寿柳聡
新型コロナウイルスの感染拡大をうけた緊急事態宣言の対象地域に隣県の福岡が追加された。年末年始の帰省者の影響もあって大分県内も感染者数は増加。病床利用率などの指標も高い水準で推移している。県は宣言地域への不要不急の往来を控えるよう呼びかけているが、福岡とは通勤・通学を含めて日常的な縁が深く、厳しい状況は続く。
緊急事態宣言地域の拡大について、九州地方知事会の会長も務める広瀬勝貞知事は13日、「九州・山口にはこれに準ずる厳しい状況の県があり、事態は深刻。知事会としても一致結束して対応していきたい」との談話を発表。大分市の佐藤樹一郎市長は、「産業都市である大分は対象地域との人の行き来が多く、市内の感染拡大を防ぐ上でも大変意味がある」とするコメントを出した。
県内の感染状況を示す指標(12日現在)をみると、病床利用率が26・8%で、国が定める「ステージ3」(「医療提供体制への支障を避ける対応が必要」とされる水準)の基準に達している。直近1週間の人口10万人あたりの感染者数も「3」にあたる8・55人。入院が長引きやすい高齢者の感染が続いていることもあり、このまま感染者が増えれば、病床利用率は「ステージ4」(「爆発的に感染が拡大し深刻な医療提供体制の機能不全を避ける対応が必要」とされる水準)の基準である「50%以上」に達しかねない状況だ。
県の担当者が数値を高止まりさせている原因の一つと見るのが帰省絡みの感染だ。県の発表によると1月1~13日に発表された感染者180人の約3割にあたる53人を帰省者やその家族と知人が占めている。
13日は県内で新たに17人の感染が発表されたが、うち7人は、帰省者を迎えた中津市の家族5人や、帰省先から戻った人の知人や家族だった。県感染症対策課の担当者は「県境をまたぐ移動に気を付けるよう呼びかけても、規制まではできない」としたうえで、成人の日を含む9~11日の3連休での人の動きにも懸念を示した。「帰省者や家族の体調に変化があった場合に早めに受診してもらい、そこからの感染拡大を防いでいく必要がある」
13日はほかに国立病院機構大分医療センター(大分市)で、これまで感染者が出ていたのとは別の病棟で5人の感染が判明。同センターの感染者は32人になった。感染経路が分からないのは大分市の70代の無職男性1人。県内の累計感染者は869人になった。(寿柳聡)
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