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2020-06
子供がなぜコロナウイルスに罹りにくいのか
こんにちは。
KT-11研究員です。
さて、まだまだ予断を許さないCOVID-19ウイルスによる感染症の蔓延。
高齢者や持病を持つ方で重篤化することは連日の報道によって周知されているかと思います。
ところが、子供では感染報告が少ないことも事実です。
その理由を考察した興味深い論文が報告されました。
まず、体の中の細胞にはCOVID-19コロナウイルスが入り口として使用する「ACE2」受容体が存在します。
ウイルスはまず、表面にある突起状のスパイクたんぱく質を、宿主細胞のACE2受容体にぴったりと結合させます。すると、細胞膜にあるたんぱく質の分解酵素「TMPRSS2」や「FURIN」が、ウイルスのスパイクたんぱく質を適切な位置で切断し、ウイルスと細胞の融合を助けます。
Bunyabanich博士らは、喘息の研究のために採取された各年齢からの鼻粘膜生検サンプルを用いて、新型コロナウイルスが細胞に侵入するときに利用するACE2遺伝子の発現量を調べました。その結果、10歳未満の鼻粘膜では、10歳以上のサンプルよりACE2遺伝子の発現量が少なかったことを明らかにしました。
Nasal Gene Expression of Angiotensin-Converting Enzyme 2 in Children and Adults. JAMA 5月20日オンライン版 https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766524
今回の結果は、子供では鼻粘膜のACE2遺伝子発現量が少ないことが分かり、ウイルスの感染のために必要な入り口が少ないことを示唆しています。
COVID-19の感染症対策にはワクチンが最も有効であると考えられますが、このような新たな知見が報告されることで、新薬の創薬にもつながるのかもしれません。
クリスパタス菌KT-11は当社が開発した感染症予防にも貢献する新しい機能性素材です。