54:サザリンには無事に着くのでしょうか?
「もう知っているだろうけど、私はカーナだ。この子たちの母親だ‼」
「……キリア」
「私はシエルです。この子はコハクっていうの。よろしくお願いします」
「わぅ」
いまだにシエルを膝に乗せたまま胸を張って自己紹介するカーナに、呆れたような視線を送りながらキリアが名前だけを呟くように言う。まだ勝手にシエルたちに近づいたことを怒っているようで、キリアには珍しく、感情を引きづっているようだった。
シエルは、キリアの様子が気になったが、アイラト達がキリアの冷たい態度を気にしないよう、すぐに自身とコハクの名前を伝えた。アイラト達はキリアの様子に触れることなく、シエルたちに笑顔で「よろしく」とあいさつを返してくれた。その間も、エマは黙って座った場所から動かなかった。
エマさん、黙っているけど……大人しくはないわね。ずっとソワソワしてて体を揺すっているし、視線が痛いほどで、視線だけでわたしの体に穴が開くかと思うほどだわ。
何度か動こうとされているようだけど、何で戻るのかしら?
あっ……キリアさんの視線がエマさんに向けられると元の位置に体を戻しているわ。
なんか……待てをされているワンちゃんみたいね。
そんなことを思いながら、シエルが皆を観察していると、アイラトが申し訳なさそうに笑いながら話しかけてきた。
「シエルちゃん、エマがね。君と、つっ……フェンリル様、お名前を呼ばせて頂いてもよろしいですか?」
「わふっ」
「ありがとうございます。では、コハク様とシエルちゃんに熱烈な視線を送っているエマがね、どうしても仲良くなりたかったようなんだ。もし、怖くなければ近づけてもいいかな?」
エルフのアイラトにとって、神獣のコハクは敬意をもって接する相手だ。たとえ護り子から紹介されたとしても気軽に名前を呼ぶわけにはいかない。そのため、わざわざコハクに名前を呼んでいいのか確認した。コハクもアイラトの態度に名前を呼ばれることを納得したのか、フワッとした胸毛を見せつけながら鷹揚に頷いて見せた。残念ながら、その姿は威厳より可愛さが引き立ってしまっていたが、あえて触れることはなかった。
アイラトの言葉にエマが期待を込めた目でシエルたちを見つめ、豊満な胸をすくい上げるように胸の前で両手を組んで神に許しを請うかのように拝みだす。
そんな目に負けそうになったシエルが頷こうとすると、服の裾が引っ張られた。視線が自然とエマから服を掴んでいるキリアへと移すと、とびっきりの笑顔を向けられた。
「シエル、そろそろ出発の時間だよ」
「え、あの……キリアさん?」
「ん? どうしたの? ほら、カーナも準備しなよ」
「おっと、確かにもう出ないと着くのが遅くなるな。ほら、シエル準備するぞ。お前らも急いでるんだろ? そろそろ戻った方がいいんじゃねえか」
「えぇぇぇえぇぇぇっ‼ そんなぁ、ちょっとだけっ! ちょっとだけ、お話しさせてぇ! それか、触らせてぇ! お願いぃぃぃ」
「エマ、諦めなさい。お兄ちゃんの方が許す気なさそうだもの。目的地は一緒のようだから、また会えるわ。今は諦めなさい」
「そんなぁぁぁ」
キリアの言葉で動き始めたカーナの言葉で《聖森の守り人》のメンバーとの挨拶と謝罪の場はお開きとなった。エマは最後まで騒いでいたが、アメリアに襟首を掴まれ引きずられながら強制的に帰っていった。
アイラトは自身の言葉を無視される形となったが、気にした様子もなく「しょうがないね」と笑っていた。
「あの、ごめんなさい。エマさんを怖いと思っていませんし、今度お会いした時はお話しできると嬉しいです」
「謝らないで。シエルちゃんは悪くないんだから、僕たちが先走っちゃったのがそもそも悪かったんだ。お兄ちゃんが警戒するものしょうがないよ。でも、エマを怖がっていないと聞けて嬉しいな。悪い子じゃないんだ。ちょっと自分の気持ちに素直過ぎてしまう子なんだよ。ごめんね」
「いいえ、とても素敵な人ですね」
「ふふふ、ありがとう。君たちとは何かしらの縁がある気がするんだ。だから、また必ず会えるよ。その時は仲良くできたらいいな。お兄ちゃんともね」
「はい!」
メンバーの後をついて帰ろうとしているアイラトにシエルが声をかけて引き留め、先ほどの返事をした。アイラトはシエルの頭を撫でながら視線を合わせるようにしゃがみ込むと、微笑ましいものを見るように優しい光を目に宿しながら話し終えると、シエルたちに手を振りながらメンバーを追いかけるように帰っていった。
「さっ‼ 忘れ物はないな。出発するぞ」
「カーナさん。下ろして、自分で走れるわ」
