インターネットで活動する人たちはどうやって匿名性を高めているのか気になりませんか?
匿名性を高める方法としてVPNやTorが有名です。どちらも匿名性を確保するには素晴らしいサービスですが、匿名性を高める際にもっともエキサイティングな方法はVPNとTorを併用する事です。
それでは、どうやってTorとVPNを併用するのか?TorとVPNを併用する事によってどのようなメリットがあるのか?解説します。
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TorとVPNを併用する前の豆知識
匿名性を最高レベルまで高めるためには、VPNとTorを一緒に使う方法が手軽で確実です。
通信履歴は至る所で記録されています。たとえばあなたがVPNサービスを使っているとき、ISP(サービスプロバイダー)はいつどこのVPNサーバーに接続したのか記録しています。
ISPの記録と最終的な接続先(vpncafe.netのような一般サイト)の通信記録を突き合わせると間接的ではありますが身元の特定に繋がる材料となりますし、VPNサービス事業社が通信履歴を開示すれば身元は特定されます。
匿名VPNサービスは信用できる会社を選ぶ
このような事態を防ぐにはExpressVPNのように実際にノーログポリシーを貫いた事を広く知られているVPNサービスを利用する、あるいはNordVPNのDouble VPNの利用を検討すれば良いでしょう。これらのVPNサービスはアメリカやEUの管轄外であり5 Eyesに属さない国で運営されていて信用できます。
NordVPNのDouble VPNは高い匿名性を保証する
Double VPNは1つ目のVPNサーバーから2つ目のVPNサーバーを経由してインターネットに出ていきます。

Double VPNを使うとISPのログに残るのは1つ目のVPNサーバーと通信している履歴のみとなります。
そのためDouble VPNは身元の特定を極めて困難にします。
なぜTorは匿名性が高いのか
Torはどうでしょうか?Torは次の図のように3つのサーバーを経由します。

ISPにはEntry guard(Torの入り口)と通信している記録が残りますが、最終的な接続先(vpncafe.netのような一般サイト)にはExit relay(Torの出口)から接続している情報のみ記録されます。
Entry guardとExit relayには互いに信頼関係がないのでExit relayからTor clientへ辿る事ができません。これがTorが匿名性が高いと言われる理由です。
そして真に匿名性を高めるためにはVPNとTorを一緒に使う必要があります。
TorとVPNを併用する方法
VPNとTorを一緒に使うには「Tor over VPN」「VPN over Tor」という2通りの方法があります。
Tor over VPNによる匿名化
ひとつ目はVPN経由でTorに接続する方法です。次のような接続になります。
コンピューター → VPN → Tor → インターネット
この方法は簡単です。
最初にVPNサービスに接続した後、Torブラウザーを開けばVPN経由でTorに接続できます。
次の図はExpressVPNを経由してTorへ接続しているときの説明図です。

実際にどのようにして接続するのかについては「徹底解説!Tor over VPNのセットアップ方法」で解説しています。
Tor over VPNを利用した場合のメリット
Tor over VPNで接続した場合のメリットは何でしょうか?それはISPにはTorを利用している記録が残らない事、そしてTorのEntry guard(入口)から見るとなたの本当のIPアドレスが分からない点です。
最終的な接続先(vpncafe.netのような一般サイト)から見れば接続元IPアドレスはTorのExit relay(Torの出口)となります。
- ISPはあなたがTorを使用している事が分かりません
- TorのEntry guardはあなたの本当のIPアドレスが分りません
- ダークウェブ(.onionドメイン)へ接続できます
- Torネットワークにトラップを仕掛けられてもあなたの本当のIPアドレスに辿り着く事は困難です
VPN over Torによる匿名化
ふたつ目はTor経由でVPNに接続する方法です。次のような接続になります。
コンピューター → Tor → VPN → インターネット
この方法を適切に使った場合、身元の特定は不可能なレベルになります。ただし、この接続は少々複雑で、通常のVPNサービスでは対応していません。
この接続方法に対応しているのはAirVPNです。
VPN over Torのセットアップ方法は「徹底解説!VPN over Torのセットアップ方法」で解説しています。
VPN over Torを利用した場合のメリット
VPN over Torを利用した場合のメリットは何でしょうか?それはVPNサーバーへの接続元IPアドレスがTorとなるためサインアップ時のメールアドレスに匿名メールを利用している場合、身元の特定が相当困難になる点です。
また、支払い時に暗号通貨を利用している場合は身元の特定がほぼ不可能となります。
- VPNへの接続はTorを経由するためVPNサービス事業社はあなたの本当のIPアドレスが分かりません。
- VPNで暗号化されるためTorのExit relayであなたのトラフィックを見ることができません。
- TorをサポートしないあらゆるプロトコルをTor経由で通信させる事ができます。
- VPNサービス事業者との契約に適切に匿名化された暗号通貨を使用した場合、VPN事業者がログを開示してもあなたに辿り着くことはできません。
TorとVPNを併用する方法のまとめ
VPNサービスは信頼できるサービスを利用すれば十分に匿名性を確保できます。
それでも尚、更なる匿名性を望むのであればTorとVPNを一緒に使うことを検討してください。その代償は通信速度の低下です。
通信速度を犠牲にしてでも完全なる匿名性を得る必要があるのであれば、VPNとTorを併用してください。
その方法には既にご紹介したとおり2通りあります。どちらの方法を採ってもプライバシーと匿名性が格段に向上します。
そしてVPN over Torによりほぼ完全な匿名性を得られますが、この方法は特殊なためAirVPNと契約する必要があります。
