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転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます 作者:謙虚なサークル
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超完成!絶対無双ディガーディア!

「ロイド、反応石を取ってくれ」

「はいゼロフ兄さん。七番のでいいですよね?」

「あぁ、ついでに触媒液も頼む」

「そう言うと思ってもう作っておきました。どうぞ」


 ディアンは核の外装を作ってさっさといなくなってしまったので、俺とゼロフの二人で核内部の生成を行っていた。

 錬金術の生成作業は複雑かつ繊細さが要求されるので中々気が抜けない。

 しかも俺が依然作った時と違い、大型のものだからな。内包成分の維持が難しいのでなおさらだ。

 ゼロフが真剣な面持ちでフラスコをかき混ぜ、一つの瓶に混ぜ合わせていく。

 ぐつぐつと煮えたぎる液体から青い煙が上がる。

 そして煙が溶け合い、瓶の中には銀色に輝く液体が生まれた。


「ふぅ、完成だ」


 錬金術により生成したフラスコの中で揺らめく液体は正確には液体ではなく、流動する金属。

 人工賢者の石と呼ばれるこの金属は、人の意思によって自在に動く性質を持つ。

 これに魔力を介して命令を出すことでゴーレムの動力を得るのだ。


「お疲れ様です。ゼロフ兄さん」

「お前のおかげだ。助かったぞロイド。人工賢者の石は精製が難しくてな。特にこのゴーレムは特殊機体だ。相応のものを使う必要がある」


 フラスコ内の人工賢者の石は通常のものより数段純度が高い。

 細かな動作を要求されるため、腕や脚のみならず指先など各駆動部にも使われているので量も必要だ。

 それを失敗のたびに作り直していたのだ。

 外装を作り直していたディアンもだが、ゼロスも同じくらい苦労していたのである。


「しかし以前から思ってたがロイド、お前は妙に錬金術に詳しいな」

「え? そ、そうですか? 暇があれば図書館に入り浸っているので、錬金術の本も少し読んでいただけですよ」

「本の知識だけでこれ、か。確かに魔術と錬金術は密接な関係にある。魔術師であるロイドならある程度の知識は持っていて然るべきだが、ロイドの知識量は異常だ。そこらの錬金術師など目ではないぞ。ロイドと力を合わせれば錬金術の禁忌にして奥義、人体錬成すらも可能かもしれないな。ふむ、ぜひとも吾輩の助手にしたいところだが……アルベルトのお気に入りのようだし無理矢理にというわけにもいくまい。だがそのうち必ず……」


 ゼロスが俺を見てブツブツ言っている。

 何だろう、目が怖いんだが。


 ――そうして作業は順調に進み、十日が経った。

 ゴーレム核もついに完成だ。

 魔力を注ぎ込むと人工賢者の石が起動し、核の内部から駆動音が聞こえてくる。

 音は安定しており、これなら爆発の危険はなさそうだ。


「ふむ、時間はかかったがようやくここまでこじつけたか。ロディレント合金のおかげだな」

「硬度も丈夫さも申し分なし、加えて加工もしやすいときたもんだ。ロディレント合金様々だぜ」


 ……いつの間にかすごく不本意な名を付けられているのが気になるが、それはそれ。

 問題なく試運転が終わったゴーレム核は本体に取り付けられた。

 ついにゴーレムの完成だ。


「おおー、ついに完成したんですね」

「これはプロトタイプだ。これから調整を行い、細かなバージョンアップを行っていく予定だが、一旦は完成と言っていいだろう」


 太陽の真下、深紅のゴーレムが眩しく輝く。

 皆がそれを見上げ、見惚れていた。


「へへっ、やったなみんな! すげぇ出来栄えじゃねぇか! これならどんなデケェ魔物が襲ってきても返り討ちに出来るぜ!」

「あぁ、見事なものだ。国の守護者として、これほどのゴーレムはそうあるまい。我が国の技術力を見せつけ、他国との交渉も優位に運ぶはずだ」

「これぞ技術の結晶……錬金術の最高峰たる代物だろう。しかし素晴らしい出来栄えだろうか……まさに芸術品だ」


 どうやら三者三様の思惑があったようだ。

 道理で快くゴーレム製作に協力してくれたと思ったよ。

 ……まさか俺の魔術の特訓相手を想定してとしていたとは、とても言えないな。


「なぁアル兄、名前を付けようぜ!」

「ふむ、そうだな……ロイド、何がいい?」

「えっ!? 俺ですか?」


 いきなりアルベルトが話を振ってきた。


「お前が言い出しっぺだろう? それに一番の功労者だと僕は思っている」

「吾輩も異議はない。それに名前などどうでもいいしな」

「おいおいゼロ兄、名前は重要だろが! ……まぁロディ坊が名前を付けるのに異議はねぇ。まぁよ、思いつかねーなら俺が考えてもいいぜ? そうだな。キングロディとか、スーパーロイドとかどうよ?」


 いや、そりゃないでしょお兄さん。

 ディアンのセンスにドン引きだ。

 隣にいたレンが吹き出しそうになるのを必死で堪えている。

 流石にそれは勘弁なので、俺は必死に考える。


「そ、そういう事でしたら家名である『ディ』に守護者としてのガーディアンを足した、『ディガーディア』というのはどうでしょう?」

「ふむ、いいんじゃないか?」

「あぁ、キングロディも捨てがたいが、それもいい名だ!」

「名前など何でもいい……が、悪くはない」


 ほっ、よかった。全員の承諾が得られたようだ。


「よ、よかったねロイド……き、キングロディじゃなくて……ふふっ」

「あぁ、ぞっとしない名だよ」


 レンが吹き出しそうになっている。

 俺も名前なんて何でもいい派だが、流石にそれはゴメンである。


「よし、名付けも終わったし早速『ディガーディア』の試運転と行くか!」

「おおっ! 待ってました!」

「ふむ、早く吾輩の『ディガーディア』の雄姿を見せてもらいたいものだね」

「はいっ! 俺も楽しみです!」


 ついにあのゴーレムが動く時が来たか。

 はてさて、俺の実戦相手に使えるかどうか、お手並み拝見といくとするか。

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