2015/11/09
サガロ & アガベ・アテヌアータ のお話
カナペさんからコメントをいただいて、植物園の温室にある 「サガロ室」 で撮った写真を、ちょっと見返してみました。
改めて眺めてみると感慨深いものがありました。
サガロ室の弁慶柱
温室の 「サガロ室」 に入って、まず目を引くのが巨大な弁慶柱。
元々5本あったそうですが、徐々に枯れてしまい、とうとう最後の1本になってしまいました。
弁慶柱についての解説
導入してからの経過とその意味が説かれています。
読みづらいので下に拡大版を掲載しておきました。
学術的な施設にしては珍しく (?)、情緒豊かに解説されています。
昭和62年、アメリカ アリゾナ州のソノラ砂漠から、5本の弁慶柱が東山にやってきた。
いずれも樹齢200年を超す5メートル以上の巨木だ。
最初はみんな元気だったが、来園20年辺りから体調を崩し、1本、2本と枯れていった。 そして、とうとう最後の1本を残すのみとなってしまった。
しかし、その種子からは多くの子どもが育っている。
人にとって巨大な弁慶柱が枯れてしまうのは悲しいことだが、長寿を誇る弁慶柱も自然という大きな 「命のサイクル」 のほんの一部でしかないのだ。
要約するとこんな感じでしょうか。
朽ちていく弁慶柱も、命の営み を知ってもらうために敢えて残してあると、東山の公式ブログに書いてありました。
貴重な弁慶柱の花と果実の写真
多くのサボテンがそうであるように、風体に似合わずとても可愛らしい花 を、頭の先っちょに咲かせます。
サガロの子どもたち
みんな元気に育っていますよ。
どんなに大きく立派な植物でも、みんな最初は小さな小さな種です。
この自然の不思議、そして壮大さ。
サガロ室に掲示してある 「サガロの伝説」
アリゾナ州ツーソンのインディアンに伝わる伝説だそうです。
「 実は、サガロは、気ままな母親によって砂漠に置き去りにされた子どもなのだ。
その子どもは、母親を待ちこがれ、ついに母親が帰って来なかったとき、サボテンに化してしまった。 だから、サガロの腕は、母親を求めて空に向かって伸びているのだ。」
「だから、名古屋の皆様、どうぞこの子たちの永遠の母親になってやって下さい。」
この話を聞いてから、この姿を見ると、何だかとても切なくなります…。
そして、もうひとつ 「アガベ」 の話
サガロ室には、たくさんのアガベが植えられています。
注目して欲しいのは、ちょっとわかりにくいのですが、大きな弁慶柱の間にいるアガベです。
その名は 「アガベ・アテヌアータ」
2013年の12月に花を咲かせました。
アガベの多くは、数年から数十年かけて花をつける準備をし、ご覧のようにロゼット (放射状の葉) の中央から長い茎を伸ばして花を咲かせます。
写真ではわかりにくいのですが、茎の部分だけで2メートル以上はあったでしょうか?
花は下から上へと順番に、黄色い小さな花をたくさん咲かせていきます。
(この写真は、茎の頭が垂れ下がっていますので、下側が上になります。)
このようなアガベの開花シーンを見られるのは、数年に一度のとても貴重なことなのだそうです。
確かこの子が花を咲かすのは 9年ぶり だったかと思います。
そのアガベ、実は開花すると株は枯れてしまいます。
この写真は翌年の8月に撮りました。12月に開花していたアテヌアータもこの頃にはすっかり朽ち果てています。
この子たちが、長く高く茎を伸ばし、花をつけた後、自らを枯らすのは、"枯れて倒れることにより少しでも遠くに子孫を残すため" と考えらているそうです。
アテヌアータ にとって開花は、大切な子孫を残すための 命をかけた一世一代の大イベント だったのです。
一見、何事もないかのように私たちの周りで静かに暮らしている植物たち。
しかし、そこには、次の世代に命をつなごうとする懸命な姿がありました。
アガベが命をかけて残した子どもたちです。
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