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日本語が話せないロシア人美少女転入生が頼れるのは、多言語マスターの俺1人 作者:アサヒ

第四章

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61話: 緊急家族会議(下世話)

チーナとのデート日をイブに変更しました。



 翌日夜の、オリバー宅。

 養子になって新しく用意された俺の部屋。


 週に一度くらいしか利用しないため生活感のないこの部屋に、エマとリリーを含め3人が集まっていた。


「それじゃ、伊織のクリスマスデート作戦会議を始めたいと思います!」

Ja()!」

「お、おう……」


 その目的はというと、クリスマスイブのチーナとのデートに向けて、エマとリリーが色々指南してくれると言って来たのだ。


「妙にテンション高いな、リリー」

「私も、2人の事応援するって決めたからね。さて伊織くん、とりあえず君は今どんなプランを考えていますか?」


 演技がかった態度のリリーが、現時点での俺のデートプランを訪ねてきた。


「やっぱり、それ聞くのか」

「細かい事が気になってしまうのが、僕の悪い癖」


 withティーカップ。


 とは言え、2人の女性に相談に乗ってもらえるというのは、俺にとって願ってもない事だ。

 恋愛初心者、デート経験なし。

 少なからず不安はあるので、ここは甘えておくのがいいのかもしれない。


 ちなみに、いつもの女子メンバーは当てにしていない。

 秋本はスポーツジムにしろとか言いそうだし、宮本は……トイ〇らス感が。


「とりあえず考えてるプラン言ってみなさい。大丈夫、笑ったりしないから」

「笑うフラグど~も」


 エマにも急かされ、俺は考えていた予定を口にする。


「24日は土曜日で全日デートできるから、とりあえず日中は水族館、夜は……どこかイルミネーションでも見に行こうかなと」

「「まとも……だと……」」

「笑われるよりショックな反応やめろ」


 ベッドに並んで腰かける姉妹は、俺のプランを聞いて謎の衝撃を受けていた。


 そんなに俺の感性を疑っていたのだろうか。失礼な。


「兄さんの事だから、てっきり体動かす系だと思ったよ」


 そう言いつつ、クマのぬいぐるみをパフパフするリリー。

 そして気を取り直したエマが、俺に理由を聞いてきた。


「ところで、なんで水族館なの?」

「ロシアって、水族館少ないだろ?あの広さで二桁もないんじゃなかったっけな。だからチーナも行ったこと無いだろうし、楽しめるんじゃないかと」

「なるほどね、でも人多いんじゃない?」

「人が多いのはどこも同じだろ。一応電車で2時間くらいの田舎の水族館にしようと思ってるから、少しはマシなんじゃないか。人数制限あって、そのチケットも取ってるし」

「準備がいい!デートに誘うのは遅かったのに!」

「余計なこと言うな」


 そうですよ!誘う前からチケット取ってましたよ!

 断られたら総司と秋本に押し付けようとしてましたよ!


「なによ〜。私と遊ぶ時は兄さんな〜んにも決めて来ないのに」

「大抵エマと3人だろ。それに、いつもお前が行き先決めてくるじゃねえか」


 逆にいうと、今までリリーやエマが行き先を決めてくれたおかげで、デートスポットも考えやすかったのかもしれない。

 そこは感謝だな。


「て言うか、他にも服装とかアドバイスないのかよ。自分で言うのもあれだが、ファッションには疎いぞ」

「兄さんはシンプルなの着てれば大抵似合うから、大丈夫だよ。別に特別飾らなくても」

「なるほど……」


 つまりいつも通りでいいと、なるほど。

 なら、あと聞いとくことは……


「……あれ、会議終わってよくね?」

「な〜に言ってるの伊織。あるでしょ?1番大事な事が」

「そうだよ兄さん。忘れてるとは言わせないよ」


 あとは本番勝負だなと、話し合いを終えようとした俺を、二人がニヤニヤしながら止めてきた。

 一体何を話しておこうというのか。


 しかしてそれは、確かに非常に大切な内容だった。



「「チーナちゃん(先輩)にどう告白するの?」」

「うっ……」


 それを聞いて、俺は緊張で思わず固まってしまう。


「まさか兄さん、この後に及んで告白しないとか言わないよね?」

「さすがに、伊織もチーナちゃんの気持ちに気づいてるんでしょ?」

「ていうか、イルミネーションを予定に入れてる時点でそういうつもりだったんでしょ?」


 矢継ぎ早に捲し立ててくるコックス姉妹。


 ヒートアップしたらうるさいんだよな、こいつら。

 だが俺も漢。今回のデートにOKをもらった時点で、覚悟はできている。


「それはまあ、もちろん告白はするつもりだ。イルミネーションの前で。でも……」

「「でも?」」


 そう、俺は今回のデートでチーナに告白するつもりだ。

 勝算が高いとも思っている。

 だが、しかし……


「告白文句までお前らに相談するのは普通に嫌なんだが?」


 その件はさすがに、ほっといてもらえませんかね……。


 だがリリーさんは、そんなことは許してくれなかった。


「甘い!甘いよ兄さん!」

「え、何が?」

「兄さんはいざという時必ず中途半端に失敗するから、練習しとかないと噛んだりするよ!初めてのチークキスをミスったみたいに!」

「なんで知ってんの!?」


 何故かリリーが無駄に楽しんでいる気はするが、確かに俺は本番に弱いかもしれない。

 告白の文句だって、本番のノリで行こうと考えていたのだが、それも間違っているのかもしれない。

 そう考えると……


「まあ、一理ある……のか?」

「そうだよ兄さん!だから、私をチーナ先輩と思って練習しよう!」

「だが断る」

「恥ずかしいなら、チーナをリリーに入れ替えてもいいんだよ?」



 結局、なんだかんだ告白劇場を披露することになったのは後の黒歴史。


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