3:欺けるでしょうか?
遅くなりました!
すみません(´-ω-`)
皆様、コメントありがとうございます(*´˘`*)♡
お返事出来てませんが、ちょっとずつお返事していきたいと思ってます!
あと、誤字脱字多くてすみません!
頑張りますね( *´꒳`* )
今回のお話後半で、胸くそ表現ありますので、嫌いな方は飛ばしちゃってください!
お昼休憩を終えてから、約1時間歩き続け東門が見えてきた。
……私は、カーナさんに抱き上げられたままだ。
何故かキリアさんも助けてくれず、むなしい抵抗を続け力尽き、されるがままになっている。
カーナさんは、終始ニコニコご機嫌です。
……少しイラっとしたので、肩に頭突き(身体強化の魔法付き)を御見舞しましたが……効果はなかった。逆に喜んでしまった。
到着した東門では、入都待ちの人々で溢れかえっていた。
「人が多いのね」
「大丈夫か?しかし、多すぎるな。身なり的に、避難民ではないし、行商人に冒険者がほとんどだ。何かあったのか?」
人混みが苦手なことを知られているのか、カーナさんが私の背中を優しく撫でてくれる。
少しホッとしていると、聞き込みに行っていたキリアさんが難しい顔(表情に変化はない)をして戻ってきた。
「入国審査が、変わったそうだ。子供は、1度同行者と離されて、審査のため別室に連れていかれるんだと」
「シエル、大丈夫だ。ゆっくり息をしろ」
カーナさんに声をかけられて、息するのを忘れていたことを思い出す。
「今から別の道に……」
そんな目立つことをしたら、怪しまれることは分かっていても、逃げたい気持ちが抑えられず、言葉にしてしまう。
「分かっているだろ?大丈夫だから、私達に任せておけ。シエルは、いつも通りにしていればいいからな」
「大丈夫。いざとなったら、僕達が助けるから」
2人の優しい声に、少し力が抜ける。
一緒に行動して4日しか経ってないのに、私は少しずつ心を寄せてしまっている。
人を信じるのは、無理だ。でも、この人達は……少しだけ……本当に少しだけ、信じてもいいのかもしれない。
何も言葉にできなくて、2人の言葉に頷き、カーナさんの肩に顔を埋めた。
カーナさんが、笑いながら頭をガシガシ撫でてくる。
それを、キリアさんが素早く止めて、フードの位置を直してくれる。
そんな些細なことに、心が安らいで普段の自分を取り戻せた。
待っている間に、一般の服を着た兵士が何人か配置されているのに気づき、引き返したり、道を変えたりしなくて良かったとホッと息をついた。
それに気づいたキリアさんが、微かに口角を上げ、私の頭を軽く撫でてきた。
最近やっと、キリアさんの表情の変化が分かってきた。
彼は、表情がほとんど変わらないが、意外と感情豊かだ。そして、相手の感情の機微にもよく気づく。
本当に、母親としての適性が高いわ。
やはり、キリアさんのことは、『お母さ……止めておきましょう!
キリアさんは、カッコイイオニイサンデス!
だから、そんな眼で私を見ないで!
時々、キリアさんの眼が怖いです。
2人が、いつも通りに接してくれるので、あまり気を張らずに過ごせ、私達の順番が回ってきた。
並び始めてから、3時間ほど経ち日が暮れ始めていた。
門の前では、2人の武装した兵士がおり、入国審査用紙を持った1人の兵士が近づいてきた。
筋肉質な大柄な肉体に優しそうな顔をした30代後半くらいの兵士だ。
「止まってくれ。3人か?身分証明できるものを出してくれ」
「冒険者のカーナだ。こっちは私の息子と娘だ。息子は、今年冒険者になったから冒険者タグがあるが、娘は、まだ子供だから証明書はないよ」
そう説明しながら、カーナさんとキリアさんが、それぞれ冒険者タグを見せる。
「うむ。間違いないな。そっちの子は、1度別室に連れていく。すぐ審査も終わるから、入口で待っていてくれ」
そう言うと、もう1人の20代くらいの歳若い兵士が近づいてきて、カーナさんに抱き上げられた状態の私に無理やり触れようとしてきた。
気持ち悪くて、カーナさんの服を強く握ってしまう。
カーナさんが、兵士が触れないよう1歩後退して避けてくれた。
「すまない。娘は、極度の人見知りなんだ。それに、別室で何されるかわからない状態で、大切な娘と離されるのは納得できない。疑っている訳じゃないが、理由を説明してくれ」
その言葉と避けられたことに、イラッとした様子の兵士が無理やり引き離そうと手を伸ばしてきた。
ゾクッと寒気がして、カーナさんを見ると、いつもの笑顔だが眼が笑っていなかった。
「待て!止めておけ、お前が敵う相手じゃない」
30代後半くらいの兵士が、年若い兵士を止める。
たぶん上司なんだろう。止められた兵士は、しぶしぶといった様子で、上司の兵士の後ろへ下がる。
「申し訳なかった。こっちも2日程前にいきなり命令が来てね。慣れない仕事に歳若い者が苛立ってしまっていたようだ。許してやってくれないか?」
「こちらも言葉がすぎたな。すまなかった。大事な子供たちなもんでね」
「気持ちは分かる。俺も子持ちだからな。最近、子供の誘拐が横行しているようでな、子供達が色変えや姿変えを使われている可能性がでてきたそうだ。なに、少し親元と離して、色が変わらなければすぐに入国許可が降りる。辛抱してくれんか?」
「分かった。ただ……」
「大丈夫だ。俺が案内しよう。子供の扱いには慣れているからな」
「ありがとう。よろしく頼む。シエル、行っておいで」
ゆっくり下に降ろされ、カーナさんを見上げると優しく微笑まれた。いつもの快活な笑顔でなく、母親のような慈愛に満ちた笑みだった。
ホッと息をつき、30代後半くらいの兵士について行き、別室に通される。
「ふぅ。お前の家族は、おっかないな。一瞬であの馬鹿の性格を見抜きやがった。あの馬鹿は、ちっと性格と行動に問題があってな。怖かったろ。すまんかったな。フードを取ってくれるか?」
この人は、たぶん大丈夫。
さっきの兵士だったら、気持ち悪くて吐くところだった。カーナさんに感謝だわ。
フードを脱ぎ、兵士を見ると目を丸くしていた。
えっ?なに?
