水稲の倒伏に関する研究〔英文〕-1- Studies on the Lodging of Rice Plant : I) Preliminary studies on the impeded translocation in lodged stems
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抄録
倒伏による通導障害と株起しの効果を確める目的でP^<32>の移行蓄積を調べた. 1/5万ポットに土耕栽培した水稲農林29号を乳熟期に, 挫折・湾曲(軽度・強度)させ, 挫折1日後に株起しを行なつた区を作つた. 各区とも黒い紙筒を被せた遮光茎を設け, 倒伏時の遮光の影響も調べた. アイソト-プP^<32>投入後3日目に採収した試料は第1図に示すごとく, 標準区≒軽度の湾曲区>強度の湾曲区≒挫折後の株起し区>挫折区の順にP^<32>含量が少くなつており, 遮光した場合は無遮光の場合より少く, 特に炭酸同化の場である葉身に少い傾向が認められた. 通導障害を起す限界湾曲度は, 日射の制限を伴わない場合には大体45゜前後であろうと想像された. 完熟期に採収した試料については, 第2表に示すごとく稲体の器官によつて若干異るが, 挫折区は標準区の20〜30%程度しかP^<32>の移行が見られず, 株起し区は挫折区の約3倍のP^<32>が移行していた. 以上の結果から, 強度の湾曲および挫折倒伏をした場合は通導障害の上に遮光の悪影響が加わつて養水分の吸収移動をかなり妨げており, 乳熟期頃では日射の透過をできるだけ制限しないように株起しを行うことが, 倒伏による被害を軽減する有効な手段になるものと考えられた.
収録刊行物
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- 日本作物学会紀事
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日本作物学会紀事 30(2), ????, 1962-01
日本作物学会