厚労省、外国人感染者を捕捉可能に システム連携
厚生労働省は開発した新型コロナウイルス感染者管理システムで、入国した外国人感染者を捕捉する仕組みを新たに追加する。同システムに、パスポート番号を入力する機能を追加する改修を行い、1月下旬から利用を開始する。
13日に開催した新型コロナ対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」のワーキンググループで提案し了承された。
現状、医療機関などで新型コロナと診断されると、「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」に発生届の情報を入力している。一方、検疫時のデータとHER-SYSのデータの共通IDがない上に、誤記や表記の揺れなどがあり両データの突き合わせが難しかった。
今回の改修で、入国後28日以内に陽性が判明した外国人について、HER-SYSにパスポート番号を入力するようにする。
政府は今後の訪日外国人の段階的増加を見込み、入国者健康管理システムを新たに開発する予定だ。今回のHER-SYS改修で、パスポート番号を共通IDとして、この入国者健康管理システムと現行の検疫システムを、HER-SYSと連携し、陽性となった訪日外国人データの突き合わせができるようになる。
また、同日のワーキンググループでは、HER-SYSへの感染者入力データを使った、新規陽性者数の推移などの具体的なデータ活用スケジュールも示された。現状、厚労省が毎日更新して公開している従来の自治体公表データの集計結果を、HER-SYSデータの集計結果に切り替える。15日に自治体向けの説明会を開催し、2月から先行自治体で切り替えを進め、4月には全面切り替えとする。
HER-SYSのデータ活用への切り替えについては、構成員からは、「足元の感染状況によっては全面切り替えに課題があるかもしれない」「全面切り替えには自治体とのコミュニケーションが欠かせない」などの意見があったという。
(日経クロステック/日経コンピュータ 長倉克枝)
[日経クロステック 2021年1月14日掲載]
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