「残念だが、野営地にはまだ人がいっぱいいるし、野営地近くの街道にも人がいるからな。人がいなくなってから走ろうな!」
「……うん」
野営として使っていた場所を片付けて、火も消したことを確認し、さぁ出発と意気込んだところで、カーナはシエルをヒョイッと手慣れた様子で抱き上げた。あまりの手早さにシエルは抵抗する余地もなく抱き上げられてしまった。
シエルが自身の意見を言うも、昨日同様にスピードを上げて走る抜ける予定のカーナ達に子供のシエルが並走できるとなると目立つため、人がいる場での並走は即座に却下された。
シエルも理由があっての行動であることを分かっているので、しぶしぶ頷いて大人しくカーナの腕の中に納まった。
しばらく爆走し、先に野営地を出発していた商隊や冒険者などをグングン追い抜かし、昼過ぎごろにはサザリンの防壁が遠くにチラッと見える位置にまで近づくことができた。
サザリンに近づくほど街道に人がいることが多くなり、徐々にシエルが走れる時間は少なくなっていった。ずっと抱き上げられていることに申し訳なさを感じたシエルは、これまで通りカーナ達に身体強化を付与してサポートに回るようにしていた。それ以外することがないシエルは、流れゆく景色やカーナ達を観察することで時間をつぶすことにした。
走ることが好きなコハクは尻尾を嬉しように振りながら、まるでスキップするかのように走っており、シエルの視線に気づくとより嬉しそうに尻尾が揺れる。
コハクはすごいわね。さすがフェンリルだわ。
あんな走り方でこの速さに着いて来られるなんて……それにまだまだ余裕がありそう。
シエルがコハクを見つめて感心していると、いきなり頬に人肌の柔らかいものが押し付けられスリスリと擦り付けられる。予期せぬ衝撃に手を突っぱねて距離を置き、その正体に視線を向けた。
プクッと頬を膨らませたカーナが「ずるい。ずるいっ!」と呪文のように何度も呟いており、先程シエルの頬に与えた衝撃はカーナの膨らんだ頬だったようだ。
「コハクばっかりずるいぞっ! 私だって華麗に走れるぞ! ほらっ!」
そう言うやいなやスキップをしたり、ターンを繰り出したりして、得意気な顔をして先へ進むカーナ。
それまでは滑るような走りで振動なく快適だった腕の中が、縦揺れ横揺れの激しい居心地の悪い場所へと変わってしまった。
「か、カーナ、さん」
シエルはカーナの動きを止めようと声を出すも、カーナの動きに翻弄されて声がうまく出せず、気分が悪くならないよう目をギュッと閉じて揺れに対応することしかできなかった。
シエルがどのようにカーナを止めようか必死に考えていると、フワッと浮遊感を少し感じて動きが止まった。恐る恐る目を開けるとカーナの腕の中ではなく、キリアの腕の中に納まっていた。
「カーナ。何か言うことはない?」
「えっと……ごめんな、さい」
腕の中にシエルがいなくなって動きを止めたカーナが「あ、ヤバい」みたいな表情を作りながらキリアを見ていたカーナに、シエルを抱えたキリアが冷たい視線をカーナに浴びせながら無表情に問う。カーナはキリアの腕の中で少し疲労感がみえるシエルを見て、シュンっとしながら謝った。
「大丈夫だよ。ちょっとビックリしただけ……カーナさんもキリアさんも滑るように綺麗に走るから関心してたの」
「シエル、カーナを甘やかしちゃダメだよ。嫌なことは我慢せずに言わないと」
「うん。でも、カーナさんはもう反省しているようだし、悪気があってしたことでもないからいいの」
「うぅ、シエルぅ。シエルに凄いとこ見せたくてやり過ぎちゃったんだ、ごめん」
「はぁ、シエルがいいならいいけど……カーナはシエルが俺達みたいに頑丈でないことをもっと頭に入れておきなよ」
「うん! 気を付ける‼」
カーナの謝罪にシエルは怒ることなく、カーナ達の走りを褒めた。パァと表情を明るくしたカーナだったが、呆れたように言うキリアの言葉にまたもシュンと項垂れた。シエルとしては反省しているところに再度の注意は不必要と判断しており、カーナの行動も「シエルに褒めてもらいたい」という、なんとも可愛い理由からの行動であったため、怒りの感情などはなかった。
キリアもシエルの言動から本当に怒っていないことや不快感を感じていないことが分かったのか、シエルにそれ以上言うことはなかった。ただ、暴走しやすいカーナに釘を打つことを忘れなかった。
カーナはカーナで、シエルが許してくれ、褒めてくれたことで気持ちは上昇しており、キリアの苦言・忠告を素直に受け取った。
……なんか、本当にキリアさんの方がお母さ、つッ‼
いえ、キリアさんは息子さんですね‼ お母さんはカーナさんですッ‼
ですから、そんな目で見ないでください! お願いします!
