新型コロナウイルスの感染拡大により京都府内で感染者の入院が困難な事態が生じたことを受け、西脇隆俊知事と府医師会の松井道宣会長、府立医科大付属病院の夜久均病院長は19日午前、府内で確保している新型コロナ用病床720床のうち、すぐに利用できるのは半数以下の330床にとどまることを明らかにした。
京都市上京区の府庁で開いた記者会見で発表した。330床の使用率は82.7%に上る。
また、330床のうち、高度重症病床が38床あり、うち20床が使用中であることも明らかにした。
松井会長は利用可能な病床数について「コロナが出始めたころは隔離するための病床だったが、今は治療のための病床という観点で見直した」と説明した。
西脇知事は「感染者の増加に伴い、受入病院では酸素吸入が必要な中等症の患者が大幅に増加し、割合が高まっている。介護が必要な高齢者の患者も増えている。マンパワーに限りがある」と厳しい認識を示した。
夜久病院長は 「年末年始から1月にかけて重症から中等症がかなり増えてきた。病床使用率八十数パーセントというのはかなり逼迫(ひっぱく)した数字だとご理解いただきたい。この時期に多い心筋梗塞や脳卒中の患者を受け入れることができなくなる。医療供給体制は限りがあり、人的資源はそれほど増えるものではない。新規患者数を減らすことは府民の協力なくして達成することはできない」と訴えた。
京都市内では、80代独居女性が昨年末に自宅で入院を6日間待っている間に重症化して亡くなったことが、京都新聞社の報道で1月16日に明らかになった。府によると、他にも自宅待機中の2人が死亡したという。
府内では、昨年12月から感染者が急増して医療体制がひっ迫し、軽症の場合は高齢者や基礎疾患がある場合でもすぐに入院できない状況がある。