さて、彼らの意図を理解した上で、正面からこの署名の意図を確認しておこう。
この署名活動が訴えるものはなんだったのか。
それは「お母さん」という言葉と、食を安易に結びつけることにより「家族の食事を作るのは母親」といった規範を無意識に育んでしまうことに対する問題提起であった。
「働いて収入を得るのはお父さん。家に居て家庭を守るのはお母さん」というイメージは、日本では高度経済成長期以来、強くイメージされている。
一見、単なる役割分担に感じられるが、実際には働いて収入を得る男性は、それによりキャリアと金銭的優位性を保つことができるが、家に居る女性は男性の得る収入を頼らずに生きていくことができない。家庭内には経済的格差が存在し、女性は隷属的立場に置かれがちである。
こうした問題は、フェミニズムにとってはイロハのイであり、訴えかけようとする内容自体はとても穏当なものである。