色変えの漏れはなかったはず……
大丈夫。落ち着いて!大丈夫よ。
「あの……」
「はっ!すまんな。それにしても随分と綺麗な子だな。あの母さん達が警戒するはずだ。一緒に来たのが俺でよかった。……アイツだったら、ちと危なかったな」
やっぱりさっきの若い兵士じゃなくて良かったわ。
ただ、あんな危なそうな奴が、なんで兵士続けられているの?
ジトっと見つめると、気まずそうに頭を掻きながら目を逸らされ、「大丈夫そうだな。よし!家族のとこに戻ろうな!」と、カーナさん達の元へ戻された。
戻ってきた私を見つけると、カーナさんが走り寄ってきて、すぐに私を抱き上げた。
「大丈夫だったか?」
「大丈夫だったよ。ただいま」
「すまんな。協力感謝する。カノリアは、歌と酒の都だ。酒場は多いし、食事も美味いぞ!楽しんでくれ。ただ、その子のフードは、あまり取らない方がいい。人が多いってことは、馬鹿な考えをする奴もある一定数いるってことだ。気をつけてくれ」
人の良さそうな笑顔で、手を振って門へ戻って行った。
「宿に行こう。シエルは、そのままカーナの腕にいた方がいい。ここは、人通りが夜でも激しいからね」
「ありがとう。カーナさん、よろしくお願いします」
「シエルは、可愛いなぁ。そうだ!今日は一緒の部屋に泊まろう!で、ベッドで一緒に寝よーな!今から楽しみだ!」
フード越しで頬ずりしてくるカーナさんを手で抑えながら、抵抗していると宿に着いた。
……なんでだろ?歩いてないのに、疲れた。
キリアさんが、受付の女将さんと話し終えると、困った顔(表情に変化はない)をしながら戻ってきた。
お金の管理や契約は、チームリーダーのカーナさんではなく、キリアさんがしているようだ。
カーナさんが、私の頭の上に顎を乗せながら、「意外だろ?」と聞いてきた。
……全然意外じゃない。反応に困る。
曖昧に、頷いておいた。
「困ったことになった。3人部屋1部屋しか空いてないそうだ。シエル、僕達と一緒でも大丈夫か?」
「大丈夫だよ。皆一緒の方が安心す……っ!なんでもない!なんでもないの!」
「そうかぁ。シエルは、皆一緒の方が安心するのかぁ。お母さんもシエルと一緒だと安心だ!」
「そうか。じゃぁ、今日は皆一緒に寝るか」
「~つっ!!!!」
はっ、恥ずかしい!
入国時のことで、ちょっと不安になったからって!!こんなこと言うなんて!!
それに!キリアさんまで揶揄うことないじゃない!
