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最弱で迫害までされていたけど、超難関迷宮で10万年修行した結果、強くなりすぎて敵がいなくなる~ボッチ生活が長いため、最強であることの自覚なく無双いたします。 作者:力水

第三章 悪竜討伐編

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第16話 包囲する三大勢力



 ――アキナシ領南部の荒野


「本当にこんな場所で特級クラスの魔導書の受け渡しがあるネ?」


 半信半疑であるのだろう。黒髪を御団子頭にした褐色の肌の少女、リンリン・ラーファンは眉を顰めつつも背後に跪く黒装束へと尋ねると、


「闇市場に流れた魔導書は全て全て特級クラスの本物と確認。そしてアメリア王国第一王女ローゼマリー・ロト・アメリアがこの街に滞在していること、さらに世界最大の魔導結社【迷いの森(ロストフォーレスト)】、最恐の暗殺結社【朱鴉(あけがらす)】がこのアキナシ領周辺に集結していることの裏はとれています」


 噛み締めるように返答する。


「裏の三大勢力が勢ぞろいってわけネ。これでほぼ真実性は保証されたのネ」


 裏の三大組織が血眼になって求める魔導書か。これはただの魔導書の争奪戦ではない。今後の裏社会の王を決める戦いといっても過言ではない。


「どういたしましょう?」

「どうする? そんなの決まってるネ。殺すヨ。我らタオ家に逆らうものは雑草一本残さず刈尽くすネ!」


 リンリンの掛け声がアキナシ領南部の荒野に響き渡り、黒装束の集団は静かに動き出す。




 ――アキナシ領北の山岳地帯


 周囲に絶叫が木霊する。椅子の上に括りつけらえた蛇の入れ墨のある一人の構成員。その構成員の全身に突き刺さる無数の鉄の棒。


「王国の一伯爵のパシリごときが、此度のわいら、三大勢力の争いにエントリーするとはなぁ」


 太陽と鴉のタトゥーを右頬に刻んだ紅のぶかぶかの服に異世界人の開発した小さな丸渕眼鏡をした金髪の優男――オボロが、もはや虫の息の【蛇血】の構成員に向けて弾むのような声色で話かける。


「ご、ごろ……してぐれ……」


 自害を望む【蛇血】の構成員の男に、


「はあ? そんなん、駄目に決まっとるやろ」


 悪意のたっぷり籠った返答を返す。


「頭目、総員配置につきやした」


 丸渕眼鏡の男、オボロと同じ血のように真っ赤なぶかぶかの服を着た側近の男が、殺戮開始の準備の完了を告げる。


「さー、お立合い、今から始まるは裏の真の王を決める王位決定戦。勝利するのは一つのみ。

 勝つのは誰や!!?」


 オボロは、右手を右耳にあてて叫ぶと、


「「「「「我ら【朱鴉(あけがらす)】なりッ!!」」」」」」


 足を踏み鳴らし大声を張り上げる。

 オボロは満足そうに何度か頷くも話を続ける。


「わいらは王や。王は慈悲深くなくてならん。抵抗する素人のみスパッと殺せっ!」

「「「「「おう!!」」」」」」

「なーら、オノレら同業者はどうする?」


 やはり耳に手を当てるオボロ。


「「「「「苦痛の末の死をっ!!」」」」


 喉が潰れんばかりの大声で叫ぶ、ぶかぶかの服を着た男女。


「そや、同業者には遠慮はいらん。女子供たりとも一匹残らずぶっ殺せ!!」


 夜空に咆哮が上がり、ぶかぶかの服を着た集団はアキナシ領へ進軍する。




 ――アキナシ領東部の山林地帯


 森の中から街の様子を伺う緑色のローブにとんがり帽子を被った集団。

 その中心にいる十二、三歳ほどの容姿の少女。彼女こそが世界最大の魔導結社【迷いの森(ロストフォーレスト)】の首魁――アリス・レンレン・ローレライ。元ローレライの王族であるが、魔導の追求故に最大禁忌とされる不老不死の術にその手を染めて祖国を追われた異色の魔導士である。


「闇系の最上位の魔導書。古文書クラスの伝説上の闇魔法なの」


 抑えても抑えてもどうしても声に歓喜が入ってしまう。

 光魔法と闇魔法。何れも神話の領域の魔法と言われた魔導士にとって至高の領域にある魔法。しかもその最上位の闇魔法だ。その魔法の取得はいわば魔導士の到達点といってもいい。


「【朱鴉(あけがらす)】と【タオ家】も今回の争奪戦に参加しているもようです」

「この(いくさ)だけは絶対に負けられないの。いかなる手段を用いても魔導書を獲得するの!」

「ハッ!」


 緑色ローブたちは一斉に敬礼し、アキナシの街へと次々に侵入していく。


 こうして怪物の描いた悪夢の幕はゆっくりと上がっていく。



まんまとおびき寄せられたってやつです。


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