第6章のテーマは、「雪虫は夏の間何してるの?」。
毎年秋も終わりに近づく頃に大量発生して、服についたりしてイライラしますよね。
まず雪虫について少し補足を。
『雪虫』という名は俗称です。正式にはアブラムシの仲間で『トドノネオオワタムシ』っていうらしいです。
この『トドノネオオワタムシ』は夏の間はトドマツの根で生活しているんです!!
つまり、夏の間は地下にもぐってるんだねっ。
トドノネオオワタムシ(以下、雪虫)の生態はちょっぴり変わっています。
春に孵化した雪虫の幼虫(全てメス)は、ヤチダモやアオダモなどの葉の裏(一次宿主)で過ごして単為生殖(=処女生殖:オスメス関係無しに受精すること)によって、子虫(全てメス)を産みます。
この子虫だけが翅を持つことができ、6月~7月頃にトドマツ(二次宿主)の根へ移動します。
そして夏の間、雪虫はトドマツの根でアリと共生してさらに増殖(ここで産まれるのも全てメス)し、10月中旬に数世代誕生したうちの最後の世代だけが翅を持った成虫に成長します。
この成虫が我々よく見る雪虫。この成虫は初雪が降る頃に一次宿主であるヤチダモの木に戻るために移動するんです。
この時に体についているものが雪に見えるんですね。ちなみにその白い綿のようなものはロウ状の物質みたいですよ、アブラムシだけに油なんだね。
無事にヤチダモにたどり着いた雪虫はここで初めてオスとメスの両方を産みます。
そこでオスとメスが交尾して産みつけた卵が翌年春に孵化・・・というサイクルなんですね。
んまぁ雪虫の一年はこんな感じです。
ん?何か気づきましたか?
そう!!雪虫はトドマツに移動する時とヤチダモに戻る時の2回、飛んでるんです!!!
じゃあなんで2回目はウザいくらい大量発生してるのに1回目はわからないのか・・・。
冬に飛ぶのは何世代も増殖しているのに対して夏は数が少ないから飛んでいてもわかりにくいんだと思いますよ。
どうしても夏の間に雪虫を見たい人はトドマツの根を掘り起こしてみてはいかが?
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