https://en.wikipedia.org/wiki/Crow_(comics)
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Crow:_Stairway_to_Heaven
映画:The Crow
ストーリー要旨:恋人とともに殺された男がよみがえっての復讐譚&純愛
ジャンル:アクション
自分にとってすごく大事な作品を
ジェンダーで考察するのは若干躊躇があるものの、
する気になったので、する(笑)。
女性が酷い目にあって、
男性が恋人の復讐のために暴れる
※本音
男性が暴力を発揮するのを気持ちよく見るために、
暴力正当化の装置として女性を犠牲にする
というのはもう陳腐中の陳腐で、
クロウもまぁその系統ではある。
がしかし、それに留まらない、胸に迫るものがあるから特別。
ただしかし、主人公エリックの復讐の動機が
どうしても「男の呪い」なんだよなぁ、というのがこの記事の主旨。
「恋人を守れなかった」苦悩、これが彼を突き動かしているのね。
ちなみにエリックを演じたブランドン・リー
「これは復讐の物語ではない。被害者の正義だよ」。
うん、自分もそう思う。
「清算」なのである。マイナスを0に近づけるだけの不十分な清算が、復讐。
それで、物語の設定状況で、守れたかと言えば、無理に決まってるのね。
自宅に拳銃もった異常な男三人が押し入って、撃退できるわけないじゃん?
だからエリックが「守れなかった自責」をする必要は全然ないの。
ないんだけど、「女を守るのが男」の呪縛から、彼は逃れられない。
古い映画だから結末書いちゃっていい?
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復讐が全部終わって、ボロボロになった彼のそばに、
恋人のシェリー(幽霊)が現れるの。
エリックは報われた気持ちになり癒されて成仏するの。
これねぇ。
ジェンダーがない世界で、
気の強さ、攻撃性、安定性、そういう個人差を無視したら、
エリックとシェリーが二人とも
「殺したやつら許さない」とよみがえってもいいわけじゃない?
二人で復讐して二人で成仏してもいいわけじゃない?
でもエリックだけが自責と暗くかつ爆発的な情念を抱えてよみがえって、
最後は恋人に癒されて終わり。
理不尽に殺された恨みでなかなか死者の国に行けない、のはわかるんだけど、
エリックに「男の呪い」が加算されていなければ、とっくに死者の国に行っていたかもよ?
フィクションに何言ってんだ、と言われそうだけど、
ん~、でもこれ作者の実体験の投影だから。
作者の恋人が交通事故で亡くなって、その悲嘆から生まれた作品なのね。
作者に責任はむろん、守りようがなかったであろうことで、
「守れなかった」をどうしても抱えてしまうのが、呪縛だなぁと・・・。