10:もう少し考えるべきだったでしょうか?
こんばんは!
長いこと更新できずに、すみませんでした:( ;´꒳`;):
新生活に慣れるのに苦労して、更新できませんでした(´+ω+`)
まだ、バタバタしそうですが、今後はもう少し早く更新できそうです!
今回は短めですが、楽しんでいただけると嬉しいです!
よろしくお願いしますヾ(*´∀`*)ノ
椅子に座りながら察知魔法を駆使して、他の護衛達の動きを確認していく。
今のところ、この部屋の隠し扉前にはカエルの護衛が1人待機しているだけだ。
他の護衛達も配置に着いた場所から半径500メートルぐらいしか動いていないようだし、扉前の護衛にお眠り頂くことが最善の方法かしら?
座っていた椅子から腰を上げると、隠し扉の方へ歩き出し、扉を開けて普通に外へ出る。
扉の前に立っていた護衛は、出てきた私を見て、目を見開いて驚き一瞬固まった。
予想だにしなかった子供の登場だもの、驚くのもしょうがないが、固まって一瞬でも隙ができてしまうのはいただけないなと思いながら展開していた魔法を護衛の男に放つ。
護衛の男は直ぐに我に返り、対処しようと腰の剣に手を掛けるが、一瞬でもズレてしまったタイミングは私を優勢にさせる。
ニッコリ微笑みながら風魔法で操り、護衛の男の顔をカエル達に使った睡眠香がたっぷり含まれた空気で包みこむと·····グルンッと白目を剥いて、膝から崩れ落ちた。慌てて風魔法を操り、音をたてないよう、ゆっくり横たえる。
「あら?·····濃度、濃すぎたかしら?」
隠し扉へ出る前に用意しておいた、睡眠香をたっぷり含めた空気のあまりの威力に少しだけ顔を引き攣らせてしまう。
·····うん。今後はもう少し薄めて使うようにしましょう。
風魔法で眠って動けない護衛をカエル達と同じ牢屋に放り込む。
護衛達は、2人共屈強な筋肉に包まれており大柄だ。
護衛対象のカエルは醜く肥えている。
兵士の男は護衛達に比べたら細いが、仮にも兵士をしていた男だ。普通の同世代の男性に比べたら、少し大柄だろう。
そんな4人を大人が3人が寝れるくらいの広さしかない牢屋の中に詰め込めば、どうなるか·····
「·····黒い虫の詰まった瓶みたい」
前世の記憶が映像でフラッシュバックしそうになり、言葉にしたことを後悔した。
うん。見なかったことにしましょう。
現実逃避をして地下を後にした。
察知魔法でキリアさんの居場所を探し、屋敷の1階右端の部屋にいるのを確認し、そこへの最短ルートを割出す。
そこに行くまでに最低でも2人の護衛に見つからないよう行動することが求められるようだ。
「·····色々気を使って動くのも面倒ね。さっさと終わらせましょうか」
護衛の配置やあの兵士の仲間のことなどに色々気を使うことに嫌気がさした。
はっきり言って1番の目的は達成したようなものだ。
気持ち悪いと感じる者達を前にして自分が冷静に対処できるかの確認することが今回の最目的だったのだ。
慣れるのは、おいおいやっていけばいい。
と、何やかんや理由を並べているが·····正直、あの地下牢に戻るのが嫌だからが、1番の理由なのだけど·····
さぁ、そうと決まれば、早く終わらせちゃいましょう。
魔力の温存を止めて、さっさとキリアさんの右隣に転移した。
床に広げた書類を読んでいたキリアさんは、少しビックリしていたが、あの護衛達のように固まることなく、膝を立てて座っていたのを素早く動けるように体勢を整えていた。
私だと気づくと、手の中にあった黒のダガーナイフを素早くしまった。
「もう、いいのか?」
「うん。首謀者は眠らせて牢屋に放り込んできたよ。あとは、この屋敷を警護している12人の護衛とカーナさんに付いている兵士の仲間2人をどうにかすれば大丈夫だと思います。じゃなくて思うよ」
