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弁護士 太田啓子さん弁護士試験は24歳で合格した。
過ちを認める強さを持つ。弁護士試験は24歳で合格した。

そういった意見を伝えるのは大切ですね。先生はお仕事柄もちろん問題意識もおありですし、お子さんはまっすぐに受け止めておられますか?

もちろん年齢なりの受け止め方をしています。さらっと流さないで、問題意識を伝えること。その時はわからなくても、しばらくして「あの時お母さんが言ったことはこれかな?」と、何か引っかかるフックを植え付けておく。どれだけの効果があるか?は私もまだわからないのですが。時事的なニュースに関しても同様で、国会中継を子どもと一緒に観ます。観ているとおもしろいこともありますし、菅首相のモタモタした噛み合わない答弁と、アメリカの副大統領に就任したハリスさんのスピーチとの違いを比較してみたり。社会のメッセージに目を向けることはどんなテーマでも大切だと思います。

国会中継を親子で観るというのは今の時代、すごくいい教材になりますね。情けない答弁も含めて、どうなれば世の中がもっと良くなるのか?考える機会になりますし。ご家庭の教育方針はこうした意見交換の場を作ることでしょうか?

いろんなことを言葉にすることです。子ども自身に子育て相談をしているようなことも。そして、私も間違えてしまうことがある。言い過ぎてしまったり、違う言葉にすればよかったのに…という時は積極的に謝るようにしています。悪かったなと思った理由も言います。

弁護士業務でみかける、問題行動を起こした男の人はあまりにも謝らない。政治家もそうですね。何かある行動で過ちをおかしても全人格を否定されるわけではないのに、なかなか過ちを認めない。自分の過ちを認めるはむしろ強さですし、人間的な成熟だと思っているので。過ちを認める背中を積極的に見せようと(笑)。子どもにも過ちを認められる人になってほしい。

いろいろな意味で私自身が見習わなくては!です(笑)。離婚問題を多数手がけられる中で、世の中がどう変わるべきだとお感じですか?

統計からみても明らかに日本社会には性差別構造があるのですが、それをなんとかして変えなくては、という社会全体の動きが鈍いような気がします。

いろいろとモヤモヤしてる思いは特に女性にはあると思うのですが、そのモヤモヤした経験を必ずしも「性差別」という言葉で認識しているとは限らないですね。女性をエンパワーし、男性も当事者としてまきこんで性差別構造を変えていこうという具体的な動きが必要ですね。

私が多く扱っている離婚事件は、社会全体のマクロなレベルでの性差別構造が、ミクロなレベルで凝縮して表れる事件分野です。要は社会全体の男女間の経済格差が、家庭内では夫婦間の経済格差にスライドしています。日本は手続き上ある意味簡単に離婚できる国で、離婚の合意があって、未成年の子がいたら親権者さえ決めれば離婚できます。外国には、一定期間の別居とか養育費の取り決めが必要などある意味離婚手続きでのハードルがもっとあることが多いようです。結婚すると、家事育児介護が女性に偏って、それが女性の経済力の足かせになっていることが本当に多い。女性自身が当時はそれを望んでいたとしても、離婚するとなると、経済力のなさが自由な生き方の選択を阻害するという冷徹な事実があります。社会でひとり親家庭を支える仕組みも貧弱ですから、女性自身の経済力が弱いと、夫が浮気を繰り返すとか暴力をふるうとかで離婚したくても、なかなかできないというような相談は日常茶飯事です。

離婚問題で悩むことの根底には性差別構造があります。個人が自由に幸せを追求できるような社会のために、少しでも性差別を解消したい。現状、なかなかひとり親家庭への社会のありようは厳しく、たとえば離婚後の養育費支払いを確保することに関しても日本の法整備は遅れています。少しずつ前進はあるものの、なぜこんなことがなおざりにされていたのか?ということはまだたくさんあります。法整備のためには、当事者の代弁者としてこういう法整備に力を注げる議員、特に女性議員を国会に送り込むことも必要です。

最後に、これからの男の子の教育を考える同士へメッセージをお願いします。

男の子を育てる責任感をひしひしと感じています。これからの社会を握っているのは今の男の子の育て方。性差別をしない男性、性差別と積極的に闘う男性が社会に増えれば、きっと社会は良くなるからです。今の社会に何が足りないのかを考えて、そういう結論に至りました。

同時代に子どもを育てる同期の皆さんに親しみを込めて、それぞれの持ち場でがんばっていきましょうと伝えたい。男の子にこそ旧来の「男らしさ」に囚われず、男性であるという特権を行使して、性差別や性暴力に積極的に抗ってほしい。どんなテーマでもいえることですが、自分がマジョリティ側に立っている問題でも、その時どきに自分ができる方法で、積極的に動くことができるような大人になってほしいと願っています。

---ありがとうございました!
保育園児時代の我が息子は傘も差せず、まっすぐ歩くことが困難で、どうして男子ってこうなんだろう?と不思議なことばかり。今回、太田先生の鋭いご指摘になるほど!と参考になること多し。もう一度子育てをやり直せるとしたら国会中継を観て意見交換する、なんて経験を味わいたい。今からでも遅くはないでしょうか?(笑)この本の読書会もやってみたいです!これからも応援しています。

取材風景

2020年11月リモートによる取材・文/マザール あべみちこ

活動インフォメーション

太田 啓子 書籍紹介

これからの男の子たちへ :「男らしさ」から自由になるためのレッスン

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