「青」もそうだが、赤の色は色々な色合い
がある。
この帽子はニットもベレーも下の敷物も、
大きく括ると全て「赤」だ。
一番下の和式手拭いはどこかの大学の
スクールカラーのようだが(笑)。これは
日本語では臙脂(えんじ)とも呼ばれる赤系
だ。
また、右下クリームソーダのニット帽は
スカーレットと呼ばれるカラーで、こち
らは赤にオレンジが入る。遠目には真っ赤
の真紅ではなく、光の加減で強く濃いオレ
ンジに見えたりもする。赤色に橙を混ぜる
ことによりこの色が出来る。
こちらは大学カラーとしては日大のスクー
ルカラーがこのスカーレットだ。
よく駅伝のユニフォーム等から、日大の
スクールカラーをピンクだと勘違いして
いる人たちが多い。日大生でさえピンク
が日大カラーと思い込んでいる人たちが
かなりいるようだが、日本大学はスカー
レットだ。
大学のスクールカラーの存在は、一つの
「色分け」の文化なのだろう。英軍の部隊
別カラー分けと通じる。
ベレーにしても、一口で「レッドベレー」
といっても、様々な色合いがある。
これなどは、下が英軍空挺部隊の実物ベ
レーで俗にマルーンと呼ばれる。赤に栗色
がかっているからだろう。
上は米軍空挺の制式ベレーで英軍物より
も赤が強い。しかし、スカーレットでは
ない。
話は変わるが、このニット帽はクリーム
ソーダの別バージョンニットだ。
この帽子、面白い作りで、被り方によって
は、まるきりベレーの形にかぶることが
できる。遠目にはベレーにしか見えない
ような長い横垂れを形作ってかぶること
が出来るので面白い。

赤にもいろいろある。
しかし、赤色には一つだけ特徴的な事が
ある。
それは紫外線の影響で赤色はどんな染料、
顔料を使っていても、必ず退色するのだ。
どんどん色が薄くなって来てしまう。
真っ赤程そうなる。
マジックペンなどの色は経年変化で消えて
しまう程だ。
赤土の赤は赤ではなくいわゆる茶色である
のだが、真っ赤というのは退色する。
臙脂などはどういう訳か退色しづらい。
もしかすると、真っ赤である繊維が少な
く、生地に臙脂系が世界的に多く使われる
は、退色防止の意味合いもあったのでは
なかろうか。
なお、自動車などの塗装では赤系は「高価
色」と呼ばれて割増になる。
赤は赤だけを塗っても発色しないため、
下塗りで白を塗るのだ。黄色も発色しな
いため下地に白を塗る高価色に分類され
ている。
バイクやアメフト等のヘルメット塗装など
も、黄色や赤を塗る前には下地に白を塗
る。
ちなみに学生運動華やかなりし頃の赤ヘル
は、大雑把なセクトはそのまま赤をスプ
レーしたりペンキ塗りをしたが、党派に
よっては黒を下塗りしてから赤を吹いたり
した。
あの業界のドカヘルでは、大学の学生会館
のサークルボックス(部室)に山積みのヘル
メットの中には、剥がすと一つのヘルメッ
トの下に赤が出て来たり黒が出てきたり
青や緑が出て来たりすることもある。
どんだけ内ゲバで鹵獲されまくったヘル
メットなのかと思ったりする。もう塗装は
ペンキの塗料が第二次大戦中のヨーロッパ
の建物の瓦礫の壁ような層を成していたり
する。
そんなヘルメットが大学にはゴロゴロして
いたし、それによって事あるごとに実用的
に頭を防護したりしていた。1970年代入学
の学園風景などはそれだった。私は3年次
に80年代がやってきた70年代と80年代の
現実を見た狭間の世代だった。最後っ屁
みたいなもん。
「赤」といっても色々ある。「色々」とは
よく言ったものだ。
武田や井伊の赤備えなども真紅ではなく
朱色がかった赤だった。
戦国武者たちのやってる事はゲバヘル学生
と変わらない。
両者とも天下獲りの合戦を目論んでいた。
この陣羽織を今着るのは、現代では二輪
乗りのMC(モーターサイクルクラブ)だけ
になってしまった。
MCとは唯の仲良しツーリングクラブや
親睦ライダースクラブではないので、なか
なか一般的には理解され難いだろうが、
独自の価値観を持っている。MCは血盟団
のようなものだ。クラブというより結社と
して捉えると分かり易いかも知れない。
MCの入会には厳正審査があり、厳しく
人選される。希望すれば誰でも看板を背負
える世界ではない。そのあたりはセクトに
似ている。希望すれば誰でもセクトのデモ
の隊列には参加できるが、セクト以外は
重大な戦闘には参加させない。非公然非合
法破壊活動に属するからだ。
また、セクトのメンバーは「局を脱するを
許さず」であるので、誰でも入(はい)れな
いし入(い)れない。
厳しい詮議と血盟なくばセクトにはなれな
い。セクトは非合法公然結社であるので、
そこが合法的な議会政党とは大きく異な
る。セクトの者がセクトを辞める時は、
組織本体が消滅した時しか存在しない。
セクトという組織は出はいり自由ではな
い。MCもその点だけは近似している。
赤にも色々あれど(色んな意味で。笑)、
和色の「青」たるや赤の比ではない。
60色くらいの種類の「あお」があるのだ。
反物やキモノや組紐の専門家でないと覚え
切れない。
色の世界は深い。