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よろしくお願いしますヾ(*´∀`*)ノ


誤字脱字あるかもです。先に誤らせてください!

ごめんなさいm(_ _)m


読みにくいかもしれませんが、楽しく呼んでくれたら嬉しいです(*´˘`*)♡

2:信じられるでしょうか?


気持ち悪い……クラクラする。


フードを目深に被った女の子が、城下町の人がいない路地の端に座り込み、吐き気と戦っていた。


本当は、こんな国さっさと去りたい。……けど、1人は目立つ。もし、見つかったら…連れ戻されることは確実だ。あの手紙に、どれ程効果があるか分からないが、兵を動かすにも時間がいるし、探索防止を付加した外套を着ているから、見つかるには15日程度かかるはず。まぁ、あくまで私がこのまま、この国に居ればだ。他国に入国してしまったら、探索はより困難になり、見つけられないはず。


屋敷からは、短距離転移魔法で城下町まで逃げられたが……長距離転移となると、まだ未熟で行使できない。

それに……エリスタ王国王城と街を囲っている防壁を基盤とした大規模魔法壁があるせいで、転移での出入りは難しい。失敗する可能性が高い方法は避け、今後の為にもなる確実な方法を選ぶべきだ。


分かっている。これが今できる最善の方法だ。

それにしても、買い出しのために人混みに入っただけで、この有様とは…先が思いやられる。

全ての用意は終わった。

もうすぐ予定の時間だ。


深々とため息をつくと、深呼吸をして気持ちを落ち着かせ、冒険者ギルドへ向かって歩き始めた。








ギルドに入ると、受付の時に急遽連れていかれた部屋と同じ部屋に通された。


既に男女2人の冒険者がソファーに座って寛いでいて、私が入室すると女性の方の冒険者が振り返り、笑顔で手を振ってきた。どう反応すればいいのか分からず、ペコリと頭を下げる。


受付の時に親切に対応してくれた受付嬢のエルサさんが間に入り、顔合わせと依頼内容のすり合わせが始まった。


「シエルちゃんの依頼を受けてくれた、Bランクパーティの紅月で、AランクのカーナとCランクのキリアよ。親子でパーティを組んでいる、珍しい冒険者パーティなのよ。条件は、全て当てはまると思うわ」


「シエルです。リンザール国までよろしくお願いしまっ·····えっ?」


言い終わる前に、カーナと紹介された冒険者に抱き上げられた。


「よろしくな。ん?よく見たら、とっても可愛い子だな。これは、エルサが心配になるのも分かるよ。リンザール国まで護衛をさせてもらうカーナだ。あっちは、私の息子でキリア。冒険者を始めて、まだ半年だけど実力はあるから心配しなくていい。ただ、ちょっと無口で無愛想だけどね。キリア!挨拶は?」


