年末年始の休暇中、東京・新宿の公園で開かれた生活困窮者向け相談会の手伝いに参加した。
私の役割は、街でチラシを配り、明らかに行き場を失ったと見られる人に声をかけ、弁護士や福祉の専門家へつなぐことだ。
「コロナで派遣切りにあった」「コロナで店がつぶれた」-。相談へ同行した人は「コロナ」を口にした。外国人も次々と訪れた。料理店を営むというベトナム人男性は「コロナで店を閉める。どうしたらいいか」とベトナム人従業員を連れてきた。
気になったのは、何人かが生活保護の申請に強い抵抗感を示したことだ。
「相部屋の寮に入れられるでしょう。親戚にも電話される。絶対嫌」。夏からネットカフェで過ごしてきたという40代の男性はそう言って身を震わせた。
劣悪な宿舎への入居や親類への問い合わせが生活保護の条件だと、正しくないことを伝える自治体が少なくないようだ。
厚生労働省は昨年末、ホームページに「生活保護の申請は国民の権利」と明記した。だが、十分浸透しているとは言い難い。本気なら、せめてトップページに載せてほしい。
菅義偉首相は「自助、共助、公助」が持論だが、今こそ「公助」が必要なときではないか。
通常国会が18日から始まった。コロナ禍で困窮し、住まいを失った人たちの声は議員に届いているのだろうか。