しかしアンチフェミは「モノを言うフェミが気に入らない」という「お気持ち」で動いているので、署名活動を腐すために様々な屁理屈を繰り出した。
いくつか具体的に述べると、「お母さん食堂はダメなのに、Eテレで放送されている「おかあさんといっしょ」はいいのか」という批判もあった。
しかし、おかあさんといっしょのシリーズにはBSプレミアムで放送されている「おとうさんといっしょ」という番組もある。また、「おかあさんといっしょ」においても、先代までは「たいそうのおにいさん」と「身体表現のおねえさん」だった役割が、両者ともに「たいそうのおにいさん」と「たいそうのおねえさん」となり、番組最後の体操のコーナーも二人で出演するなど、意図してか意図せずかは分からないが、ジェンダーの平等化が進んでおり、批判には当たらない。
他にも「ステラおばさんのクッキー」や「おばあちゃんのぽたぽた焼」はいいのかと言われることがある。
これらも確かにジェンダーを想起させる名称ではある。ただしステラおばさんは実在の人物であり、ケンタッキーフライドチキンにおけるカーネルサンダースのようなキャラクターの位置にある。
おばあちゃんのぽたぽた焼は、確かにノスタルジーとジェンダーという点で、お母さん食堂に近い。署名活動の文面にも「お母さん食堂だけでは無い」と記してあるとおり、これも批判の範疇にはあるだろう。ただ「家でおばあちゃんが煎餅を焼く」ということ自体が多くの人にとっては、空想的なノスタルジーであり、惣菜ほど現実感がないので、ジェンダー規範をあまり感じないかもしれない。
署名活動を揶揄するために行われた「不二家のミルキーに、パパのミルク味も販売して欲しい」という署名活動に至っては、提案内容に下ネタを含む心底くだらない話でしか無く、彼らの「フェミを揶揄するためなら手段を選ばない」という情けなさが露呈した形だ。
他に「署名運動は企業活動への圧力だ」という批判もあった。彼らの中ではフェミが署名用紙を持って企業などに押しかけ、集団で圧力をかけるという図式が思い浮かんでいるようだ。
確かに、労働組合が企業に団体交渉を申し入れる場合は、労働組合法上その申し入れを受け入れなければならないという義務があるが、労働組合と関係のない、今回のお母さん食堂の件をはじめとする申し入れの大半には、そのような義務は無い。ましてや署名の内容を実施することを強要することなどできないのである。
申し入れをしてそれを企業が受け入れた例ばかりを思い浮かべて「申し入れをすれば、企業はその申し入れの内容を受け入れざるを得ない!これは圧力だ!」と勘違いしてしまう。彼らはそうした確証バイアスに取り憑かれている。
今回、お母さん食堂に関する署名を集めるために使われたサイトchange.orgには、他にも多くの署名活動が行われているが、そのうち企業などに提出されて、それが実際に企業を動かした署名はどれだけあるだろうか。
ほとんどの署名が要望通りに受け入れられていないのが実際であり、署名活動の実施と申し入れは、圧力とはほど遠いのが現実である。