68話: プロローグ~あけおめ~
あけましておめでとうございます。
お久しぶりです。ちゃんと作者は生存しております笑
「「あけましておめでとう!」」
1月1日、元日。朝。
俺たちは駅前の広場に集まっていた。
俺たちというのはもちろん、俺、チーナ、総司、秋本、宮本だ。
今年はせっかくなの……あと細井だ。忘れてないぞ。
今年はせっかくなので、皆で初詣に行こうという事になり、神社に向かう前に一旦近くのこの駅に集まったのだ。
せいぜい1週間ぶりだと言うのに、なんだか久しぶりに会う気がする。
普段より人が多い駅のロータリーを出発し、神社に向かって歩き始める俺たち。
人混みではぐれてしまうのを恐れたのか、チーナが俺のコートの袖を軽く握ってきた。
「いやぁみんな……久しぶりだねぇ。元気だったぁ?」
歩きながら、皆に話を振ったのは黒髪ショートの穏やか女子、秋本由紀。
普段から若干おっとりした話し方ではあるが、今日は一段とふにゃふにゃしている。
「俺は元気だったけど……秋本は随分眠そうだな」
「ジョニーズの年越しライブでも見て夜更かししたか?」
「ちがうよぉ。プロレス」
「年明けても筋肉バカかよ」
駅からは、神社のある方角へ向かう流れと帰ってくる流れが大まかにできていた。
その流れに乗りつつ、俺たちはしばらく近況報告に花を咲かせる。
年末をどう過ごしたか。何を食べたか。テレビは何を見たか。
などなど。
雑談しながら歩いていると、周りにはちらほらと着物を着ている人が見受けられた。
多分、俺たちと同じ参拝客なのだろう。
「ねえ見て着物だっ! 可愛い!」
それを見て元気いっぱいにはしゃいでいるのは、ロングヘアー&身長約139センチという脅威のロリっ子JK宮本明里。
腕をぱたぱたさせて喜ぶ姿は微笑ましさ満点。
色の濃い我々メンバーの中でも、屈指のユニークさを誇る人物である。
「宮本が着たら七五三になっちまうな」
「え……慎二くん嘘だよね……。さすがに7歳以上には見えるよね……」
「いや冗談だから、真に受けんなって」
その小動物をからかっているのは、俺たちのムードメーカー細井……慎二って名前だったんだぁ……。初めて知った。
そして、先程からはぐれないよう俺のコートの袖を握っているのは、クリスティーナ・クルニコワ。
ロシア出身、アメリカ国籍、日本在住というワールドワイド美少女。
そしてつい先日、俺の彼女になった大切な人だ。
『私も綺麗なキモノ、着たかったな』
そう言って袖ごと俺の腕を揺すってくるチーナ。
まあ日本の伝統衣装だし、見た目も綺麗。
着てみたい気持ちも分からんではない。
だが……
『慣れない上にあんな歩きにくい格好で、人混み歩かせられるかよ。その……また機会があったら、着て見せてくれ』
『しょうがないなぁ。似合ってなくても褒めてね』
『大丈夫。お前に似合わない服なんて無いから』
相変わらず、小首を傾げて見つめてくる姿は破壊力抜群。
現役アイドル級の姉と生活していた俺でも見惚れてしまう、世界一可愛い俺の彼女だ。
まあ付き合い始めたからと言って、今までと劇的に関係が変わった訳ではないが……。
ちなみに、さっきから黙っている6人目の男は、秋本の彼氏疑惑がある俺の悪友、清水総司。
容姿 SSS
体格 SS
性格 Z
ステータスを"煽り"に極振りしてしまった悪魔大元帥である。
そんな総司がなぜ秋本とくっついたのかは本気で謎だが、特に違和感を感じないのは不思議だ。
そんな6人パーティーでわいわいしながら歩いていると、目的の神社に辿りついた。
参拝の列に並んでいる間は、細井が提供した話題に花を咲かせる。
その話題とは、うちの生徒会長についての話だった。
「そういやうちの生徒会長、冬休み終わってから急に転校したらしいぞ」
