感染者の数が高止まりする中、福岡県内では病院や宿泊療養施設に入れず自宅で療養せざるを得ない人が増えています。

全国で容体が急変して自宅で死亡する例も相次いでいます。

自宅療養を経験した福岡市の女性を取材しました。

◆新型コロナで陽性 自宅療養していた女性(30代)

「基本的にはホテルで療養することになるが、今は空きがないのでしばし自宅で待機して下さいと言われました。主人と2人暮らしなので、陽性の私がいると(夫に)うつってしまうかもしれないという不安があったので、できるだけ早く入りたいとは、お伝えしました」

福岡市内に住む会社員の女性。

1月4日にPCR検査で陽性となり、家族への感染を恐れホテルでの療養を希望しましたが、空きがないという理由で入れませんでした。

その後は自宅で療養する日々が続き、結局、1月20日に仕事復帰するまで自宅で過ごしていました。

◆自宅療養していた女性(30代)

「発熱と頭痛、あと咳がしんどかった。5日目から7日目に急変して亡くなった方がいるというのを聞いて、急に不安になった。なかなかしんどい2週間だったかなと思います」

止まらぬ感染拡大で急増する自宅療養者。

その数は、2020年12月1日には95人でしたが、その後、一気に増加。

1月23日時点で約2400人となり、わずか1カ月半あまりで25倍に膨れ上がっている。

福岡県ではこれまで家庭内感染防止の観点から軽症・無症状者にホテル療養を求めてきました。

しかし感染者が増えた現在、「高齢者や基礎疾患がある人」を優先的に案内していて、この女性のように感染していない家族と同居していてもなかなか入所できないケースが増えています。

濃厚接触者に認定された女性の夫は、いまだに仕事に復帰できていません。

◆妻が新型コロナ陽性 福岡市内の男性(30代)

「妻はコロナにかかって10日間経ったらOKというルール。状態も落ち着いているから復帰できて、(私は)復帰できた時点から2週間経たないと復帰できないという決まりみたいで…。長いですね。こんなに長くなるとは正直思っていなかったので…」

この事態に、福岡県医師会も危機感をあらわにしています。

◆福岡県医師会 上野道雄 参与

「福岡県では県と県医師会の基本として、PCR陽性の患者は全て隔離するという体制で今まで臨んできた。この状況がやや危うくなったと」

福岡県は1月25日までに、5つのホテル、1194部屋を確保。

部屋の稼働率は、現在50%ほどにとどまっていますが、フロアごとに行っていた消毒作業を部屋ごとに変更するなどして効率化を図っています。

4日間の自宅待機の末に、ようやくホテルに入れたという女性は―。

◆新型コロナで陽性 ホテル療養していた女性(50代)

「ワゴン車が家の前に来てくれて、(陽性者が)4、5人乗っていて、ホテルまでみんなで行った。(ホテルは)満室という感じじゃなくて、隣は片側しかいなかった。前にもいなかった」

ここ最近、自宅療養中の感染者の容体が急変し死亡するケースが全国で相次ぐ中、女性は『ホテル療養の安心感』を語りました。

◆ホテル療養していた女性(50代)

「時々、救急車が入ってきたりすると、症状が変わった人がいるんだなと。すぐにそういう対応ができる状況だからこそ、ホテルはいいのではないか」

感染者の急増で日に日に状況が悪化する中、感染者の受け入れ体制強化が急務となっています。