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自宅療養中に死亡…防ぐ対策は?最前線の医師の提言[2021/01/25 23:30]

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000205139.html

新型コロナウイルスの感染拡大で、自宅療養している人が急増しています。去年11月初めは全国で1000人ほどでしたが、今月20日時点で3万5000人を超えました。さらに、自宅で療養中に容体が急変し、亡くなる例が相次いでいて、これまでに少なくとも31人が亡くなりました。

容体の急変に備える方法はあるのでしょうか。日々、重症患者と向き合っている埼玉医科大学総合医療センターの感染症専門医・岡秀昭教授に話を聞きます。

(Q.重症者数は25日、全国で1017人と過去最多を更新しました。先生の病院の現状はどうなっていますか?)

去年12月半ばくらいから、重症者用のICUはずっと満床状態が続いています。さらに、そこのベッドからはみ出して、中等者用のベッドを利用して、人工呼吸器をつけた患者が6〜7人いる状況です。キャパシティーをオーバーしています。

ただ、そんななかでも、少し有効な薬の組み合わせを行い、1カ月程度の治療の後に回復してくる患者もいますので、そこには少し明るい光があるかなと思っています。


(Q.これまで治療をしてきて、薬の効果は出ていますか?)

我々の所に来るのは、免疫が暴走して重症・中等症以上になっている患者で、一番キーになるのは、デキサメタゾン(ステロイド)という薬です。

重症になりかけの早期にウイルスをやっつけるレムデシビル(抗ウイルス剤)を場合によっては投与します。これは条件付きで投与できない人もいます。

そして、呼吸が相当悪くなったところでは、ステロイドをほぼ必ず入れます。これを投与することで、2〜3日後には熱も下がり、呼吸の状態も上向く患者もいます。ただ、それでも悪化してしまう人もいます。

非常に重篤になってしまった場合には、十分に承認されている薬ではありませんが、生存率を上げるかもしれないという報告も出ているアクテムラ(リウマチ剤)を併用することもあります。

こういったことをすることで、私の病院では、去年末から人工呼吸の患者が10例ほどありましたが、今のところ、これからリハビリなど長い闘いは必要ですが、全員なんとか生存しているという状況です。


(Q.自宅療養している間に急変・死亡する例が相次いでいますが、どんな特徴がありますか?)

重症かどうかは、自覚症状では気付きにくいところがあります。

ハッピー・ハイポキシアといって、酸素飽和度が下がっても自覚症状がない状態になる例が多く、かなりの患者が息切れは軽いです。

ですので、問診などで「息苦しいですか」と聞いても、「苦しくない」という返答が多く、呼吸の悪化に気付かないことが多いです。

全員だとなかなか難しいので、重くなりそうな人に限ってですが、パルスオキシメーターで測った酸素飽和度の数字を見て判断していくのが理想的です。

ただ、こちらもない場合には、例えば、会話をしている最中に言葉がハァハァするとか、少し動いてもらって息切れをしていないかどうか、かかってから1週間ほど熱が続くというのは、重症化するサインだと思います。

後は、胸の動きを見て、呼吸の回数が1分間に20回よりも速くなるといったことがあれば、重いサインかもしれません。


(Q.自宅療養者に薬などで対策はできますか?)

理想は、そこまで呼吸が悪い人は入院だと思います。しかし、今、入院ができないことが問題になっていますので、ステロイド剤、特にデキサメタゾンは、飲み薬もあります。

オンライン診療や訪問診療、電話診療など、医師が参加できる形で、簡易なマニュアルとともに処方できるようにすることで、在宅死を食い止めたり、入院までの時間を少し稼ぐことができると思いますが、入院が前提だと思います。


(Q.ステロイドは、投与のタイミングが重要で難しいという話ですが、オンライン診療でも大丈夫ですか?)

ステロイドの副作用は、血糖値が上がってしまうことが一番大きな問題です。そして、他の感染症を悪化させてしまうというリスクがあります。

ただ、ステロイドはかなり歴史のある薬で、内科をやっている先生であれば、それなりに投与してきていることも多く、クセも分かっています。ですので、マニュアルをしっかり作って、副作用に対処できるようにすることができます。

また、コロナの場合には、コロナ以外の感染症を最初に合併していることが少ないです。なので、基本的には、我々の所に重症化して入院してきても、ほぼステロイドが入ります。

ステロイドを処方して頂いて、入院できるのを待って頂くのは、非常に有効な現状の打開策ではないかと考えています。


(Q.厚生労働省によりますと、オンラインで医師が診療し、薬局にも電話で服薬指導受け、家族が取りに行くか薬局が配達することは可能だということです。高齢者もオンライン診療を受けられるような土壌作りも重要になってきますか?)

そうですね。オンライン診療は診療報酬が少し安めだという話も聞いていますので、この緊急事態の間では、対面診療と同じような診療報酬を出して頂くことが求められます。

また、比較的ご開業の先生などは年配者が多く、オンライン診療に抵抗がある人もいますので、オンラインなどを支援する体制も必要なのではないかと思います。

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