「よろしく」


あまりのことにビックリして、固まってしまったが、キリアの少し低めな声に我に返る。

カーナに抱き上げられた状態のまま、「よろしくお願いします」と返すので精一杯だった。


カーナさんとキリアさんは、髪も瞳も真っ黒で珍しい色をしていた。

親子だからか顔もよく似ていて、切れ長で涼し気な目に、スっと通った鼻、薄くて形のいい唇と綺麗な顔立ちをしていた。



……気持ち悪くはないけど……放して欲しい。


顔合わせが終了し、明日の出発に向けての依頼内容の確認をしている。

ただ…何故か私は、カーナさんの膝の上に座らされ、抱きしめられていた。


不思議と気持ち悪さはないが、そろそろ放して欲しい。それとなく何度か放して欲しいと伝えたが、笑顔で「大丈夫だよ」と言われ、そのままだった。


何が大丈夫なのか、分からない。放してくれないかな……ソワソワして、話に集中出来ない。


見かねたキリアさんが、カーナさんの隙をつき、逃がしてくれたことで、やっと解放された。


「キリア!酷いじゃないか!可愛い女の子を堪能していたのに!「嫌われるぞ」えっ!ヤダ!嫌われたくない!……分かったよ。今日は我慢する」


シュンっとしているカーナさんを見て、『なんか……親子関係逆転してない?』と思っていたら、顔に出ていたようだ。

エルサさんが「皆、思っていることよ。カーナの息子なのに、こんなしっかりした子に育って、本当に不思議だわ」と笑っていた。

その後は、終始和やかな雰囲気で確認を終え、明日の日の出と共に出発するため、それぞれの宿に帰った。







あまり……寝れなかった。


借りた部屋に魔法壁を展開していたが、安心できず……短時間の浅い眠りにしかつけなかった。

少し眠くて、目を擦りながら南門へと向かう。


日の出前に宿を出てよかった。この時間帯は、人通りが少なくて、人に近づかなくても歩けるのがありがたい。寝不足に体調不良もなんて、最悪の一言だもの。まさか……人に触られるだけで、気持ち悪くなるだなんて、想定外だ。2年間、部屋に閉じこもっていたし、あの屋敷の人達だからと思っていたから、気づかなかった。前世のあの出来事は、私が思っているよりも、私の心を疲弊させていたようだ。


自嘲気味に笑いながら、今後のことを確認していく。


路銀は、平民によく使われる銀貨と銅貨に替えてあるし、自身で作った魔法石も金の代わりになる。

金銭面は、問題ない。

ただ、エルサさんに指摘されて分かったことだが、私が作る魔法石は、純度が高すぎて高価なんだとか。魔法石を売るのは、最後の手段にしよう。


旅での必需品もエルサさんが教えてくれたから、問題ない。今後は、カーナさんとキリアさんに教わりながら、自立していけばいい。


大丈夫……大丈夫。

私は、逃げきれる。

昨日もバレずに過ごせた。

大丈夫よ。シェリー、あなたなら大丈夫。


そう奮い立たせながら、待ち合わせの場所の南門に到着した。

カーナさんとキリアさんは、既に来ていて、私に気づくとカーナさんが走り寄り、私を抱き上げた。


「おはよう!シエル!!あの後、無事に宿に着いた?危ないこととかは、なかった?寂しかっただろ?私は、寂しかった!本当は、シエルと一緒の宿に泊まろうと思ったのだけど、キリアがダメだって言うから、泣く泣く諦めたんだ。でも、今日からずっと一緒だもんな!前から娘が、欲しかったんだ!護衛の間、私の事、母だと思っていいんだよ!そしたら、シエルは、私の娘だな!」


あまりの勢いに、私は固まってしまった。

いつの間にか隣にいるキリアさんが、カーナさんを叩いていた。


「痛いな!何するんだよ!母親叩くとか、酷すぎるんだけど!」


「うるさい。離してやれ。困ってる」


キリアさんが、私をカーナさんの腕から取り上げると、優しく地面に降ろしてくれた。

「……あ、ありがとうございます。カーナさん、キリアさん、今日からよろしくお願いします」

どう反応すればいいのか分からず、さっきまでの出来事を無視して、最初にしようと思っていた挨拶をする。


キリアさんは、私の頭を軽く撫でると南門へと向かって歩き始めた。

カーナさんは、私と手を繋いでキリアさんの後を追う。

私は、いきなり手を繋がれたことで驚いて、されるがままになっていた。


南門を出るために、カーナさんとキリアさんは、ギルドタグを見せて出国の許可を貰っていた。門兵が私を見ると、カーナさんが「私の娘だよ。10歳未満だから、証明書はないよ」と言って許可を貰っていた。


門を出るのに、身分証明書がいることは知っていた。私が、自由になるために、1番最初に用意したのが偽造の身分証明書だった。

それを鞄から取り出そうとしていたが、カーナさんの言葉で身分証明書を出さずに出国出来てしまった。


防壁の外へ出て、歩き続け、エリスタ王国の王都が見えなくなった所で、私は立ち止まった。


「……なぜ?」

それしか出てこなかった。

だって、おかしいでしょ?

