2019年12月12日

公正から考える区分(パス、身体、戸籍、セックス)

● 最初に結論

性別はセックス、
性別区分はセックスに従う、
それしかない。

● パス度主義

パスとは「偽装成功度」である。
この「他者を騙して通過する」発想がそもそも社会正義に反する。
【社会は他人への漠然とした信頼があって成立している】を悪用するものだから。

受け入れ側も「見た目で通す」のはいろいろおかしいのである。

「トイレはパス度で」は
他害の意思がなく、他害の行動をせず、
セックス男性がわかって女性を脅かすという他害をしない完全偽装なら、入っていい。

自分も当初この考えだったが、

他害の意思がなく、他害の行動をせず、
セックス男性がわかって女性を脅かすという他害をしてしまう偽装不成功者は、入場不可。

「内面同じでも見た目で合否」
おお、美女と野獣、ノートルダムの鐘!、コノハナノサクヤヒメとイワナガヒメ!

※美醜問題は通常「優遇冷遇=総体性・連続性」の問題と考えられがちだが、
美醜で「個人の心情の次元で」、合否判定をしているものでもある。
いちいち言語化して考えないだけで、
女性なら「ここまでなら受け入れられる」的な、可否≒合否。
男性なら「イケる/なし」と露骨な合否を平気で言う。※傾向です。なろーる。

「内面同じでも偽装で合否」

パス度主義はこれを個人の心情の次元でなく、社会の行動の基準に求めるわけである。

ダメでしょ。公正として。

パスを試みる側に話を戻すと、
パスはあくまでも受動側が感知しないことである。
感知しない(完パス)/しないふりをしている(配慮パス)
を能動側が真に知ることは不可能である。

現実には、配慮パスを完パスと認識する「自認完パス」が多数存在する。

「パス度で」は
「あなたが自認するパス度で入場可否を自己判断してください」である。

「他害の意思と行動がない前提」の性善説に加えて、
「己を正しく客観視できる判断力がある前提」の性善説。

無理。実用性なし。

● 身体主義

「性適合手術を終えていれば、入場可」
「男体者が女性スペースに入るな、男体者の女性への暴力を考えろ」

この主張を、自分は身体主義と呼ぶ。

トイレにはパス度、女湯には身体を言う人が多いが、
トイレから身体を言う人もかなりいる。

現在自分はトイレにパス度なんてとんでもない、と思っているが、
他者判定が非力ながらも働くのはパス度主義である。

パス度主義は「見た目で可否」、
身体主義は「性適合手術をした前提」で、
土台である「信じる性善説」、または「疑ってかかる性悪説」。

他者の善良性を信じる、他害性を疑ってかかる、こういうのが、
どえらいコスト(精神的負担)である。

そして疑わしい時、どうしたらいいんだ?
通報して、管理者が手術済み証明を確認する?
いや通報って、管理者がいる・すぐに駆けつけるトイレばかりじゃないよ?

自分はパスの主観より身体の事実のほうがマシだと思うが、
身体主義は【効力】がないのである。

そしてまた、身体主義は実際のところパス度主義との併用になる。
見た目で違和を感知しない対象に、身体状態を考えることはない。
見た目で違和を感知した後に「身体状態を可と信じる/信じられない」の葛藤が始まる。

女性にこの葛藤をさせることが、不正義である。

身体主義も、無効。

● 戸籍主義

公式性別が戸籍記載の性別で、
セックスに関わらず公式セックスで性別区分。

これが社会的に最も公正であるように思える。

しかし
「社会の正義と考えての約束事」が
「個人の経験則と社会の現実の蓄積から導かれる、個人の判断と感情」に
相反することは何によらず多々見られる。

早い話が「戸籍主義は現実無視の机上の空論」なのである。

現在の特例法にのっとった戸籍変更であっても、

パス度主義(見た目主義)が完全に消滅したら、
身長骨格で性別移行をあきらめる必要がなくなる。
そうすると「セックス男性と明らかにわかる公式女性」が増えてくる。

「セックス男性と明らかにわかる公式女性」を、
「セックス女性」として受け入れられますか?

そもそも、受け入れるべき・受け入れなくてはならないんですか?
なぜ?
本人がそれを望むから?
本人が望めば受け入れる側は受け入れるのが自明で問答無用なんですか?
なぜ?

ここを、ちゃんと考えて議論されていない感。

少なくとも、性暴力と性差別の実情を鑑みて、
「セックス男性の公式女性を、女性として受け入れる」を検討するのは、
「セックス女性の公式男性が、男性として受け入れられ、危害を加えられず、不利益を受けない」
を確認した後で十分です。

無論MTFとFTMは非対称です。
「FTMを男性として受け入れる」は
「MTFを女性として受け入れる」の交換条件ではありません。

【検討を始める前の、最低条件】です。

● ここまでの結論

パス度主義 効力なし
身体主義 効力なし
戸籍主義 検討の段階にない

● 今できる、正当で実効性のある区分

セックス区分(従来通り)

これしかないです。

このセックスには、特例法により「公式の名目上のセックス」を含みます。


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posted by Erin at 00:00| Comment(0) | TS・GID-1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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