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【照明灯】“最後の大スター”

社会 | 神奈川新聞 | 2014年11月20日(木) 09:28

1960年代から70年代にかけて、学生の反乱が全国を覆った。映画館のオールナイト興行は、彼らの「連帯」の場だった。お目当ては、任きょう映画。健さん扮(ふん)する渡世人・花田秀次郎が、最後に悪辣(あくらつ)な親分をたたき斬る。館内は「異議なし!」の大歓声に包まれた▼やがて任侠映画が衰退し、健さんは含羞(がんしゅう)と哀歓、誠実さを併せ持つ少々不器用な市民的ヒーローに変身する。その象徴が山田洋次監督の「幸福の黄色いハンカチ」(77年)だった▼高倉健さんが亡くなった。着流しのアウトロー、軍人、刑事、鉄道員…。立っているだけで絵になった。背中で語れる数少ない俳優だった。まさに“最後の大スター”が逝った▼「食べるために入った」俳優養成所では「映画に向いてない」「ほかの人の邪魔になるから見学していろ」と言われた。苦境を救ったのは母の「何事も辛抱ばい」の言葉だった▼健さんに「あなたに褒められたくて」と題するエッセーがある。「あなた」とは誰だろうか。最後に、こうある。「お母さん。僕はあなたに褒められたくて、ただ、それだけで、あなたがいやがっていた背中に刺青(ホリモノ)を描(い)れて(中略)、さいはての『網走番外地』(中略)、雪の『八甲田山』(中略)まで、三十数年間駆け続けてこれました」

【神奈川新聞】

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