「子宮頸がんワクチン」を巡る朝日新聞の報道姿勢とごまかし
- 2018/07/10
- 13:24
子宮頸がんワクチン問題は難しい問題だ。
人体、特に薬の副作用に関わる微妙な問題だからだ。
しかしながら、この問題に係る朝日新聞の報道姿勢については、大いに疑問、というか憤りに近いものを感ずるため、本稿で整理する。
【概要】
・子宮頸がんは、世界で毎年53万人が発見され、27万人が命を落とす病気である。そのためWHOなどの国際機関では子宮頸がんワクチンの接種を推進している。
・日本でも厚生労働省が推奨を始めたが、副作用による被害について朝日新聞を始めとするマスコミが積極的に報道した。
・信州大学の池田修一教授が子宮頸がんワクチンは危険だという論文を発表し、マスコミも大きく取り上げた。
・医師である村中璃子が池田論文に対する批判論文を発表したが、朝日新聞などのマスコミは村中氏に対する批判を展開。
・村中氏が科学雑誌ネイチャーのジョン・マドックス賞を受賞すると風向きが変わり始めた。
・朝日新聞も最初は村中氏の受賞を無視していたが、少し遅れて報道した。そして、最近では、子宮頸がんワクチンを推進すべしという意見を紙面に掲載するようになった。
・この間、朝日新聞による記事の訂正、誤報の認知、謝罪等は一切ない。
【第1ステップ 2013年3月~】
・2013年3月8日、朝日新聞は子宮頸がんワクチンによる副作用の記事を掲載した。署名記事で記者は斎藤智子。東京版と全国版に掲載。[資料 01][資料 02]
・朝日新聞は斎藤記者を中心に、その後も繰り返し報道を続けた。他のマスコミも追随して積極的に報道した。
・その後副作用を訴える女性がどんどん増加していった。
・厚生労働省は、子宮頸がんワクチンの接種推奨を中止。
【第2ステップ 2016年3月~】
・2016年3月、信州大学の池田修一教授がマウスを使った実験で、子宮頸がんワクチンが危険であることを指摘した。[資料 03]
・2016年7月号の雑誌wedgeで、村中氏が池田教授の研究を捏造と批判した。
・池田修一氏は、村中氏に対して名誉毀損の訴訟を起こした。
・他の医師からも池田教授に対する批判が多く寄せられたため、信州大学は外部評価委員を加えて、池田教授の研究について調査を行った。
・その調査結果が、2016年11月15日に信州大学によって発表された。捏造や不正はなかったが、実験の標本数が1つでしかないこと、プレゼンテーションの仕方に問題があることから、再調査を行い公表することを求めた。[資料 04]
・信州大学の検証結果については、厚生労働省もコメントを発表しており、「不正行為は認められなかった」が、「不適切な研究発表」で、「国民の皆様に対し、研究内容の一部について誤解を招く事態が生じた」とコメントした。[資料 05]
・ところが、翌日11月16日の朝日新聞は、「不正はなかった」という点だけを報道した。[資料 06]
【第3ステップ 2017年11月~】
・2017年11月30日、村中氏が、雑誌ネーチャーのジョン・マードック賞を受賞したが、産経新聞と北海道新聞のみが報道した。
・朝日新聞は2017年12月19日になってから小さく報道したが、名誉毀損の訴えを受けていることも併記した。[資料 07]
【第4ステップ 2018年3月~】
・2018年3月11日、朝日新聞は村中璃子氏の子宮頸がんワクチンに関する著作「10万個の子宮」の書評を掲載した。[資料 08]
・2018年6月16日、朝日新聞は「日本はワクチン後進国」であり、「HPVワクチンは・・・早く推奨を再開すべきです」という論評を掲載した。[資料 09]
(注)「HPVワクチン」とは、子宮頸がんワクチンのこと。
・いずれも外部の筆者によるものではあるが、朝日新聞は論調を変えつつあることは間違いないだろう。
【残る疑問】
・しかしながら、疑問は残る。
・池田教授の発表が不適切で、村中氏の主張が正しかったとして、WHOが子宮頸がんワクチンを推奨するのが正しいとして、でも、多数の副作用が発生したのはなぜだろうか。
・この点については複数の医師がネット上でコメントしている。
・今回副作用として報告された症状の多くは、思春期の女性に多く発生するものである。
・実際子宮頸がんワクチンを接種していない少女でも多数報告されている。ある対照調査では、子宮頸がんワクチンを接種しなかったグループの方が発症率が高かったケースも報告されている。
・「ニセ薬効果」は有名であるが、その逆に、薬を飲んだ後に「実は副作用があるんだ」と言われると本当に副作用と同じような自覚症状が発生することがあり、「ノボセ効果」と呼ばれている。
(参考)
「救えるはずの患者を救えない」 子宮頸がんワクチン副作用「問題」はなぜ起きた?
https://www.buzzfeed.com/jp/satoruishido/hpv?utm_term=.xkp3PlVka#.byl7W5RB2
【まとめ】
・村中氏の主張が正しく、朝日新聞の積極的な報道による「ノボセ効果」によって、副作用被害が拡大したとするならば、朝日新聞は加害者ではないのか。
・弱者の味方を装いながら、実は最大の加害者ではなかったのか。
・信州大学の検証結果の報道[資料 06]は明らかに偏向している。不正はなかったものの、標本数が1であるのは明らかに不十分だし、発表が不適切であったことは信州大学も厚生労働省も認めており、再実験とその結果を求めているにもかかわらず、朝日新聞は不正がなかったことだけを報じた。これは捏造レベルの偏向記事である。
・そして、今度は外部の筆者を使って子宮頸がんワクチンの推進へと舵を切ろうとしているように見える。
・記事の訂正、誤報の認知、謝罪等の総括は一切無し、の上である。
・こうした報道姿勢は、無責任であり、憤りに近いものを感じる。
・朝日新聞及び斎藤智子記者よ、あなた方に「良心」というものがあるならば、何らかの総括をすべきではないだろうか。
・子宮頸がんワクチンの問題に関する報道姿勢には、慰安婦問題に通じるものを感じる。
【資料 01】
【資料 02】
【資料 03】
【資料 04】
【資料 05】
【資料 06】
【資料 07】
【資料 08】
【資料09】
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