新型コロナウイルスの感染拡大で病床が逼迫(ひっぱく)する中、発熱やせきの症状がある「コロナ疑い」の患者が119番しても受け入れる医療機関が見つからず、搬送を辞退した事案が今月、京都市内で8件起きていることが京都市消防局への取材で分かった。京都市消防局が約3時間にわたって搬送先を探したが、22の医療機関に断られたケースもあるという。
搬送を辞退した事案は「不搬送」として集計される。「コロナ疑い」での不搬送は昨年12月の3件から倍以上に増えた。
8件の内訳は、救急隊が現場到着してから不搬送決定までに2時間以上かかったのが2件、1時間以上2時間未満が3件、30分以上1時間未満が3件だった。このうち少なくとも1人は後日新型コロナの陽性が判明したという。
関係者によると、13日に発熱の症状があった90代の女性の場合、119番を受けて京都市消防局が2時間50分にわたって受け入れ先を探したが、「対応が困難」などとして22の医療機関から断られた。女性は翌日に医療機関を受診することにし、搬送を辞退したという。
京都市消防局は「搬送してもらえないと思って『呼び控え』されるのは避けなければならない。本当に必要としている人は、ためらわずに119番してほしい」としている。