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最弱で迫害までされていたけど、超難関迷宮で10万年修行した結果、強くなりすぎて敵がいなくなる~ボッチ生活が長いため、最強であることの自覚なく無双いたします。 作者:力水

第二章 神聖武道会編

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第3話 怪物少年


 バルセの街を中心に活動するBクラスのハンター――イルザ・ハーニッシュが、いつものように魔物退治の帰りにギルドで酒を飲んでいたら、ギルドの受付嬢ミアの素っ頓狂な声が聞こえてきた。

 どうやらミアがハンターに登録しに来た少年の恩恵(ギフト)を誤って口にしてしまったようで、大層慌てていた。

 なんでも、少年のギフトは【この世で一番の無能】。何とも運のない少年だ。

だが、同情はするが、ハンターは基本実力主義。よほどの例外でもない限り、その将来は所持するギフトによって決まるといっても過言ではない。そんな使い物にならないギフトなら、ハンターとして活動するのは難しいだろうな。そうぼんやりと考えていた。

 その後、少年が能力ブーストのアイテムを持っていたと自ら暴露し、ギルド内は喧噪に包まれる。能力自体をブーストするアイテムなど聞いたこともない。下手をすれば国宝級の値打ちがつく。

 ある意味当然に、居合わせたハンターたちは、その少年につきそれぞれ好き勝手放題、話をし始める。

 その内容は入手先やアイテムの効能などについての興味が6割、残りの4割は新入りがそんな大層なものを持つことへの嫉妬だった。

 そして僅かだが、その瞳に貪欲な欲望を漲らせているものたちを認識し、


「これはアタイが、処理することになるかもね」


 そう独り言のように呟いたのだった。


 案の定、少年がギルドハウスを出たととき、ミアが駆け寄ってくると、当分の間、気にかけてあげて欲しいと頼まれる。

 ミアは責任感が強い。このまま少年が襲われれば、ギフトを人前で暴露してしまった自分のせいだと考えるはず。ミアには普段から何かと便宜を図ってもらっている。だから、二つ返事で了承しギルドを出た。

 暫し気配を消しつつ遠くから少年を眺めていたらミアの危惧通り、少年の後をつけるゴロツキたち。この国の情勢が不安定なためか、最近のハンターには、あのようなクズが増えた。  

近道でもするつもりなのだろう。少年はよりにもよって、人気のない裏路地へと入っていってしまう。

 予想通り、ゴロツキどもに囲まれている少年。即座に助けに入ろうとするが、逆に少年により、ゴロツキどもは実にあっさりと叩きのめされてしまう。


「な、なんなの……」


イルザは、すっかりカラカラになった喉でその言葉を絞り出す。


「あれは……武術?」


 きっと武術なのだろう。だが、それは、あまりにイルザの知るものとは違いすぎた。

一切読めない挙動。決して素早いわけではない。そのはずなのに、気が付くとゴロツキどもは宙を舞い、地に伏してしまっていた。むしろ、理解できないという点で魔法と言われた方が、よほど納得いったと思う。

 ただ一つ分かっていること。それは何度あの少年に挑み戦っても、決して勝てぬということだけ。

 それに――。


「アタイに気付いてたよね?」


 イルザの恩恵(ギフト)は、【エージェント】。諜報活動に特化した能力だ。ダンジョンのトラップの解除や鍵開けなど、有用なスキルを多数覚える特級クラスのギフト。

 そのギフトの主な特性に、隠匿という気配消失の能力がある。なのに、あのとき少年はイルザをしっかりと見据えていた。まるでお前はかかってこないのかといわんばかりに。

 隠匿のスキルが正常に発動していた以上、イルザを捕えたのは、彼の第六感のようなものだったんだと思う。そして、それはイルザでは想像もつかないような修羅場をくぐってきた者のみ至れる高み。

 あの戦闘を目にしても彼を無能で力のない新米ハンターとみなすのは、死線を一度も経験したことのないルーキーくらいだ。

 おそらく、あの少年は、能力ブーストのアイテムなんて端から所持していまい。むしろ、逆だ。あれだけの神懸かった戦闘技術を持っていて、強度値が1など不自然すぎる。最初の中堅ハンターの平均である強度値12の方が、まだ信頼性がある。だが、少年を測りなおすと、強度値は1となる。

 つまり、少年は能力を自在に調節できるということ。これがアイテムか、それとも能力による効果なのかはわからないが、間違いなくあの少年のギフトは『無能』なんかじゃない。もっと常軌を逸したものだ。


「退屈な日常に紛れ込んだバケモノか」


 面白い! 非常に面白いことになってきた! あの少年を仲間に引き入れれば、あのシルケ樹海の最奥にあると言われる『太古の神殿』へと到達できるかもしれない。 

 太古の神殿の調査は、イルザ達遺跡発掘系(トレジャー)ハンターの悲願。Aクラスに上がるために必要な評価は既に満たしている。あとはAクラスの特殊条件だけだが、それもこの遺跡の探索の報告でクリアだ。これでAクラスの昇格が約束される。

 少年に力を隠す気が大してない以上、遅かれ早かれ周知の事実となる。そうなれば皆、イルザと同じ結論に到達する。

 ハンターは実力に比例し、富と栄光が得られる職業だ。能力が高ければ、ギフトが何であれ関係ない。ギフトのみで判断する愚かな奴は、アメリア出身のハンターくらい。直ぐに多方面からスカウトが殺到し、獲得が極めて難しくなる。

 だが、皆が彼を無能と思っている今なら、パーティーは組みやすいはず。


「だったら、まずは情報収集だね」


 引き入れるにも相手を知らなくては話にならない。ミアからでも聞き出すとしよう。


「うん、アタイは運がいい!」


 イルザは、期待と喜びに波打つ心を押さえつけながら、ギルドへ向けて走り出した。



 のぞき見していたハンターの視点でした。この話は実のところ必須です。ここでイルザが動いたことで、まわりまわって二章の事件の核心へと向かいます。お楽しみに!


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