前提知識
・ボード線図の書き方
・Scilabの使い方
・むだ時間の伝達関数
こちらでも説明した様に、むだ時間は以下の伝達関数で表現することが出来ますが、これは非線形の特性となっているため
そのままでは使えず、線形の近似をする必要がありますが、近似の手法の一つとしてパデ近似について説明します。

導出手法は後で説明しますが、パデ近似の形を先に示します。以下のとおり。
■1次のパデ近似

より精度を求めたい場合は2次のパデ近似を使用します。
■2次のパデ近似

■動作を確認する。
実際のパデ近似の動作を確認します。Scilabでの設計結果は以下。ここではむだ時間を0.1秒としております。

シミュレーション結果は以下のとおり。パデ近似は一度値が下がる特性を持っていますが、
これはむだ時間の立ち上がりタイミングに近づけるような形となっております。

■パデ近似の導出方法
簡単のためe-sの近似を考えます。まずマクローリン展開は以下式となります。

従って、

となります。一応これでも近似されていますがこれでは扱いづらいので、以下の様な有利関数で表現したいです。

上式をマクローリン展開すると以下となります。導出方法はこちらを参照。

(1)と(2)比較すると、

より、

となります。なおこの解は3次の部分の以下式は満たさないので、2次までの近似となります。

従って以下となります。

ここでs=Lsと置くと以下となり、1次のパデ近似を導出することが出来ました。

2次のパデ近似を導出する場合は同様に、以下と置きマクローリン展開し(1)式と比較すれば良いです。

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