菅政権の「脱ガソリン車」政策の黒幕 「テスラ」取締役を兼任していた経産省参与
「モラルハザードを引き起こす」
昨年12月、政府は2030年代半ばまでに新車販売における電動車の割合を100%にする方針を決定。急速に進められる“クリーン政策”の背景で、巨額の「EV(電気自動車)マネー」を得る“政商”がいる。経産省の水野弘道参与である。水野氏は本誌(「週刊新潮」)が取材を申し込んだ1月18日、その職を辞している。
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水野氏が経産省の参与に就任したのは、昨年5月。菅政権が「脱ガソリン車」に舵を切ったのは「水野氏の影響が大きかった」と、さる経済ジャーナリストは言う。思い返せば、菅総理は、総裁選の際には「脱炭素」にはほとんど触れていなかった。
「10月、臨時国会が始まる前後から急に目玉政策とするようになったのです。何があったのか。実は9月の末、官邸で水野氏と面談し、その後に、政府内の動きが加速しているのです」
問題は、水野氏がEV大手「テスラ」社の社外取締役を兼務しながら、参与を務めていた点である。もともと水野氏は、昨年まで5年間、日本の年金150兆円を運用するGPIFの最高投資責任者を務めていた。
「3月の退任後、翌月にはテスラ社の社外取締役と監査委員に就任。アメリカの証券取引委員会のHPによれば、その際、計6778株のストックオプションを得ているのです」(株アナリスト)
ストックオプションとは、会社の役職者や従業員が報酬として、自社の株を時価ではなく、ある特定の価格で入手できる権利。水野氏は1株761ドルで購入することができる取り決めを結んでいる。テスラ社の株価は今年1月8日に過去最高の880ドルまで上がっているから、仮に売却していれば水野氏は約8400万円もの利益を手にしていたことになる。これとは別に、昨年6月にも1万6668株のストックオプションを付与されてもいる。
つまり、EVの普及によってテスラ株が高騰すれば、水野氏は資産が増える立場にあるというわけだ。そんな人物が経産省の参与としてEV促進に加担すれば、利益誘導の疑いがあると言われても仕方がないだろう。シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト、田代秀敏氏はこう指摘する。
「経産省参与がテスラ社の取締役を兼任することは、モラルハザードを引き起こすリスクがあります。経済学を学んだものなら誰でもそれを懸念するはずですが」
本誌の取材に昨年「経産省参与として意見を述べる場合には、毎回テスラの社外取締役であることを念のため確認した後、その立場を離れて発言しております」と回答していた水野氏。今回、改めて取材を申し込んだ1月18日に、経産省参与を辞任した。表向きは国連特使との兼務が理由だが……。1月21日発売の週刊新潮では、急速に進むEV化のウラで動く利権について報じる。