顔を真っ赤にしながら、目の前のキリアさんを睨みつけると、頭を優しく撫でられた。
「ごめん。遊びすぎたな」
「シエルは、本当に可愛いなぁ!!」
カーナさんが、暴走しそうなのをキリアさんがアイアンクローで止めてくれた。
ブツブツ文句を言っていたが、夕食になったことで元気になっていた。
夕食は、カノリアで人気の麦酒を使った牛肉煮込みとフレッシュサラダのオリーブオイルあえ、焼きたてのライ麦パンだった。
少し量が多かったけど、どれも美味しくて全て食べられた。
カーナさんもキリアさんも、その細い身体のどこに入るのかってくらい、食べていた。
お腹もいっぱいになり、綺麗に体を拭くと眠くて、うとうとしてしまった。
「シエル。大丈夫だよ。おやすみ」
キリアさんにベッドへ入れられて、久々のベッドで……「おやすみなさい」と言い終わる前に眠ってしまった。
「シエルは、眠ったか?」
「あぁ、疲れたんだと思う」
シエルは、真ん中のベッドですやすや眠っている。
向かい合うように座りながら、小声で話す。
「部屋、まだ空いてただろ?」
「空いてたけど、今は一緒にいた方が安全だよ」
「あぁ、あの若い方の兵士だろ?私達のこと舐めるように見ていたな」
「犯罪歴ありだ。恐喝、強姦、人売りなどが表示されてた。あのまま、あいつがシエルを連れて行ってたら、危うかった」
「やっぱりか。なんか嫌な予感したんだよ。シエルも反応してたしな」
「そうか。とにかく面倒事に巻き込まれないよう、一緒に行動しよう」
「あぁー、たぶんもう遅い……かも?」
「はぁ、やはりそうなるか。シエルの表示に変化はない。なら、早めに用意して出国するしかないね」
「細かいことは、キリアに任せる。私は、作戦とか細かいのは苦手だからな」
「カーナは、いつも通りでいいよ。シエルを見ててくれ」
「OK!それなら、得意だ!」
話が終わると、2人もベッドへ入り眠りについた。
同時刻 カノリアの裏酒場
「クソっ!」
門にいた年若い兵士が、近くの椅子を蹴っ飛ばしながら荒れくるっていた。
「どうしたよ?すげぇ機嫌悪いじゃん」
兵士が座る卓には、他に2人の男が座っている。
兵士の左側に座る男が、髪をいじりながら横目で兵士を見る。
薄い金髪を肩ぐらいで揃え、薄藍色の瞳は、兵士を嘲笑うかのように弧を描く。顔はそれなりに整っており、見る人によっては好青年に見えなくはない男だ。
ただ、人を馬鹿にしたような眼が全てを台無しにしている。
「ヒャヒャヒャッ、知ってて言ってるだろぉ?相変わらず性格悪いなぁ、ダリオは。グリューのやつ、兵士長に目付けられてぇ、今日1日ずぅっと、副兵士長と一緒だったんだとよぉ」
左向かいに座っている、ヒョロっとした体に猫背の男、バンザが腹抱えながら笑っている。
「うるせぇ!クソっ!いい商品になりそうな奴らがいやがったのに、邪魔しやがってあのクソ野郎。ちょっと、腕に覚えがあるからっていい気になりやがって!それにだ!今日の獲物は、本当に極上だったんだ!!」
怒りが治まらないのか、店の椅子を蹴り壊す。
いつもの事だから、誰も何も言わない。
我関せずで、お互いに干渉しないことが、ここの暗黙のルールだからだ。
つまり、犯罪になろう言葉も策略も黙認される。
ただ、店内では強姦など犯罪行為は禁止であり、皆それだけは守っている。
犯罪者達も、こんな都合のいい店を手放したくないのだ。
「で、どんな獲物なんだよ」
ダリオは、ニヤニヤしながら聞いてくる。
「冒険者だ。母親に子供が2人」
「ハッ、子連れかよ。ババアじゃん。なに?子供の方がいい感じに育ってるのか?」
馬鹿にしたように笑いながらも、期待した眼でグリューを見る。
「違ぇよ。母親の方が本命だ。あの、子持ちに思えない体つきに、エロい顔、気は強ぇが、子供を人質にしたら何でも言うこと聞くだろ。大事そうに娘を抱いてたからなぁ。息子も冒険者とか言ってたが、成人したばっかっぽいし、力は無さそうだったな。母親そっくりな顔だったし、あれも高く売れるぞ。娘の顔は見れなかったが、似たような綺麗なツラしてるはずだ。好色貴族にでも売れば、たんまり儲けられる!」
母親の体つきを思い出しながら、空で形を辿る。
その話を聞き、ダリオたちの目付きが変わる。
「へぇー。気が強いのか。そういう女を屈服させて、苦痛に顔を歪めるのを見るの好きなんだよな。グリュー、俺も手を貸すからさ。売る前に、その女で遊んでいいだろ?」
「順番は守れよ。あと、商品になるんだ。傷は目立たないようにしろよ」
「じゃぁ、僕は、その子供たちを貰おうかなぁ。いい声で泣きそうだよなぁ。子供の泣き声って、聞いてて飽きないしさぁ。大丈夫。商品をダメにはしないよ。いい子に躾けるだけさぁ。あぁー今から楽しみぃ」
「うぇー。出たよ、バンザのお稚児趣味。何がいいんだか?」
「僕のは、お稚児趣味じゃないよぉ。子供ってすぐに希望持つけど、目の前でぇ、希望を断つとさぁ。絶望して壊れるんだよなぁ。で、なぁーんにも逆らわない、いい子が出来るんだぁ。擦れてないのがいいんだよぉ」
3人は、それぞれのお楽しみに向け、下劣な笑みを浮かべて策を立てていくのだった。
カーナお母さん!逃げてー!
あっ!
シエルちゃんの冒険者ギルドへの依頼場面は、別視点で書いています。
びっくりさせて、ゴメンなさい:( ;´꒳`;):
次回は、別視点でのお話まとめ集にしようかなぁって思っています|ω・`)チラッ