「そうか。カーナの方は、気にしなくていい。·····たぶん、もう終わっている頃だと思うし」
ちゃんと言葉使いに気をつけられたからなのか、キリアさんが頭を撫でながら優しく微笑んでくれた。
·····うん?なんか不審な言葉が聞こえた気がするけど、「カーナさんが無事なら別にいいか」と思い聞こえなかったことにした。
「じゃぁ、この屋敷を警護している12人の護衛達をサッサと片付けて帰ろうか。明日も早いしね」
随分軽く言っているが、仮にも貴族の護衛になれた屈強な男達が12人もいるのだが·····
まぁ、キリアさんの方が彼らより強いのは明らかだ。
しかし、相手の人数が多すぎる。
2人で始末するにしても、気づかれないよう行動していかなければ、たちまち大勢に囲まれて面倒なことになる。
なんて考えているうちに、キリアさんは立ち上がり、その両手に先程しまったはずの黒いダガーナイフを1本ずつ持って軽くグリップを確認していた。
「·····どうするの?」
「大丈夫。ただ、寝てもらうだけだから」
口角が少し上がり笑っているように見えるのに、何故か寒気がして思わずキリアさんの腕を掴んでしまった。
キリアさんは、扉に向けていた視線を私に向ける。
扉に向けていたキリアさんの目が、深淵を覗き込んだような得体の知れない暗さを孕んでいるようだったが、私に視線を向けた時にはいつもの優しい目だった。
·····見間違えかしら?
ううん。見間違えなんかじゃない。
なら、何故?
何気なく、先程までキリアさんが見ていたと思われる書類に目を向ける。
あぁ。彼はこれを読んだのか·····
私が書類を見ているのに気づいたキリアさんが、サッと床に散らばっていた書類を集め、腰に付けている黒く鞣した皮のポーチに強引に押し込めているのを眺めながら、無意識に座り込んでいるキリアさんの頭へと手を伸ばし、撫でていた。
「えっ、、ど、どうしたの?」
珍しく目を見開いて驚いているのが表情に出たキリアさんを見つめながら、自分でもどうしてこんなことしているのか分からなかったが、今キリアさんを1人にするのだけダメな気がして、キリアさんの頭を抱きしめた。
「貴方が怒ってくれるだけで、救われる人はいるのですから·····あまり自身を責めるのはよくありませんよ。それに·····貴方が、暗闇に足を踏み入れてしまったら、悲しむ人がいるのを忘れないでくださいね」
優しい声を意識しながら、思ったことを口にする。
先程まで、体に無駄な力が入っていたキリアさんの強ばりが抜け、私に軽く体を預けながら声がこぼれた。
「·····ありがとう」
キリアさんの頭を抱きしめながら、この優しい人が暗闇に足を踏み入れないように気をつけようと思った。
奴らの罠にわざと嵌ることで、奴らの悪事を知ることになるのは分かっていたが、キリアさんのこの反応は予測していなかった。
これは、私の落ち度ね。
しっかりしているように見えても、キリアさんは15歳の冒険者になったばかりの子供だったのに·····
あんな闇の一片でも見せれば、優しいこの人がどんな反応を示すか考えるべきだったわ。
情報が見えていると言っても、それは単語だけで詳細を知ることは無かったのだわ。
なら内容を知れば、より深みの闇を見ることになるのは明らか。
それが年端もいかぬ子供達の惨殺記録などでは·····
知ってしまったものは、消すことが出来ない。
なら、少しでも心が重くならないよう守らなきゃ。
キリアさんに責任などないのに、自分を責めてしまう優しいこの人達には、陽の元を歩いていて欲しいから·····
そんな事を思いながら、キリアさんの頭を抱きしめていたら、いきなりエントランスホールの方が騒がしくなった。
いつの間にか令和になってました!
おめでとうございます(*´˘`*)♡
これからも、どうぞよろしくお願いします!