私が持っている身分証明書が、偽造だと知っていたの?それは無い。だって、私はそれを彼らに見せていない。

それに、虚偽の申告をしたって罪になるだけで、彼らにメリットは何も無い。

理解できなかった。彼らが、盗賊や奴隷商人だとしても、こんな薄汚れた子供1人のために、あんな危ない橋を渡る愚か者には見えない。

魔法石のことをエルサさんから聞いているのか?

しかし、私が作ったとは知られていない。

なら何故?


考えても答えが出ない。でも、ここで捕まって、売られたりするのは、ごめんだ!

魔法を行使できるよう準備しながら、少しずつ後退していく。


そんな私を見て、カーナさんが慌て、キリアさんがため息をついた。


「カーナが悪い。説明しなければ、あぁなる」


「ごめん!ごめんね!シエル!私達は、別にシエルに危害を加える気はないんだ!信じて!」


信じてと言われて、信じる人がいるのだろうか?

より警戒しながら、距離を空けていく。


「私は、説明とか苦手なんだよぉ。キリア、説明して!シエル、話だけでも聞いてくれ」


キリアさんが、再度ため息をつくと、説明し始めた。


子供が1人で他国に行くのは、珍しいが居ないわけじゃない。理由を聞いて納得はしたが、依頼主の私を見て、その納得は消えたと。

エルサさんとか他の人達は、上手く隠蔽されていたから気づいていないそうだが、キリアさん達は、私が魔法を行使できること、魔力量が多いことに気づいていたらしい。なんでも、カーナさんの家系は、先天的に鑑定眼を持って産まれてくるらしい。キリアさんは、特に強力な鑑定眼を持っていて、名前や年齢、魔力量、生命力、称号なども相手を意図的に見るだけで分かるんだとか。カーナさんは、その人に触れてやっと名前と年齢、魔力量、生命力が見えるため、私を抱き上げた時に見たんだって。で、魔力量が多く、魔法を行使でき、そこらの馬鹿共に負けそうにないのに、護衛を依頼したこと。依頼内容も、護衛だけじゃなく、旅の仕方や一般的な料理などの指導も入っていること。極めつけは、所作が綺麗すぎるそうだ。

気をつけていたんだけど、長年の癖はそうそう消えないようだ。

名前については、偽名で依頼を出す人はいるから、気にしなかったみたい。


でも、それだけ怪しさ満点だったにも関わらず、依頼を受けてくれたのは、私の称号を知ったからだそうだ。


― 偽聖者の生贄 ―


カーナさんもキリアさんも、初めて見る称号で意味が分からなかったが、生贄と書かれているのだから、命の危険があって、逃亡しようとしているのだろうと思ったそうだ。

カーナさんの家系も、鑑定眼なんてものを先天的に持って産まれてくることで、色々な国に狙われていたそうだ。まぁ、それも御先祖様の時代のことで、今はカーナさんの家族も冒険者や商人として、ひとつの所に留まらずに生活しており、安全なんだとか。


確かに、鑑定眼なんて聞いたことがない。

鑑定板なんてものはあるが、あれは触った者の魔力量とスキルが表示されるだけのもので、称号や生命力など表示されない。

ましてや、魔法で直接相手の鑑定なんて、魔法式が複雑すぎて行使したら脳がショートして廃人確定だわ。

それが、先天的に持って生まれてくる家系とか、国の上層部がこぞって欲しがるわね。隷属させて、多くの子供をもうければ、戦争や交渉、色々なことが有益に進む。あのゲス貴族共は、喜んでカーナさんを犯して孕ますでしょうね。いつも気取っている雌犬令嬢達も、キリアさんほど綺麗な人だったら、喜んで股を開いて跨ぐでしょうね。


