外国籍を取得すると日本国籍を失うとした国籍法の規定は憲法に違反するとして、欧州在住者ら男女8人が、国に日本国籍の維持などを求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であり、森英明裁判長は原告の請求を退けた。

 原告側は控訴する方針。原告側によると、複数国籍を防止する規定の違憲性を争う訴訟は初めてだった。

 原告は仕事などのため日本からスイスやフランスなどに移住した30~80代。訴訟では規定について「国籍離脱の自由を保障する憲法に違反する」と主張したが、判決は「憲法は日本国籍からの離脱を国家が妨げることを禁止するものにすぎない」と指摘。また複数国籍は、国家間の摩擦や個人の権利義務で矛盾を生じさせる恐れがあるとし、複数国籍を防止する国籍法の理念も「合理的」と判断した。

 原告側は複数国籍を容認する国も増えているなどとも主張していたが、森裁判長は「複数国籍に寛容な国もあるが容認しない国もある。複数国籍の弊害を防止する必要性自体が低下しているとはいえない」と退けた。