熊本県上天草市は、市内の高齢者施設で働く職員を対象に、新型コロナウイルスのPCR検査が1人1回当たり千円の自己負担で受けられる取り組みを始める。18日から、対象施設を通じて申し込みを受け付ける。
新型コロナ感染が急拡大し、県内の高齢者施設でクラスター(感染者集団)が相次いでいる事態を受け、介護従事者らの安全確保と、施設での感染発生・拡大の未然防止につなげる目的。県によると、高齢者施設や障害者施設の職員を対象にしたPCR検査は熊本市が始めている。
上天草市高齢者ふれあい課によると、検査は「プール方式」と呼ばれる手法で実施する。5人分程度の検体を一度にまとめて検査し、陽性反応が出た場合は1検体ずつ個別に再検査。陽性者の情報は保健所に伝え、指示に従ってもらう。
特別養護老人ホームなど71事業所の約900人が対象。強制はせず任意とし、1人につき2回まで検査を受けられる。事業費532万円を14日付で専決処分した。検査は市立上天草総合病院が担う。
同課は「介護現場でクラスターが発生すれば、人手が足りずに地域の介護崩壊を招く恐れがある。従事者の精神的負担の軽減にもなれば」と話している。(松冨浩之)