▼行間 ▼メニューバー
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
騙され裏切られ処刑された私が⋯⋯誰を信じられるというのでしょう? 【連載版】 作者:榊 万桜
6/55

6:もう少し強くなれませんでしょうか?

遅くなりました!

本当にごめんなさい:( ;´꒳`;):


今回、短めですが楽しんでいただけると嬉しいです。

よろしくお願いします!


少し眩しい日差しに目を覚ます。

昨日借りた部屋のベッドの上に綺麗に寝かしつけられていた。


嫌な夢を見た。

いつまでも、いつまでも、私にくっついて離れない前世の記憶。

あれは、忘れるなって前世の私が忠告してるのかしら?

「·····忘れられるはずがないでしょうに」


「何が?何か忘れたのか?」


「つっ!」

いきなりの目の前にカーナさんが顔を出してきたことで驚き、一気に起き上がると目眩がして、ふらつく。


「シエル!!大丈夫か?いきなり起き上がるな。気を失ってからそんなに経っていないから慌てなくて大丈夫だぞ!」

カーナさんが慌てて私の背中を支えながら、ゆっくり横にしてくれる。


いつから居たの?

というか、私がいきなり起き上がったのはカーナさんのせいなのだけど·····

そんなことを思うが目眩が酷くて声にならない。目を瞑り目眩が治まるのを待つ。


「大丈夫か?辛いならもう少しゆっくり休め」などと言いながら、布団を被せたり、水を用意したりと甲斐甲斐しく世話を焼いてくる。

少し目眩が治まり、うっすら目を開けてカーナさんを見ると、とても嬉しそうに笑いかけてくる。


本当に犬のような人だわ。

警戒しようと思っていたのに、あんな顔を見たら調子が狂ってしまうじゃない。

まだ、カーナさん達のことを信じることは出来ない。

でも、この国から逃亡するのにあと早くても2週間かかるのだから、その間に見極めればいい。もし、信用ならない人達なら即座に逃げられる策は幾つかある。

それに、今から別の協力者を見繕う方が大変だ。

カーナさんは勘が働き、その場を本能で見極め動くことが可能だし、キリアさんは冷静な判断力と対応力がある。とても理想的な協力者だわ。それに·····近づいても気持ち悪くならない人は貴重だもの。

大丈夫。逃げ切るためよ!

逃げ切るためなら、どんな汚い手でも使うわ。そうじゃなきゃ·····あいつらから逃げきれないのだから。


ん?

そういえば、1人足りないわ。

「カーナさん。キリアさんは?」


「キリアは、買い出しに行ってる。明日の早朝にはここを出ようと思ってるが、大丈夫か?」

心配そうに顔を覗き込みながら聞いてくるカーナさんは、犬の耳と尻尾が垂れているように見える。

あまりにおかしくて、カーナさんの艶やかな黒髪に手を差し入れ梳きながら笑いかけてしまう。

カーナさんは、とても気持ち良さげに目を細めて成されるがままになっている。カーナさんの髪は艶やかで指通りがとても良くて少し気持ちが落ち着いた。


「何してるの?」

音もなく帰宅したキリアさんが、買い出した荷物を2袋抱えながら、苦笑しながら首を傾げている。ずっとカーナさんの髪を梳いていることに気づき手を下ろすと、今度はカーナさんが私の髪を梳いてくる。気持ち悪くならないし、寧ろ落ち着くのでそのままにしておいた。


「キリア、おかえり!シエルは、髪を梳くのが上手だぞ!犬達が撫でられて喜ぶ気持ちが分かったよ!」


「そう。良かったね。最近、カーナはシエルのペットになりたいのかと思ってしまうよ」


「!!その手があったか!·····いや、でもシエルのお母さんも捨て難い」


真剣に悩むカーナさんに、キリアさんと一緒に呆れてしまう。そこで悩むのかと。


ペットのカーナさんを想像してしまい、じわじわ笑いが込み上げてくる。似合いすぎだわ。

ボールを投げて取ってこいとか、大喜びでやりそう。

艶々の毛並みの狼のような犬が、草原を飛び跳ねる姿を想像してしまう。魔獣や獣を討伐しているカーナさんとキリアさんは、黒い狼のようだから想像する犬は狼よりになってしまう。


そんなことを思っていると、キリアさんが私の顔見てホッと息をついているのが見えた。

「良かったと思ったんだ。シエルが追っ手の情報を聞いた時の反応が気になってたから。意識を飛ばすほど怖かったんだろ?でも、今は少し表情が柔らかくなっているから安心した」


そうだった。何処からの追っ手なのか分からないが、たぶん王族だろう。ルーシャル公爵家は確かに力はあるが、このような大きな都市を持つ他領にまで命令を出せはしない。協力を求めることは出来るが、それは弱みを相手に見せるようなものだし、それは最終手段として今は影に探させていると見るのが妥当だ。そう考えると、今回の追っ手は王族だろう。

王子では、この命令を出すのはまだ難しい。なら、王妃か国王のどちらかだな。

勘弁して欲しい。何故そんなに探そうとするのだ?

王子の婚約を断ったからか?それは、先にそちらが勝手に動いたのが原因だろうよ。

本当に王侯貴族共は嫌いだ。関わりたくもない。


それにしても、追っ手が来ることなんて想定内のはずなのに取り乱しすぎだ。気を失うなんて·····もし、追っ手が目の前に現れた時、瞬時の判断が出来なくなる。最悪だ。どんなに策を講じても、取り乱したり気を失っては意味をなさなくなる。早く対処しなければ·····


「カーナさん、キリアさん。お願いがあります」


シエルちゃんはなにか企んでるみたいですね。


皆さんのコメントは、いつも大切に読んでいます。ありがとうございます!

どのコメントも私には大切な読者さんの気持ちだと思っていますので、これからもよろしくお願いします(*´˘`*)♡

  • ブックマークに追加
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。

感想を書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。