- ファイザーのブーラCEOは、COVID-19のワクチンがワクチン開発技術を大きく前進させたと延べ、その技術をインフルエンザなど他のウイルス性疾患に応用すべきだとした。
- 「我々は大きな被害をもたらす別の病気に対しても、医学的解決策を提供できるだろう」と同CEOは述べた。
- ファイザーとバイオンテックが開発したワクチンは、免疫反応をmRNAで起こす新しい手法を使っている。モデルナのワクチンも同様だ。
「COVID-19の予防接種はワクチン科学を何年も進歩させた。そしてその技術を人類のために使うときがきたのだ」と、ファイザー(Pfizer)のアルバート・ブーラ(Albert Bourla)CEOは1月12日、JPモルガンが主催した会合で語った。
「我々は長年、科学的な知識、技術、ノウハウを蓄積してきた。そして通常なら開発まで何年もかかるような基盤を構築した」と彼は述べた。
ファイザーはウイルスに対して95%の有効性があるCOVID-19ワクチンを、バイオンテック(BioNTech)と共同開発した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とギムレット(Gimlet)のポッドキャストによると、バイオンテックの共同創業者、ウグル・シャヒン(Ugur Sahin)は、2020年1月にわずか数時間でこのワクチンを設計したという。このワクチンは、タンパク質の合成を指示する遺伝物質であるmRNA(メッセンジャーRNA)を利用してる。これまでにmRNAを使用したワクチンでアメリカ食品医薬品局(FDA)に承認されたものはなかった。
ファイザーのワクチンは、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の遺伝情報を持つmRNAを少量、注入することで作用する。スパイクタンパク質は、ウイルスが細胞に取り付いて侵入するのを助けるもので、抗体の標的となるものだ。そこで、ワクチンによって体内でスパイクタンパク質の合成させ、免疫反応を引き起こす。
ワクチンを作るためバイオンテックと共同で開発したあらゆるノウハウを使って、「我々は、大きな被害をもたらす別の病気にも、医学的解決策を提供できるようになる」とブーラは述べた。
ブーラは、ファイザーが年内に、この技術で別の新しいワクチンを開発するだろうと語った。他のウイルス性疾患とともにインフルエンザも新しいワクチンのターゲットの一つだと述べた。
「mRNAワクチンは数カ月ではなく数週間で開発できるため、インフルエンザ・ワクチン市場をすっかり変える可能性がある」とブーラは述べた。
「インフルエンザ・ワクチンは毎年新しい変異種に合わせる必要があるが、最新のウイルスに対応して効果的な結果をもたらすためにこの技術は理想的だ」
COVID-19に対して同様の有効性があるモデルナ(Moderna)のワクチンも、mRNAを利用して免疫反応を引き起こす。双方のワクチンは2020年に使用許可が下り、すでに数百万人が接種を受けているが広く行き渡っているとは言い難い状況だ。今回の会合で、モデルナは2021年に6億回から10億回分のワクチンを、ファイザーは20億回分のワクチンを生産すると述べた。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)