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〈一滴――新しい日々の始まり。〉 地区の「詠つく」プロジェクト 2021年1月29日

たとえ社会の闇が深くとも
悩み紡いだ励ましの言葉は
互いの心に、光り続ける。
感染防止策を万全にしながら、皆の和歌や俳句が書き込まれた「かるた」を並べてみる。一人一人の短い言葉に、励ましの心や決意がにじむ(手前が白石里美さん)

 地球規模で続くコロナ禍。誰もが、生活の上でも、気持ちの上でも、何らかの影響を受けざるを得ない状況です。しかし、社会の変化に即応しながら励ましを送る「知恵」もまた、一人一人の中で、確実に深まっています。(記事=金田陽介)

 時は過ぎても、言葉は残る。ロシアの文豪トルストイは、そんな名言を残している。(※)
 コロナ禍の1年。
 この間にも、多くの言葉が生まれたが、どんなものが未来に残るのだろうか。
 一つ、確かなことがある。
 誰もがストレスを抱える今、時が過ぎようが、過ぎまいが、温かい励ましの言葉は心に残るということだ。

 昨年4月――大分市に住む、地区婦人部長の白石里美さんは悩んでいた。
 2019年11月に、地区婦人部長の任命を受けた。しかし、まだ地区のメンバーと深い話ができないうちに、全国に緊急事態宣言が発令され、訪問による激励、会合などの学会活動も自粛になったのだ。
 ヤング白ゆり世代だが、「当時、何となく苦手意識があってLINEも使っていなかったんです」。コロナ禍で、世の中が急速に変わっていく。自分は、時代について行けなくなるのでは、と感じてしまう。
 そんな一つ一つに、少しずつ元気を削られていく気がした。

 その頃、青年部が“皆で歌をつくろう”という「うたつく」プロジェクトを始めていた。
 “自分たちも、地区で元気になれる何かができないか……”
 そんな思いの半面、テレビをつけている時間が増える。
 白石さんも、地区部長の阿部寿蔵さんも大好きな番組があった。特に、出演者たちの詠んだ俳句を査定してランクを付けるコーナーが良かった。
 ある日、唱題していた白石さんの中で、そうしたすべてが、つながる瞬間があった。
 「歌」は作れない。けれど、「和歌」なら? 地区の皆で、和歌や俳句を詠んで共有し、励まし合えれば――。

 ※トルストイの言葉は、北御門二郎訳『文読む月日』(筑摩書房)から。

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