「あ、私も聞いたよ! あのメガネの生徒会長、服装の校則とかいっぱい変えてくれて好きだったのに〜」
宮本の言う通り、そのメガネ生徒会長は生徒の要望を結構通してくれていた。
俺とチーナがブレスレットを付けて登校出来ているのも、その生徒会長の功績だったりする。
そう言った点で、生徒の間ではかなり人気があった。
「それじゃ、別の奴が会長になるのか?」
「そうらしいぞ。噂によれば、次の会長選挙までは今までの副会長が代わるかもって話だぜ」
「メガネ会長に選挙で大負けしたやつか。不安だなぁ」
そんなこんな話していたら、いつの間にかお賽銭箱の前に辿り着いていた。
『これ、どうしたらいいの?』
『5円玉をあの箱に投げ入れてから、手を合わせて神様にお願い事をするんだ』
日本に来て初めての初詣。俺はチーナに作法を教えながら自分も神様にお祈りをする。
と言っても神頼みはあまり好きでは無いので、無難に済ませて人が少ない所まで移動する。
「ねぇねぇ、皆はどんなお願いをしたの?」
そこで、秋本が皆の願いを聞いてきた。
女子はこの手の話が本当に好きだな。
男だけなら絶対聞かないぞ。
「そういうお前はどうなんだ?」
「私は、総司君が変なイタズラしませんようにって」
それに対して言葉を発した総司に、秋本は照れもせず、にこにこと答える。
総司のアレをイタズラで済ますのもどうかと思うが、秋本はこいつのどこが好きなんだろうか?
そもそも……
「2人とも、付き合ってるならそう言ってくれればいいのに」
俺は、思わず口に出してそう尋ねてしまった。
いやまぁ、別に隠したいってんならそれでも構わないが、今の素振りを見てるとその気も無さそうだし。
だったらハッキリ言ってくれた方がこっちもやりやすい。
だがこの問いに対する秋本の返答は、意外なものだった。
「あれ? もう言ってるよ?」
「なぬ?」
「俺もちゃんと聞いたぞコックス」
『私も』
「私もー」
「まじか!いつの間に!?」
少なくとも俺のいるタイミングじゃ無いはずだ。
一体いつ……
「いや〜、あの時はびっくりしたよねぇ。私たちの話した直後に詩織ちゃんのアイドルデビューのニュースがながれて、すっかり持ってかれちゃったよ〜」
「俺がうたた寝してたときじゃねぇか!」
総司の家で作戦会議を終えたタイミングだ。
あの時そんな大事な話してたのかよ。起こせよ!
「まぁつまり、俺たちはお前の言う通り、ちゃんと報告してたって訳だ。ってことは……」
そこで総司が、新年早々縁起の悪い笑みを浮かべた。
やっべ
「自分たちの事も、黙ってる訳ねぇよな?」
「別に隠す気は無かったけども!」
そう言われると話したくも無くなるってもんだ。
本当に、年が変わっても相変わらずな奴らだよなぁ。
俺は一応、チーナにアイコンタクトで許可を取ってから、俺たちの今の関係を報告をする事にした。
「ええっと、俺たち……付き合い始めました」
あ、これ意外と恥ずかしいな。
俺が軽く赤面する中、隣に立つチーナは堂々としている。
それに対する反応は……
「まぁ、やっとかって感じだねぇ」
「ってか、付き合う前からあんなんだったし、今更って感じはあるよなぁ」
あっけらかんとしていた。
なんだか、変に気を張ってしまった事が恥ずかしくなる。
だが1人だけ、明らかに妙な反応を示す人物がいた。
それにいち早く気づいたのは細井。
「おーい宮本。どこ行くんだ? 参拝はさっきやっただろ?」
「お賽銭……取り返してくる!」
「宮本の名誉のために黙ってたが、お前が投げた500円玉、賽銭箱飛び越えてたぞ」
「総司くんのバカああぁ!」
総司達のミヤ虐を見つめながら、俺は心の中で、
宮本……ごめん
っと、謝っていた。
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