バスケ国際大会は日本からカタールに変更 五輪へ問われる「危機管理能力」

日刊ゲンダイDIGITAL / 2021年1月26日 9時26分

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緊急事態宣言下でも1万1000人超のファン(ラグビー全国大学選手権決勝・天理大―早大戦=写真)/(C)共同通信社

 ひとつの国際大会が日本から離れていった。

 国際バスケットボール連盟は22日、2月中旬に日本で行われる予定だった男子アジアカップ2021予選(B組)の開催地を、コロナ禍の影響によりカタールの首都ドーハに変更することを発表した。

 白羽の矢が立ったカタールは、2月4日からサッカーのクラブW杯も開かれるが、同国もコロナの感染者数は少なくない。例えば、17日から23日の1週間を見てもカタールは人口10万人あたりの感染者数が59・4人。日本は29・7人。日本のほうがまだマシだ。

 それでも開催地がドーハに移ったのは、カタールにおけるスポーツイベントの感染症対策が、日本と比べものにならないほど徹底されているからだろう。

 AFP通信によると、カタールはクラブW杯開催にあたり、国外観客の受け入れは禁止。さらに約4万人収容の会場も入場者数は30%に制限。観客は試合開始の72時間前までに簡易PCR検査か抗原検査を受けることが必須であり、陰性者にのみチケットを渡すという。

 アルコール消毒やマスク着用はもちろん、国の接触追跡アプリの使用も義務付けられる。

 日本はすでに11都府県に緊急事態宣言が出ている。スポーツイベントも規制の対象に含まれているが、「既に売れているチケット」は対象外となり、今月11日に国立競技場で行われた大学ラグビー選手権決勝には、1万1000人を超えるファンが会場に押し寄せていた。

 バスケの国際大会の開催地変更は、緊急事態宣言発令などの事情があるにしても、感染爆発の都市でPCR検査もせずに1万人以上の客を入れたことには批判の声も少なくない。あらゆる競技の国際連盟から「半年後に五輪を開催するにしてはあまりに危機管理能力が低い」と見られても不思議ではない。

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