安倍総理辞任と拉致問題-東京連続集会111
◆バイデン候補はオバマにも見捨てられて、終わっていた男
島田洋一(救う会副会長、福井県立大学教授)
ジョー・バイデンという人は認知症の進行が心配されていると言いましたが、認知症はなくても、彼は立派な演説はするけれども、決断ができない男だとの評価が確立しています。
有名なあるジャーナリストの言葉があるんですが、「バイデンという男はジュージューと焼く音は聞こえるがステーキが出てこない」(笑)。非常に立派な演説をするが、それを政策として実際に形にして通す力がない。
決断ができない典型例は、彼はオバマの副大統領でしたが、これは北朝鮮問題を考える時にも重要ポイントになるんですが、オバマ政権の外交における最大の功績は、これは共和党側も認めていますが、オサマ・ビンラディンの殺害作戦を成功させたことです。
殺害は2011年5月だったと思いますが、2001年の、あの「アル・カイダ」の9・11同時多発テロをしかけたトップがビンラディンです。パキスタンのある所に隠れていたんですが、CIAが「ある施設内にビンラディンがいる」という情報を取ってきて、そこを特殊部隊が襲って殺害するという作戦でした。
これはヒラリー・クリントン国務長官も最終的に「やりましょう」と賛成して、オバマが、「情報がこれだけそろっていれば空振りはないだろう」ということで、決断を下した。最後までぐずぐず反対したのがジョー・バイデン副大統領でした。
バイデンのパターンですが、「もっと確実な情報が集まるまで待つべきだ。もし失敗した場合の政治的コストが大きいのでもう少し様子を見よう」と。繰り返しそういうことを言うのです。
「失敗」というのは、ビンラディンを殺害、あるいは捕えそこなった。一方、特殊部隊の方に死者が出たというケースです。そうなったら色々野党から攻撃される。だからやめとこうと。バイデンはずっとそういう意見でした。
だから、ビンラディン殺害というオバマ政権最大の成果というのは、オバマがバイデンのアドバイスを聞かなかったから実現したのです。オバマ政権最大の功績にバイデンは関わっていないだけでなく、彼は反対した。
それ以降オバマは、バイデンを重要な仕事に一切つかせませんでした。「この男は使えない」と。結局オバマとしては、「バイデンは最後まで慎重論を唱えていたと言えるように保険をかけていた」ような男はリーダーにはふさわしくないと、オバマは考えていました。そこまで露骨なことは言っていませんが、オバマに聞けば絶対そう答えると思います。
そういうふうにオバマにも見捨てられて、バイデンというのは終わっていた男なんです。オバマの任期が終わって、その次の選挙が2016年です。バイデンも立候補したかったのですが、支持が集まらず結局立候補できなかった。そしてヒラリーが民主党の候補になってトランプに敗れたわけです。
では、「終わっていた男」がなぜ今回民主党の候補になったのかですが、これは端的に、極左のバーニー・サンダースが非常に勢いがあって、民主党の中間派の候補の中で票が割れて、このままだとサンダースが民主党の候補者になってしまう。そうなるとトランプにまず勝てないだろう、と。
そして仮に勝ったとしても、極左が大統領になると、民主党も結構色々な企業から献金を貰っていますので、献金先から怒られるということもあって、ともかく誰か中間派の人物に中間派の表を集中させようという状況があった。
そういう時に、たまたまサウス・カロライナ州の予備選でバイデンが1位になった。だからここはバイデンで行くしかないということで、中間派の他の候補が一斉に降りてバイデンが残ることになった。
つまりバイデンというのは大統領にふさわしい、素晴らしいと思っている人がどのくらいいるのか、バイデン自身も思っていないと思います。そういう人間が大統領になっていいのかということです。