・【映像】高齢者施設でクラスター「もしかしてと思った時には...」
医療崩壊を防ぐ鍵の一つとされているのが、高齢者の感染と重症化をいかに減らすかということだ。しかし、25日までに把握されたクラスターの発生状況を見てみると、飲食関係907件、企業857件、医療機関741件に加え、高齢者福祉施設などでも833件に上っている。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、当時は家族による面会も禁止していた。感染経路となる人の出入りは職員や通院するタイプの入所者、往診にくる医師が考えられるという。また、職員と入所者、入所者と入所者同士がソーシャル・ディスタンスを保つことが難しい事情もあったという。
入居者の方々の命を守ることを最優先に考えなければいけない一方で、介護職員が“全滅状態”になったため、私どもの法人から応援の職員を14名程度派遣してもらった。また、道の方からは大学の先生を派遣していただき、ゾーニングの作り方や職員の休憩室のあり方、N95マスクの正しい着用方法などを事細かに指導いただいた。利用者の命と、職員の命をしっかり守るという体制作りに取り組んだ。ご家族様からはお叱りを受けるかと考えていたが、逆に励ましのお言葉もいただき、約40名弱の方の命を救うことができた。職員についても、結果として1人の退職者も出ず、全員が戻ってきてくれた。また新たな気持ちで、しっかりと感染症の対策に臨んでいこうと誓っている」。
「井谷施設長、そして保健所の方からは、入院が難しくなってきている状況から、“施設の中での看取り”の可能性も頭の中に入れておかなければならない、という話もあった。施設としては命を救いたいという思いで各関係機関と調整し、情報出しやご支援を頂けたおかげで今回は施設の中での看取りはなかった」。
その上で稲葉氏は「今回、大学の先生が来てやってくれたとのことだった。外部支援をちゃんと受け入れてもらう、援助を受ける力も重要になってくる」と指摘する。
稲葉氏は「私たちの団体でも去年の夏ぐらいから介護施設向けのオンライン研修会を実施し、213施設に受けてもらった。それらの映像配信もやっているが、まだまだ全国に行き届いていないという思いもある。ちゃんと勉強している施設と、受けてみてびっくりだったという施設と温度差あるのが全国の現状だと思う。看取りの話についても、コロナだから絶対に病院に運び、絶対に人工呼吸器に繋いで助けないといけないというものではないと思う。むしろ施設で看取るはずだった方をちゃんと看取れるようにするためにも、支援チームが現場に入れるよう、受け入れる力が重要になってくると思う」と話した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)