新の山岳医療に通じた医師を学会内外に明らかにすることは、一層社会に貢献する機会を確保し、本学会の活性化を図ることが期待できる。
本学会は、1981年に創立された日本を代表する唯一の登山医学に関する専門家の団体であり、"Society of Mountain Medicine"という言葉を世界に先駆けて初めて使用した学会である。本学会は高所医学研究を推進するとともに、山岳地域での診療や救助にも関与し、本学会員が運営に関わる「山岳診療所・救護所」では診療活動の傍ら共同で収集・解析したデータをスポーツ庁等へも報告し、「登山者検診ネットワーク」では海外の高所地域に出かけるトレッカー等の医療相談を行うなど、国内外の登山活動・トレッキング・高地を訪れる海外旅行の安全に貢献している。こういった活動は、医療法上認められる標榜診療科ではなく、健康保険法上の診療報酬に収載される診療行為でもないが、安全登山の推進に寄与しているものである。最新の山岳医療に通じた医師を学会内外に明らかにすることは、一層社会に貢献する機会を確保し、本学会の活性化を図ることが期待できる。
[3] なぜこれまでの制度を修正して継続しないのか
前提、位置づけ、内容が全く異なる制度を、前述のとおり、さまざまな課題や誤解が山積しながらすでに多くの認定者を出している「国内認定山岳医」制度の修正として実施することは大きな混乱をきたすと想定される。
前提、位置づけ、内容が全く異なる制度を、前述のとおり、さまざまな課題や誤解が山積しながらすでに多くの認定者を出している「国内認定山岳医」制度の修正として実施することは大きな混乱をきたすと想定される。
[4] 日本専門医機構等との関係は
本学会は、平成30年12月の日本専門医機構からのレビューシート送付先サブスペシャルティ学会・団体(102団体)には掲載されている。ただし、連動研修の対象ではなく、ただちに専門医機構の制度に組み込まれる状況にはない。
なお、日本医学会には未加盟である。
本学会は、平成30年12月の日本専門医機構からのレビューシート送付先サブスペシャルティ学会・団体(102団体)には掲載されている。ただし、連動研修の対象ではなく、ただちに専門医機構の制度に組み込まれる状況にはない。
なお、日本医学会には未加盟である。
[5] 広告したり、名刺に書いたりできる資格になるのか
医療法上、専門医として広告できるのは令和元年末現在58団体の56専門医に限定されており、広告はできない。
名刺に書くことは自由だが、厚労省医政局長通知によると、たとえば、「日本登山医学会専門医/認定医(仮称)」等、認定した団体名も記しておくことが望ましい。
医療法上、専門医として広告できるのは令和元年末現在58団体の56専門医に限定されており、広告はできない。
名刺に書くことは自由だが、厚労省医政局長通知によると、たとえば、「日本登山医学会専門医/認定医(仮称)」等、認定した団体名も記しておくことが望ましい。
[6] 診療行為の責任を問われた際に判断材料とされてしまわないか
訴える権利は誰にも保証されているため、理不尽な訴えであっても訴えること自体は妨げられないが、診療行為における賠償責任は過失があったかどうかだけが争点となる。制約のある状況下での医行為であることは当然考慮されるが、法律で定められ制限のかかる資格は精神保健指定医と麻酔科標榜医のみである。
訴える権利は誰にも保証されているため、理不尽な訴えであっても訴えること自体は妨げられないが、診療行為における賠償責任は過失があったかどうかだけが争点となる。制約のある状況下での医行為であることは当然考慮されるが、法律で定められ制限のかかる資格は精神保健指定医と麻酔科標榜医のみである。
[7] 診療報酬にリンクする制度を目指しているのか
山岳診療は診療報酬上特掲される医療行為ではなく、診療報酬への収載を目指すものでもない。
山岳診療は診療報酬上特掲される医療行為ではなく、診療報酬への収載を目指すものでもない。