枝野幸男(えだの・ゆきお) 立憲民主党代表
1964年、栃木県宇都宮市生まれ。東北大学卒。弁護士を経て、1993年日本新党の公募に合格、同年の衆院選に立候補して初当選。新党さきがけ、民主党、民進党を経て、2017年、立憲民主党を結党し代表に。民主党政権では、内閣官房長官(菅直人内閣)、経産相(野田佳彦内閣)などを歴任。埼玉5区。当選9回。
未知の変化が起きる時代を切り拓く政治を。「#令和デモクラシー」に込めた思い。
――選挙前には衆参同日選が取りざたされ、「解散風」が吹いていました。不安はなかったですか。
枝野 むしろ、ありがたかった。1人区の一本化はできるとは思っていましたが、解散風はそれを後押ししてくれました。また、解散があった場合に備え、衆議院の情報共有も進みました。安倍さんが本気だったかは分かりませんが、私自身は風をものすごくあおりました。
――菅義偉官房長官が5月17日の会見で、野党の内閣不信任案決議案提出は衆院解散の大義になり得ると発言しました。不信任案を出すとき、気になりませんでしたか。
枝野 なぜこの発言をされたのか? 菅さんの発言は、その時点では分からなくても、後で合点がいく。さすが菅さん、ということが多いのですが、これはいまだに分かりません。政権の内部事情に基づく発言なのかな、としかいいようがありません。
――安倍首相は参院選について「安定した政治か混迷の政治か」が最大の争点と言っています。民主党政権は悪夢だったということも繰り返しています。枝野さんは民主党政権の中枢でしたね。
枝野 有権者の意識は、「まだそんなことを言っているの」だと思います。確かに6年前は効果があったでしょう。今も自民支持層を固めるには意味があるかもしれない。だけど、投票に行くかどうか、どの党に入れたらいいか迷っている人たちには響かない。「6年前から野党の悪口しかいっていないじゃないですか」というわれわれの指摘はかなり効いています。
――このほど発表した立憲民主党の参院選政策「立憲ビジョン2019」のキャッチフレーズは「#令和デモクラシー」。どういう含意ですか。
枝野 安倍政権、相手にせず! それがそこに込めたメッセージです。
――どういうことでしょうか?
枝野 今は、何があっても安倍さん支持という層と、安倍さんがテレビに映った瞬間にチャンネルをかえる層とが明確に分かれていて、後者は間違いなく野党勢力に投票してくれる。われわれにすれば、どちらでもない人たちにリーチしなければいけないのですが、彼・彼女らが求めているのは、安倍さんがいいとか悪いとかいう次元ではなく、もっと大きくポジティブなメッセージではないかと僕は思っています。
そこで、人口減少と高齢化、価値観やライフスタイルの多様化、生活の不安定化が進み、国際社会も不透明さを増すなかで、様々な課題を可能性に変え、未来を切りひらくための価値観と社会のあり方の転換をするための政策を、「ボトムアップ経済への転換」「多様性を力にする社会への転換」「参加型社会への転換」の3つのパラダイムシフトとして示しました。この三つをくくる言葉として考えたのが「令和デモクラシー」です。
――要は、ポスト安倍政治を目ざすということですか。
枝野 安倍政治だけじゃない。その前の民主党政治も含め平成の政治は過去のもの。すでに次の時代に入っているという問題意識です。
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