想像しただけで、気持ち悪い。もげて死んでしまえばいいのに。


「ねぇ、今なんか怖いこと考えなかった?悪寒がするんだけど……」

「俺も……」


カーナさんが、キリアさんを抱きしめながら、涙目で震えていた。キリアさんもされるがまま、青ざめている。


カーナさんたちは、カードを早々に切ってきたみたいだし、今は一緒にいても大丈夫かしらね。

もし、何かあっても逃げればいいか。


「鑑定眼について……私に話してよかったのかしら?私が他の人に話したら、嘘だったとしても証明できないのだから、あなた達は確実に危険に晒されるわ」


「まぁ、そうだな。でも、シエルは、大丈夫だよ」


「母は、勘が働く。それに……いや、なんでもない。今後の関わりで、信じる信じないを決めたらいい」


そうキリアさんに言われて、少し納得した。

でも、何が大丈夫なのだろうか?それに、勘なの?大丈夫なのだろうか?カーナさんが、少し心配になる。


カーナさんのペースに翻弄されながら、リンザール国へ向けて旅を続けた。





「ねぇ、シエルは、色変えの魔法は使える?」


エリスタ王国の王都を後にして4日、1つ目の中核都市の防壁が見えたところで、お昼ご飯を食べていると、いきなりカーナさんが聞いてきた。


キリアさんに聞けば、できることも、既に色変えをしていることも分かるはずなのに……この人は、私について気になったことや知りたいことを、普通に私に聞くのだ。初めは警戒していたが、これは、カーナさんなりの歩み寄りなんだと、最近気づいた。

まぁ、キリアさんが鑑定眼で見たことを、必要時以外では口外しないのも要因だと思うけど。


カーナさんは、話し方もそうだが、性格もサッパリしていて男らしい。正直にいえば、直感第一の野生動物みたいな人ね。


キリアさんは、寡黙で表情が変わらないけど、周りをよく見ていて、気配りができる優しいお兄さんだ。何かできたり、手伝ったりすると、きまって頭を軽く撫でてくる。カーナさんがやらかすフォローと制御も完璧だ。正直にいえば、子供を育てる母親のような人ね。

つまり、カーナさんと私は、キリアさんの子供ね。

今度、『お母さん』とでも呼んでみようかしら。


なんて考えていたのを感じ取ったのか、カーナさんが「なんか、失礼なこと思ったな」と言って抱きしめてきた。

本当に、勘がよく働く人だ。それに、スキンシップが激しい。

いつもなら、カーナさんを止めてくれるキリアさんも、何かを感じとったのか、止めてくれなかった。

……酷い


思うに、カーナさんの家系は、鑑定眼だけでなく、危機察知能力みたいのも遺伝している気がする。

魔物の気配を察知するのも早いし。

数キロ先の魔物の気配を何となくで分かるという驚き。ちなみに、私は、気配察知の魔法で1キロ先が限度だ。


「色変えの魔法は使えます。でも、変身魔法は使えません」


「なるほど。なら、髪や瞳、肌の色を私達と同じ色に変えてくれ」


「何故ですか?この色の方が目立たないと思うんですけど」


「勘だ。」


そう言われてしまったら、従うしかない。今まで、その勘が間違ったことがないのだもの。


少し2人から離れると、ずっと被っているフードを脱ぎ、掌で眼を覆い、その後に髪を撫でていく。

全て終わると、キリアさんに漏れがないか確認してもらう。


「大丈夫だ。綺麗に変わるな」


感心しながら、頭を軽く撫でてくる。

この人、私のこと猫かなんかと間違えてないかしら?


「可愛い!お揃いだな!!これで誰が見てもシエルは、私の娘だな!」


とてもいい笑顔で私を抱き上げ、クルクルと回り始める。……嬉しそうなところ悪いですが、吐きそうです。


すぐにキリアさんが止めてくれたので吐かずにすみましたが、気持ち悪くて歩けず、カーナさんに抱き上げられたまま、中核都市― カノリア ―へ向かうことになった。




そして私達は、カノリアで……カーナさんの勘の恐ろしさを再確認することになった……


シェリーは、シエルに名前を変えました!

逃げ切れるかしら?


カーナさんとキリアさんが仲間になりました!

2人が触っても、症状が出ないようですね。

良かったです(*´˘`*)♡


これからもよろしくお願いします٩(ˊᗜˋ*)و

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