シエルのある特定の心の声は、なぜかキリアに正確に読み取られてしまうようで……心で思った瞬間、珍しく微笑みを浮かべたキリアが腕の中にいるシエルを見てきた。しかし、その眼は凍り付くような寒さをたたえており、シエルは心の声を瞬時に撤回し謝罪した。なにしろ、シエルはキリアに抱えられている状態であり、逃げ出すことも離れることも不可能なのだ。即時謝罪と訂正が正しい選択ともいえるし、その選択肢しか無かったともいえる。
「シエル、俺は14歳なんだよ。覚えておいてね」
ニッコリ笑顔での言葉にシエルは無言で何度も頷いた。
そんな光景に気も留めず、カーナはコハクの頬を揉みほぐしながら「コハクばかりずるいぞ!」と文句を言っていた。コハクはそんなカーナを呆れた目で見ながら、付き合ってあげていた。
それから暴走したカーナはペナルティーとしてシエルを抱えるのは当分の間なしとなった。意気消沈した様子のカーナに「そんなに落ち込むの⁉」とシエルが驚いたが、キリアもコハクもこれほどのうってつけの罰はないと納得した様子で頷いていた。
人がいるところではキリアさんに抱えられて走り抜け、サザリンの防壁がよく見えるところまできたところで、カーナさんが皆の走りを止めさせた。
「ん? なんか変な感じがする。ちょっと止まってくれ」
「どうしたの?」
「うぅん? 嫌な感じとまではいかないが、なんかいそうなんだよな。あそこに」
そう言って、カーナは不思議そうにサザリンの方を見ながら指さした。シエルは指さされた方を見るも何も感じないし、何か変なものも見えない。キリアも同様だったようだが、カーナの言葉に軽く眉根を寄せて考え込んでしまった。
「なぁ、入ったら出られなそうな感じはするのか?」
「いや、それはなさそうだが、面倒な気がするんだよな」
「嫌な感じがないなら、命に危険はなさそうだな。どちらにしてもサザリンに入らなければリンザールには行けない」
「そうなんだよな。しょうがない行くか」
キリアとカーナの言葉を聞いて、不安を感じたのが顔に出ていたのかシエルの頭を撫でながらキリアは優しく笑いかけてきた。
「大丈夫。何かあっても俺たちが助けるよ」
「あぁ! 絶対離さないからな!」
「ワンッ‼」
キリアの言葉に続きカーナとコハクが同意するように力強く声かけてきた。シエルの不安な心は和らぎ安心感を得て自然と笑顔がこぼれる。
「ありがとう」
私もカーナさん達を守るわ。
カーナ達の速度は落ちることなく、サザリンの入場門が見えるまで一気に走り抜けた。
すでに見えていた防壁は近づくとその無骨で頑強な姿がより一層強くなり、来る者たちに畏怖と安心感を与える。飾りっ気はなく実直に民を守るために存在する防壁なんだと分かるたち住まいだ。
サザリンは辺境であるが、リンザール国との貿易や通行でおおくの商人が滞在しており、また『魔の森』や『神魔の山脈』の裾付近にいる魔物を狩り報酬を得ている冒険者なども多く滞在する街でもあるため大変栄えている。防壁も王都に負けず劣らずの規模を誇っており、辺境としての役割である国の防壁も担っているサザリンの街は他の街と規模が違う。
サザリンの入場門は多くの冒険者と商人たちで混雑しており、皆それぞれのグループにまとまって入門審査の順番待ちをしている。多くの人が集まると商魂魂強い商人が露店を出すようで、すでに何店か列に沿って露店を出していた。
そんな露店を眺めながら入門審査を待っていると、カーナ達に近づいてくる一人の冒険者風の男がいた。
カーナ達はすぐに気づき、キリアはシエルを抱き上げ、その前にカーナが立ちはだかり男と対峙した。
シエルは露店を珍し気に眺めていたため、カーナ達の行動によって誰かが近づいてきていたことにやっと気づいたのだった。
そして、キリアの肩越しにカーナと対峙している男を見て固まった。
「……お父様」
おはようございます!
遅くなってすみませんでした。
皆さんいつも読んでくださりありがとうございます(*^-^*)
今後もどうぞよろしくお願い致します!
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